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『婚活1000本ノック』感想①

一話

アホのように番組表を眺めていて、ふとタイトルが目についた。
普段あまりドラマを観ない私だが、前シーズンは珍しく三本も観ていたので一抹の寂しさがあったため、なんとなく予約ボタンを押した。
『婚活』という言葉が使われだしたのはいつ頃だろうか。もう20年程経つような気がする。例にもれず私も婚活の経験者だが、そのことについては今は置いておこうと思う。
ドラマ『婚活1000本ノック』の主演は福田麻貴さん。お笑いトリオ「3時のヒロイン」のメンバーだ。実はあまりたくさんのネタを見たわけではないのだが、私は福田さんのことが好きである。
これはそんな福田さんが演じる婚活女性の物語。婚活女子に自分を捨てた男がとり憑いた!?という。いやいやどういうことだよと。自分が捨てた男が憑くならわかるが、自分を捨てた男がなぜとり憑く?かくいう私もどうも調子が悪かった時に「元彼の生霊がとり憑いてるよ」と言われたことがあるのだが、とり憑く覚えはあってもとり憑かれる覚えはない。恨みこそすれ恨まれる覚えはないのだ。あの時に私が感じたあの「なんと理不尽な」という気持ち。この物語の主人公は何をどうして自分を捨てた男にとり憑かれ、何がどうなっていくのだろうか。
そんな気持ちで第一話、視聴。
福田さん演じる綾子は33歳の売れない小説家。私は33歳よりも少し、結構、大分上の年だが、「33歳の売れない小説家」の描写にはリアリティを感じた。ドラマにありがちなやたらとおしゃれな暮らしをしていないところも良い。小説家という職業の馴染みのなさと、33歳女性のリアリティのバランスが絶妙だと思う。
とり憑いてきた幽霊は、クソ男オブザイヤー2023を受賞したイケメン。その名も山田クソ男。このネーミングがまた良い。山田クソ男。なんと口にしやすいリズムだろうか。やまだくそお。きわめて滑らかに舌の上を滑っていく言葉よ。イケメンで女遊びしすぎて遊んだ男に刺されたというこの男は、わけあって綾子のもとに再び現れる。幽霊として。
『婚活1000本ノック』はこの二人(一人はクソ男の幽霊)が婚活の波に挑んでいく心温まるバトルドラマなのである。

さて、その肝心の婚活だが。
当たり前といえば当たり前であるが、どうもうまくいかない。
次から次へと現れる「なんか違う」を気が狂うほど繰り返しながら、その中で特に激しくおかしい者との出会いをコミカルに描かれているのがこの作品。
不意打ちTバック男、ビッグボスなど、綾子が奴らにつける通称が絶妙で面白い。今回の主軸となったのは「ハト男」。平和な気持ちになるからハト男。例に漏れずこのハト男との関係は失敗に終わるのだが、ハト男にまつわるエピソードは「あるある」にならないぶっとんだ終わり方でとてもよかった。
そもそもクソ男憑きの婚活。クソ男がなんの役に立つんだよと思うが、蛇の道は蛇っていうしね。
ハト男絡みで登場した雛形あきこにも注目。雛形あきこは今でも変わらず美しいのだが、雛形あきこがおばさん扱いされるとは、鈴木杏樹が母親役を演じた時と同じ衝撃だ。
そして何気に印象に残るのが、コミュニケーション能力に若干の問題が見受けられる担当編集者。共感性羞恥を刺激されるキャラクターである。コミュニケーション障害というのは、言いたいことを言えないのではなく、言っては行けないことを言ってしまうのだという。ああ、なんとまさしく、と言ったところだ。
面白かったなーと思いながら、第二話へ続く。

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