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受け取るだけで親孝行

2カ月に1度くらい、父から私の子どもたちへ郵便がくる。
手紙と少しのお小遣いと地元紙の子ども新聞。
ありがたく思いますが、
子どもたちが子ども新聞は読んでいる様子は、ない。

数年前まで、この“新聞の記事を送ってくる”相手は私だった。
父は口癖のように「新聞は読んだ方がいい」と言うが、
我が家は新聞はとっていない。
父の言う事も分かるのだが、
結局自分が読みたい記事だけ読むから新聞代がもったいない、
と思ってしまう。溜まっていくし。
新聞についてはさておき、
その送ってくる新聞の切り抜きの内容である。
私宛のものは子育てに関する内容の物がほとんどだった。
例えば『自己肯定感を育てるには』のような内容である。
一応、読む。でも、心の中ではうんざりしている。
そんな事は分かっている!という反抗心のような
イラっとした気持ちもムクムクと湧き上がる。

父がそういう、子育てに関する記事を送ってくる気持ちも
何となくは分かる。
私には兄がいたのだが二十歳の時に亡くなっている。
父は、子どもを亡くしたことで、
子育てに関して後悔していることもあるのだろう、
そういう思いを新聞を送ってくるという行動で託しているのだろう、
などと私は思うのだ。

実は、「送ってこないでほしい」と言ってしまいたい、
子ども新聞に関しても「子どもたち読んでないよ」って
言ってしまいたい気持ちを持ったことがある。
でも、言っていない。
頻繁にくるわけではないし、
それについて「読んだか?」と追い打ちをかけられることもないのだから
受け取った後は自分の好きにしよう、と思うことにした。
読もうが読むまいが、これはもう受け取ることが親孝行だな、
と思う事にしたのである。
無駄に親を傷付けることはない。

そういう態度は、
実は私の夫や子どもたちの態度から教わったように思う。
義母や私が子どものために良かれと思って言った事やった事を
華麗にスルーするのである。
一応は受け取るからこちらは傷つかないのである。
こちらはこちらで、まぁ受け取った後は本人次第よね、と思うしかない。

受け取ることで相当なストレスを感じているのなら、
自分を大事にする、と言う意味において、
親に「送らないで」と伝えることも大事だと思う。ただ、
人は必ず死ぬから、傷つけたり、険悪になったり、関係をこじらせたり、は少ない方がいいと思うのである。
気分良く過ごしたいのはみな一緒なのではないだろうか。

受け入れたり、納得したり、自分の考えを変えたりしなくていい。
ただ受け取るだけでも、親孝行だと思えばいいのである。



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