絵が上手い事は幸福ではない!?②【作画コストが高いリスク】
こんにちは、惑星ナメ太です。
前回に引き続き、絵が上手い事は幸福ではない!?の話をしていこうと思います。
絵が上手いという事のリスクについてお話ししようと思います。
まず絵が上手いといっても、"上手い"とはいろいろな意味が含まれています。今回は"作画コストが高くて上手い"についての上手さについてお話ししようかなと思います。
"作画コストが高くて上手い"はどういったものか、今回は私を通した話なので、他の場所で会話する時に必ずしも同じ意味になるかはまた別になるかもしれないので、ここでの話として聞いてくださいね。
作画コストが高いとは、描き込みが凄い、精密である、正しく描かれている、パースがしっかりしている、濃厚である、サービス精神旺盛である……など、こういう技術力が高い絵のことだとします。
こういう絵を描くにはかなりの時間と理解力が必要になっていくので、ここまで描けてしまう人はそれなりに描いてきた人か、頭を使って描いている人になっていきます。
絵にしっかり向き合い、勉強もちゃんとする職人タイプです。しかしこの職人タイプは個人的に落とし穴がいくつかあります。
作画コストが高いのは武器にもなりますが、足枷にもなるのです。
どういうことかというと、こういう絵を描くタイプはかなり真面目だとか勤勉だとか妥協できない優等生タイプで、一生懸命に描くタイプです。
描けてしまう、できてしまうというのは地獄の始まりでもあるのです……。
自分に厳しかったり、自分のレベルを下げることが苦手な人が絵が上手くなってしまうと、例えば漫画を描くとなると全てのコマに力を入れてしまい、多くのページ数が描けなくなる問題です。そしてかなり時間が掛かります。
この問題は私もあるのですが、作画コストが高い絵を描く人は、作画コストが高い絵を好む傾向があります。所謂、絵描きが好きな絵を好きになってしまう人のことでもあります。
絵がもう上手い人はつまり自分の中に理想があり、絵に恋もしているし、絵を愛しているのです。恋人でもあるでしょう。
ではどういうことなのでしょうか……。
そう、絵に手を抜くということは苦痛でもある人種なのです。好きな相手に全力で愛を注ぐので、絶対に絵に手を抜かないタイプなので、楽もしないのです。
すると何が起きるでしょうか?どんどん技術力が上がれば上がるほど、それだけ作品を作る時間が掛かっていくということなのです。絵が上手くなれば早く作品を仕上げられる……と思いきや、実は絵に恋をしている人は妥協することが苦痛なのでそうでもないのです。
絵が上手いということは、絵を愛しているし、描くことが好きでもあるので、どんどん愛が深くなってしまうので、気楽に描けなくなるという呪いでもあります。
こうなってしまうと、しっかり丁寧に濃厚に描かなければ、自分の愛はこうじゃない!!人様に見せてはならない俺のこの愛を!!と追い詰められてしまい、完璧主義者になる危険性もあります。
私もそうですが、いい絵を描くということはとても楽しいし、自分の絵を見て楽しくなる絵を描くことを目標にしているのでレベルは上がります。絵が好きで好きでたまらないので苦労するのも好きではあります。
しかし同時に何か新しいことを始めようとすると、一度自分のレベルを下げなければならないので、下手な絵やダメな絵、またはコストが低い絵を出す勇気が必要になっていきます。
けれどダメな絵なんて存在するのでしょうか?
先ほどの『下手な絵やダメな絵、またはコストが低い絵』と私は言いましたが、私がそう思っているだけで、実は見る人にとっては好きだったり、見やすかったりするのです。
最近ではスマホで絵や漫画を見る人が多いので、描き込み過ぎたり、細かすぎる絵というのは見にくいのであまり好まれないこともあるようです。
1ページに対するコマ数も、ネット重視にするならわざと描き込みを減らしたり、コマ数を減らしている人がいるくらいですから。作画コストが高いことが正義にはならない場合もあるのです。
そうなってくれると、絵が上手いとか、作画コストが高い=正しいわけでもないし、偉いわけでもなく、人を喜ばせるかは違ってくるのです。これも結局、自分の為に描くのか、見てくれる人を想定して描くのか決める必要があります。
絵が好きな人はコストが高い絵を描きたいし、妥協することが嫌なのですが、もし見てくれる人のことを考えるならば、もしかしたら自分の中でダメだと思っている絵の方が実は良い絵かもしれないのです。
そうです、
上手い絵と良い絵はまた違うのです。
さてさて、AIイラストの話をしましょう。最近ほんとAIイラストの発展が凄いですよね。とても上手くて、コストが高くて、描き込みが凄いですよね。……あれ?これは……??
そうです、AIイラストで話をすると技術力は高い絵なのですが、良い絵かは別ではないでしょうか?
AIイラストのせいで筆を折っただとか、人間は負けたみたいな話をまだされているかはわかりませんが……あれあれ??技術力が高い絵はそんなにいいことなのでしょうか?どうですか?
技術だけを見て、手描きに勝ったなどと言っているAI絵師はいますが……それは一部分だけではないでしょうか?
手描きの人や、これから上手くなりたい人はAIと作画コスト対決や、上手さで勝負すること自体危険です。
移動するために車に乗るのと、徒歩で目指すのは全く違うからです。根本的に今まで通り描く人とAIを使う人では目的が違うので、上手さやテクニックまたは正しさでねじ伏せようとすると"絵の良さ"や"表現"というものに対して絵の意味がまず死んでいきます。
あなたがやりたいことは正確に描くことなのでしょうか?違いますよね?表現したいこと、伝えたいことがあるからではないのでしょうか?
プロが歌っているのを聴くのと、自分が歌ったり鼻歌を歌うことは全く別ですし、上手い人がいるからと言って自分に発言する必要がないなんてなりませんよね?
どうしても"絵"として考えてしまいますが、"言葉"だと思ったらおかしいと気づきやすいのですが……。どうしても"絵"だけで考えると勘違いしてしまいますが、他の表現と絡ませるとおかしいことがわかりやすくなります。
世の中教科書通りの発言だけが正義だったり、好かれるわけではないのに、何故か絵になるとデッサンが間違ってるやら、色がおかしいやら言われますが、コミュニケーションとしてみれば別になんでもありだと思うのです。
テクニックと、表現したいことは別々のとこにあります。だからあまり上手さにこだわりすぎると誰も何も発言するな!という暴力にもなります。
もう一度言いますよ?
『絵が上手いとか、作画コストが高い=正しいわけでもないし、偉いわけでもなく、人を喜ばせるかは違ってくるのです。これも結局、自分の為に描くのか、見てくれる人を想定して描くのか決める必要があります。』
AIを毎回例に出してしまうので、AIを悪く言っているように見えてしまうかもしれませんが、技術力が高いや上手い絵だけがこの世にあればいい、という考え方の人との対決なのです。AIイラストだからということではなく。
絵は結局道具なので、絵が上手ければ勝てるだとか、売れることに直結するかはわからない世界ですし、だからこそ面白くて楽しいのかもしれません。
と……①を書いてから随分時間が経ってしまいましたね。記事がまとまっているか不安ですが、整え過ぎるとずっと未完成になってしまうのでアップしてみました。③を書くかはわかりませんが、①の記事に沢山♡ありがとうございます。
絵の悩みは案外みんな似ていたり、不安なことが重なっていると思うんですよね。誰かの役に立てたら嬉しいです。
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