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人的資本の可視化のための現状分析~【解説】人的資本可視化指針(第9回)

人的資本の可視化について、企業・経営者には、

経営層・中核人材に関する方針、人材育成方針、人的資本に関する社内環境整備方針などについて、 自社が直面する重要なリスクと機会、長期的な業績や競争力と関連付けながら、 目指すべき姿(目標)やモニタリングすべき指標を検討し、 取締役・経営層レベルで密な議論を行った上で、自ら明瞭かつロジカルに説明すること

人的資本可視化指針

が求められています。その意味で、人的資本の開示の際、現状分析されていて、傾向や特徴や知りたい内容をつかめ、ベンチマークできるようなものにすべきでしょう。

指標とは

筆者作成

人的資本に関連する指標は上記のようにたくさんあります(これでもほんの一部です)。とはいえ、これをすべて測定・集計などそろえるには膨大な時間もかかります。測定時間・コストを見ながら、効率よくそろえていくことが大事です。大事なのは指標の選択です。

指標の選択ですが、優先順位を考えないといけません。その時に大事なのが価値創造ストーリーとの関連性や企業が求められている期待でしょう。もちろん、企業の関係者、ステークホルダー、特に投資家の目線は重要です。
価値創造ストーリーは前回お話ししましたが、企業の理念やビジネスモデルや社会的存在意義ですから、そこに関する裏付けは必要でしょう。
企業が求められる期待とはステークホルダーにとって、企業の置かれている状況によって様々でしょう。
過去にガバナンスを疑われた場合は、ガバナンス関連の指標。労災や各種ハラスメント、不祥事が頻発していた場合は、健康・安全の指標。コンプライアンスに疑義が生じていた場合はコンプライアンス関連の指標。それぞれ、自分がどう見られているか、から検討していくとよいと思います。

また可能なら、指標は自分たちで作るというのも手かもしれません。定義があいまいなものが人的資本可視化の指標例として出ています。その指標に悩み、どれがいいのか悩むのなら、それにこだわるよりも、
・設計思想
・定義
・考え方
・指標の業務上の位置づけ・役割
・測定方法
・数値の特徴
・考察結果
など、提示例の代替え可能な独自指標を打ち出した方がよいかもしれません。そこはケースバイケースですね。

指標と数値公開のポイント

また、特に相談を受けるのですが、「悪い指標をみせたくない」という視点です。テストの点数ではないですし、企業に関心も持たないような一見さんのような投資家でもない方々にはわかってもらう必要はないと割り切った方がよいと思います。つまり、悪い数値であっても、その意味合いや背景、
指標や数値は、その定義や見せ方によってどうにも変えられる、悪く言えばよく見せられることが可能だからです。

あくまで人的資本指標が大事なのは
・モニターすること
・PDCAなどマネジメントを発揮し経営改善すること
なので、その点をご理解いただけるとよいと思います。

公開したことを後悔しないように、と願います。筆者はKPIの専門家ですのでいつでもご相談ください。

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