爪切りってえっちじゃない?

焦りますわ。

焦ってる割に行動が伴ってませんわ。なんじゃこりゃ。

残高見て安心と絶望が同時に襲ってくるやつ。こんなに一人でなんにもできないなんてなあ。そこの自覚があって克服したくて今ここにいるのに本末転倒も甚だしい。


とはいえ今日はなんにもできなかった日ではなかったが。ここからまた進展があるかは運にかかってもくる。自分の運を信じろ。かつ、ほかにできることをどんどんやってこう。


さっき爪を切った。爪切りってなんかえっちじゃない?これ私だけかな。他人のね。他人の爪切り。自分のはどうでもいい。

何年か前のことです。そのとき滞在してたアコモデーションは各部屋二人のルームシェアでした。僕らの部屋は窓が小さくてとにかく暗くて暑くて通気性が悪かったから、けっこうドアを開けっ放しにしていたのです。当然外の音がよく聞こえてくるわけですね。で、ある日、いつものようにドアを開け放ってのんびりしていたときのこと。隣の部屋からパチンパチンて音が聞こえてくるんですよ。爪切りの音。それで僕、なんだかドキドキしてしまって。これ聞いちゃっていい音なのか???って。だって爪切りって人前でやることまずなくないですか?厳しめの校則とかにひっかかって今すぐ切りなさいって言われた生徒くらいじゃない?人前で爪切るのって。だから背徳感みたいなものを感じてしまったんですね。ここが始まり。このときから、別にそれ以来人の爪切りを見たり聞いたりはしてないんですが、えっちだって感覚が多少ある。

いや、えっちって言葉にまとめるのはそれがキャッチーだからってとこは間違いなくありますよ。別にそのとき興奮したかと問われたら性的なものではなかった気がするし。

要は極めてプライベートな行為ってところですよね。普段侵さないように侵されないようにしている個人の領域に、うっかり踏み込んでしまったような現象。それが起こっていた。覗きや盗聴はなかなか近しい現象なのではないでしょうか。そして爪切りは一種の無防備な裸。爪なんてもともと武器や防具の類なんだし。それを整える時間は必然的に守りも薄くなる。なるべく警戒を解いた空間で行うはずです。この場合僕は同じ空間に居合わせたわけじゃありませんが、ヴェールの向こう側に招待されたような錯覚を受け、戸惑っていたのかもしれませんね。

ああ書いていてわからなくなった。不本意に他人の領域に侵入してしまい、罪悪感が仕事をしたせいで自覚できなかっただけなのではないか。という可能性が生まれた。本当は性的な興奮を覚えていたかもしれない。どうしよう。否定しようのない変態じゃないか。

これは再び誰かの爪切りに遭遇するまでブラックボックスだな。
ところで、もし興奮するんだとしたら、その相手は性的指向から外れていても成立するんだろうか。なかなか興味深い。

あと僕の名誉のために書き残しておくと、覗きや盗聴などに手を染めたことはないし魅力も感じていないので。そういった因子はないとは言い切れないけど濃くはないです。自分が自分の領域に敏感だもの。他人のを侵したくなんかないよそりゃ。


ドアの向こうで、僕の爪切りの音に耳をそばだてる人がいたら、なんて、ちょびっとだけ考えた日でした。いるわきゃないね。

きれいになった爪で明日も生き抜こう。







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