鳩とわたしと、しらすのパスタ。
4時にかけたアラームがうるさい。
スヌーズ、またスヌーズで4時をだいぶ過ぎたところで起きる。
いつもなら、止めて寝るけれど今日は起きた。
目をつぶった時間も遅くしかも興奮して眠れなかった昨夜。がんばれ、まぶた。
祝日はどこも混むからと出かけるのをためらってしまっていたけれど。
わたしたちは昨日から決めていたんだ。
この2年を取り返すべく、今日は紅葉を見に行こうよう!
なんてったって、今日はおデート。
髪の毛もいつもより丁寧にブローした。
がんばりきれなかったまぶたは、乗車して早々に幕を閉じたおかげで体力は少し回復。
朝も早いせいか、道は順調。
昨日雨を降らせた雲はどこかに行き、青い空が出てきた頃お腹もすいて、途中のコンビニでピザまんを買って食べる。
早起きは三文の徳、なんていうけれど今日はいい日になる予感しなかった。
目的地に到着したわたしたちは、まず神社にお参りすることに。
ご無沙汰してしまったことと、いつも見守ってくれているお礼を伝え
高い場所から見えた青に、ほんのり紅葉した葉っぱたちが気持ちよかった。
目の前に現れたのは、鳩のストラップがついたおみくじ。
近くには鳩の形のサブレのお店もあるし、この辺の名物は、鳩なのかもしれない。
結果に引っ張られたくないわたしは、おみくじを引くのは遠慮した。
気分は大吉、それだけでよかったから。
いいことが続くと、この後に何かよくないことが起こるのでは?と突然不安に襲われることがある。
でも、大丈夫。
さっき紙で出来た「人形(ひとがた)」で厄を落としてきたばかりのわたしは無敵。スターを取ったマリオだ🌟
お昼は何を食べようかなんて話をしながら発見した紅葉スポットに引かれ🍁
ちょっとここで写真でも…なんて足を踏み入れた瞬間に背後で鳩の大群が一斉に飛び立った。
以前も書いたことがあるが、わたしと鳥との間にはちょっとした因縁がある。
今日も、ちょっとした一悶着があった。
大群の中の、1匹がなんとわたしの左後頭部、左耳寄りに激突してきた。
その後着ていたパーカーの(あ、フーディーか?)フードにひっかかり、びっくりした鳩奥へ奥へ羽ばたこうとする。
羽をバサバサするたびに、左耳にあたりぞくぞくするのと、奥に引っ張られるフードがわたしの首を締め付ける。
びっくりしてパニックになった鳩以上にび っくりしてるわたしは
はにゃはにゃと声にならない声を出し、大声を出すのはご法度なこの時代を生きているので小声で「たすけて…たすけて…」と夫に訴える。
それに気づいた将来有望な七五三の衣装を着たキッズはわたしを指を差し
「はとに、みくだされてる!!」と爆笑。
そんなにも難しい言葉を知っているキッズがいる日本の未来は明るい。
七五三の衣装が眩しく見えて、わたしとあなたは全くの他人なのに君に乾杯だよ。
冷静な夫はわたしのフードを逆にし、そっと押し出すように鳩を出した。
集まる視線に居た堪れなくなったわたしは、申し訳ないとぺこぺこと頭を下げながらてへぺろーなんて心の中で思い、その場をさる。
あんなに人がいた中で、なぜわたしばっかり鳩に激突されたのか。
類は友を呼んでしまい、わたしからおっちょこちょいな鳩を呼び寄せてしまったのかもしれない。
わたしがいた場所の下には濁った川があった。
びっくりしすぎて、落下するようなことにならなくて本当によかった。
やだなぁ。
鳩びっくりして暴れたから💩出ちゃっただろうな。
今日は黒のパーカーなんだよ。
勘弁して欲しいわ。
おみくじは引かなかったのに、大凶だ。
フードの中を確認してもらうと…出てなかった。
💩は出てなかったのだ。
不幸中の幸いとはまさにこのこと。
頭左半分が汚れたような気がして、ウェットティッシュで何度も拭った髪の毛は
朝苦労してブローした髪型を奪っていく。
そこから、だだ下がったテンションを上げるためにはおいしいものを食べるしかないと、移動した先で偶然見つけた海が見える素敵なカフェに入る。
しっかりと乳化されたしらすのペペロンチーノがとてもおいしそうで、フォークにくるくる巻きつけると何やら黒い剛毛のようなものがぴよんと飛び出して来た。
もう、ここまできたら
「いでよ、シェンロン!!」
と言いたくなる。今日一日でドラゴンボールが集まったような気持ちだ。
もちろんパスタは作り直してもらい、そのおかげで出ねばならぬ時間を4分過ぎて1時間分多く駐車場代を支払うことになったのも今となってはいい思い出なのかもしれない。
命を取られたわけじゃないし、これはわたしのただの日常を切り取ったほんの一部の出来事。
信じるか信じないかは、あなた次第。
わたしの人生まるごとフィクションならよかったのに。
シアワセが続くと怖くなるわたしには、このくらいがちょうどいい。
何事もバランスが大事で、きっといつもの運貯金。
家に帰って、お風呂に直行する。
シャンプーをするのに目を閉じた時、ふとあの鳩が思い浮かんだ。
羽を必死にバサバサさせていた感覚が左耳に残る🪶
わたしに当たってしまったことで、あの後仲間内でバカにされてはいないだろうか。
🐦1「おまえ、いっっっつもどんくせーのな!」
🐦2「人間に追突するとか、まじウケる。ちゃんと前みろ、前!」
🐦3「しょぼん…」
今は多様性の時代。
ぶつかる鳩も、ぶつからない鳩もどちらも鳩だ。
あのこが他の鳩に責められるのはなんか違う。
鳩の恩返しとして、今度出会える時までには他の人には突然激突しない鳩に成長してくれていたらそれでいい。
名前に鶴がついた神社で起こった、鳩とわたしの物語。
今日も今日とて運貯金。
明日もどうかいい日であれ🤑
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