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詩/夏休み
夏休み
みんな帰ったあと
動く方の左手で
あてられたおむつを引き剥がす
プライドは魂から来る
子が右手をかして
二つの腕
すててこをはいた
子は父に出会った
語りかければ父は頷く
ただ父の言葉を
子が解せないだけ
父の右手は温かい
遠くから語るものたちを
今ならば退けることができた
集中治療室
防音ガラスの向こうを
京成の始発電車が通り過ぎる
イスタンブールに旅立つはずの
朝のわきに置かれていた
背もたれのない、まるい椅子の辺り
もう一つ
不思議な時間が流れ始めた
父と 子と
1996年7月
※見出し画像は、エルサレム/聖墳墓教会内のゴルゴダの丘直上。
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