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マーケティング責任者が取り組むべき役割とは?胡散臭さをなくす方法も紹介!【コトラーの人文科学マーケティング中編】


本記事はマーケティングの父、フィリップコトラー氏による2012年シカゴ人文科学フェスティバルでの講演を日本語でまとめた内容となっています。

今回は前編に続き、4Pマーケティングやマーケティング3.0でお馴染みのフィリップコトラー氏が人文科学の祭典で語ったマーケティング観について、日本のマーケティング事情も交えながらまとめていきます。
前編、後編も是非ご覧ください。


企業のマーケティング責任者が取り組むべきことは?


コトラーは講演の中で、CMO(Chief Marketing Officer)が取り組むこととして以下の6つを挙げています。
消費者の声を代表する
進行する事業の概観を観察し、消費者の気づきや発見を収集する
企業ブランドの執行役であり続ける
会社のマーケティング技術やそのスキルを向上させる
企業の事業展開や相乗効果に気づきや発見を提供する
マーケティングの収益効果を計測・会計する
それぞれ詳しく説明します。

消費者の声を代表する


マーケティング責任者は、常に自社のブランドやサービスが「外部からどう見えているのか」を知っておく必要があります。消費者の声を聞き、それらをまとめて適切に代表することが、外部からの見え方を社内全体に認識させる鍵となります。

進行する事業の概観を観察し、消費者の気づきや発見を収集する
従業員は目の前の業務や自分たちのチームで手一杯となるため、マーケティング責任者は事業全体を見渡し、常に消費者の新たなインサイトを手にするべきです。

企業ブランドの執行役であり続ける


ブランドの方針を最終決定するディレクターとして、責任感を持って業務を遂行する必要があります。

会社のマーケティング技術やそのスキルを向上させる


自分や周りのチームのマーケティング技術を上げるのはもちろんのこと、これからチームのメンバーとなる未来の人材のためにマニュアルやシステムを構築したり、他部門の人材にもマーケティング意識を持たせたりする必要があります。

企業の事業展開や相乗効果に気づきや発見を提供する


マーケティング責任者、特にCEOは経営陣として、企業全体に利益をもたらすべく、事業展開に関するマーケティング目線のアドバイスや、各事業の相乗効果についての提案を行っていく必要があります。

マーケティングの収益効果を計測する


マーケティングの効果を収益的な数値として会社に共有し、マーケティング部門がどのくらい会社にメリットをもたらしているのかを表現する必要があります。

マーケティングに懐疑的な目線を持つ経営者も多く、CMOの平均任期は2年と短めですが、上の6つをこなしていくことで会社に大きな利益をもたらすマーケティング活動を実施できるでしょう。

マーケティングに懐疑的な人の意見


マーケティングが胡散臭く、時に詐欺的な行為にならないために、マーケティングに懐疑的で、マーケティングが嫌いな人々の意見を見てみましょう。
コトラーはマーケティングが嫌いな人の声として以下の7つを挙げています。
・「マーケターは人々が購買可能な金額以上の商品やサービスを買わせる
→例)住宅ローン
・「マーケターは存在し得ない壮大な差別化を創作する
→例)塩
・「マーケターは資源や環境負荷を考慮せずに商品を販売する
→例)食用肉
・「マーケターはプロダクトの安全性に十分な注意を払わない
→例)自動車
・「マーケターはお金を生み出すために商品の良い悪いに関係なく人間の欲望をみたす商品を販売する
→例)タバコ
・「マーケターは物質主義的な考えを持っている
・「マーケターは人間の適切な消費量についてほとんど気にしない
→例)ビール

これら7つの嫌悪から考えられる、マーケティングが胡散臭くならない方法を5つ挙げます。
・消費者に無理して買わせない
・正直な独自化を主張する
・サステナビリティへの取り組みはマスト
・人間主義のアプローチを取る
・必要以上に売らない

それぞれ詳しく説明します。

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消費者に無理して買わせない


特に高額商材では、「今やらないと後悔する」「分割払いだから手持ちのお金が足りなくても大丈夫」という売り出し方をやっているところが多いですが、胡散臭くならないためには、ターゲティングを考え直し、お金を十分に持っていない人には買わせないことが重要です。
十分なお金を持っている人をターゲットにし、持っていない人には廉価版を販売する、コミュニティの一員として参加してもらう等、別の顧客体験を提供しましょう。

正直な独自化を主張する


ありもしない特長を売り出すのは言語道断ですが、「差別化」に囚われすぎて些細な違いを誇大に主張する行為もやらないべきです。
独自化」に集中し、自分たちの商品やサービスが強みとしている箇所を正直に伝えましょう。顧客の声や短所の明示も効果的です。

サステナビリティへの取り組みはマスト


2020年代において、多くの企業がサステナビリティへの取り組みを本格化させています。今や、事業の社会面・環境面における持続可能性は必要不可欠です。「その商品やサービスが5年10年と続いたら、社会的・環境的にどのような意義が生まれるのか」を考え、主張していってください。

人間中心主義のアプローチを取る


大量消費の社会が終焉して久しいですが、物質主義から人間中心主義への転換が最近のトレンドです。
人間の生活が豊かに幸せになる商品やサービスであることを主張していきましょう。

必要以上に売らない


より多くの利益を上げるために、様々なオプションをつけたり必要以上の機能を持った商品を売ったりする行為は現在でも多くのビジネスで見受けられますが、胡散臭く感じてしまいます。
親切で寛大なブランドイメージを構築することの方が、トータルでの利益を最大化していけるでしょう。

以上の5つの方法を意識してマーケティングに取り組むことで、胡散臭さのない、クリーンな集客・販促活動を実現してください。

まとめ


今回はコトラーのシカゴ人文科学フェスティバルにおける講義をまとめた記事の中編として、「胡散臭くならないマーケティング手法」について紹介しました。
マーケティングのことが嫌いな消費者や従業員、経営者に対して、美しいマーケティングを魅せて、その必要性自体をマーケティングしていってください。

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