ひえびえ

寂しい季節です。

枯葉がただ風に転がされる音が人の気配に思われて緊張が走る。誰もいない。ここには僕が煙をかぷかぷするだけ。期待しているのか恐れているのかどっちなんだ。

誰もいない食堂を走り回るねずみは友達になってくれるだろうか。
そんなわけないか。あいつらもついでにごきぶりたちもコロニーに属しているものな。孤独に苛まれているのは僕だけ。

集合住宅ってコロニーに当てはまるのか。群生はしてるけどそれ自体に明確なメリットはない気がするな。はっきりと境界が設定されて基本的に天敵のいない人間にとってはそもそも群れることの意味合いが違っているでしょ。それで言うと自然界との境界線が重要になるから、街という単位がコロニーに当たるのかもしれないな。

まあどっちでもいい。人が近くにいるだけで薄れる孤独なら思考を曇らせたりはしない。


蛇口をひねって温かい水が出てくる。ありがたい。あったかい。そういえばこの温かみはコロニーに属する恩恵だな。実生活の利便性を考えると一匹狼にはなれそうにない。なんと貧弱な存在か。


寒いので布団をかぶります。明日も寒いだろうな。




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