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穴あきパンツのミーちゃん。その5

決められないよ。

獣医が言った言葉にドキドキしながら、車を走らせた。

病院へ着くと、個室で獣医とVet Techから現状の説明を受ける。レントゲン写真には、骨折してずれた骨盤がはっきりと映っていた。折れた場所からして、車をよけ切れずに下半身を跳ねられたのでは、と。

それだけを見ていると、骨折なら修復できるはず。人間だったら、骨折で済んだか。。。なんて言って安心することもある。

若い猫なので、骨はくっつくだろう。だけど、骨盤の中を通る、腸や膀胱に障害が出るし、くっついたとしても歩けるかどうかわからない。
生き抜いたとしても、糞尿を垂れ流すか出なくなるか、どちらにしても排泄のお世話をしなければならなくなる。
”家の中は汚れるし、あなたの時間はなくなるわよ。それに、本人も苦しまなくて済む。お金をかけて手術をしても治るかどうかわからないから、無駄になるかもしれない。”

獣医はミーちゃんを診察台の上に置いて、獣医はさらにこう言った。
”10分考えて。ランチに行ってくる”。 

外傷がみえないミーちゃんは、ケガなんかしていないよう。
早く連れて帰れとばかり、ミャーん、ミャーんと鳴く。

無理だ。
目の前にいるミーちゃんをどうして殺せる?

旦那くんにメールを送る。”We have to say Good Bye”. と返事が来た。私は治療をしたいと携帯の文字を何度も押し続けた。
自分に言い聞かせたかったから。”殺すなんてできない” と周りのみんなを振り切る勇気が欲しかった。

出来るだけのことをしたい。先生にそう伝えた。
骨盤の隙間を出来るだけ確保するために、骨盤を少しずらして整復することが提案された。
”若い猫だもの、ミラクルを信じよう”。VetTachが笑顔で励ましてくれた。

治療費の説明を受け、治療費の承諾書にサインをする。
麻酔中や入院中に急変した場合に、どこまで治療するかも答えなければならない。
治療費の半分のデポジットを支払って、ミーちゃんを預けて病院を後にした。

これがミーちゃんの最初の手術となった。$932.98

ミーちゃんのいない部屋
ミーちゃんのいない部屋



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