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【人財育成論14回】破壊的イノベーションを生み出す人材とコンピテンシー①

日本経済が停滞、失われた30年と言われています。そうした中「破壊的イノベーション」が生み出せなかったことが原因との声がよく聞かれてきます。
たしかに、「欧米を追いつけ追い越せ」できた高度成長とその後のバブル崩壊で、世界市場を席巻する製品・商品・サービスは生まれたか、日本企業が創造できたか、というと何とも言えないといえましょう。

破壊的イノベーションとは何か

破壊的イノベーション(Disruptive Innovation)とはいったい何のことをいうのでしょう。その定義としては

・技術革新やアイディアによって、既存の事業の安定した状況を打破し、その事業の業界構造をガラッと変化させること
・既存の概念にとらわれず、新たな発想を積極的に取り入れることで、新製品や新サービス
・既存の市場で求められる価値を低下させつつ、新しい価値基準を市場にもたらすイノベーション

などと定義されています。「創造的イノベーション」と呼ばれる、既存の市場において顧客に求められている価値をさらに向上させるイノベーション、つまり、日本企業が得意な「改善」「改良」のようなものとは違ったものです。大きなレベルの変革を必然的にもたらすイノベーションと言うことが的確な表現なのかもしれません。

破壊的イノベーションとは?分類・種類

破壊的イノベーションの分類・種類には
・ローエンド型
・新市場型
と言われています。ローエンド型は安価なものを提供するイノベーションであり、新市場型は新たな価値を提供するイノベーションです。こうした破壊的イノベーションとしてよく知られている製品・サービスとして何をイメージするでしょうか?

具体的には、機能よりデザイン性でウォークマンなどより消費者に選ばれたipod、デザインや使いやすさで席巻したiPhoneなどのスマートフォン、家具を作るということで配送・組み立てコスト分をコストダウンで来たIKEA、自動で作業を代行してもらえるルンバ、レンタルCDもDVDもPCで視聴できるNetflix、小さく簡単に撮影できるGoProなどが「破壊的イノベーション」の事例として知られるところです。

破壊的イノベーションにチャレンジできなかった?日本企業?

消費者が求めるという意味で、エンタメ分野で考えてみましょう。レコードからカセット、CD、MD(MiniDisc)、音声ファイルという進化があり、それに対応して、レコードプレーヤー⇒CDラジカセ⇒MDプレーヤー⇒iPodやmp3プレーヤー⇒スマートフォンと視聴製品や方法も視聴方法も変わりました。これらはまさに「破壊的イノベーション」が続いたことだと思います。機能は向上し、使いやすくなるなどユーザビリティは向上し、デザイン性も変わりました。特にipodについてはウォークマンとの対比で語られることがあります。ある時点で成功してしまった企業は冒険やリスクを避け、守りの姿勢をとってしまいます。現状維持と延長線上での視点で、新たな需要創造や新市場開拓に一歩を踏み出せません。こうした「イノベーションのジレンマ」に陥った企業は新たなサービスを開発する企業の「破壊的イノベーション」の前に敗北してしまうのです。

高度成長期は、欧米の「マネをする」ことで製品開発をして、追い付き、追い越して、世界市場を席巻しました。しかし、高度成長の方法・手法が通用しなくなった時に、どうするか。高度経済成長の後に、企業が世界的なサービスを開発できず、付加価値の高い製品・サービス・事業開発ができませんでした。電気製品などは新興国に追いつかれ、どうにもいかなくなったというのが失われた30年の結果だったともいます。
企業側も問題意識を持っていましたが、創造性よりも集団指向の同調性重視、学力中心の日本の教育システムを大きく変えるには力を持っていませんでしたし、企業での人材育成についても昭和のモデルが続いたままです。バブル崩壊などが言われていますが、やはり、グローバル市場が求める、付加価値の高い製品・サービス・事業開発ができなかった、破壊的イノベーションを生み出せなかった、そこはGAFAMはじめとするアメリカ企業に席巻されたということでしょう。

破壊的イノベーションを生み出せる人材は?

どのように破壊的イノベーションを生み出せる「人材」を育てるか、最近の流れで言えば「人的資本」を発掘していくかが多くの日本企業においての課題です。
破壊的イノベーションをうみだせる人材の要件、つまり、どのようなコンピテンシー(優れた成果を創出する個人の能力・行動特性)が必要なのか、を検討していくべきでしょう。


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