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ジェットコースターのような急坂で人生を思う日

とても寒い朝。
10時からの接ぎ木講習に間に合うように、
8時45分に田舎家を出発。
いつもなら1時間もすれば手の指先まで温かくなるのに、
逆にだんだんかじかんでくるほどだった。
加えて自転車のペダルをこぐ足の指先も冷たくなり、
感覚が無くならないように、指先の方でペダルをこいだ。

嬉しいことの一つは、急坂を自転車を降りることなく下りきったこと。
この坂道では過去に2回酷い転び方をしている。
三度目は命がないかもと思うので、少しでも危険と感じたら、
すぐに足をついて、自転車を押して下ることにしている。

去年ヘルニアになってから、この坂をいつも押して下ったけれど、
秋口からこれで3回、乗ったまま下りきった。
そして、わかったことは先を見ないこと。

1回目は意識しないまま、他のことを考えながらただ前車輪を見ていて、
傾斜が緩やかになりもう最後のカーブに近づいていた。
そこで初めて、「あぁ、ここで怪我したなぁ」と思った瞬間、
下りきったことに気が付いたくらいだ。

2回目は意識して下りた。先に一度できたのだから、
今度もきっとできると信じて向かった。が、この時は緊張した。
そのせいで体が硬くなり、少し怖いと思いながらも下りきった。
このとき、道幅の右と左での傾斜の違いにより、
砂利や苔、自動車跡による摩耗に特徴があることがわかった。

3回目となる22日早朝。
急斜面を意識しないで降りられれば一番いいのだが、
そうはいかないから体が固まる。その上寒いから、より体がこわばる。
コースを意識すると、この先左右どちらによるべきかと気になり、
つい前方2~3m先を見ようとしてしまう。これがいけない!
車輪のすぐ前をみていないから、小石を踏んだり、苔にのったりして、
タイヤが横滑りするのだ。

思い返せば、前2回転んだ時も曲がりくねり、
軽自動車が一台通るのがやっとの狭い道で前方が気になって、
足元から目を離していた。
早くこの一番急な個所を抜けないと、車が来たら大変とか、
傾斜角が緩やかになる最終コーナーを曲がる終盤、
ここを通り抜ければ終わりだと思い気が緩んだとき、
事故は起こる。

一歩一歩着実に、その時できることに集中することが大事。
先を読んで、効率よく動こうなどとしてはいけない。
高名の木登り。
危ないと思うところはだれでも行動に最新の注意を払う。
そこを脱する直前、もう大丈夫だろうと思った瞬間にミスをする。

年月を重ね、振り返るとこの坂道のような曲がりくねった道だったような。
功名心にかられて周りからの理解を得られなかったり、
先々の不安から取り越し苦労で動けなくなったり、
年齢のコーナーを曲がるごとにいろいろな思いが交錯して右往左往。

ようやく少しだけ一日を大切に生きることがわかってきたように思う。
一足飛びに何かをなそうなんて思わず、迷いながらでも一歩踏み出す足元をよく見て、その瞬間に最善を尽くして進みたい。
ゆっくりと一歩に集中して進めば、何気ない日常に潜む落とし穴にも気づくだろう。

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