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小学校初日の衝撃(015/100)

今は、小学校の入学式シーズンらしい。

私は小学校に上がるときに、遠くから関東に越してきた。3月ギリギリに決まり、引越しは4月に入ってからだったと思う。新たな住まいに移動して数日後にはすぐに入学式が迫っていた。

入学式の数日前に、小学校の様子を見に行った。学校の裏門から続く通学路は桜並木だった。濡れた黒っぽいコンクリートの上に桜の花びらが落ちていた記憶がある。

入学式当日は晴れていたはず。おめかしして、レースのブラウスに細かな白黒のギンガムチェックの上下セットを着せてもらった。当たり前だが、幼稚園の友達は誰一人入学する学校にはいない。いろいろな緊張感はありつつも、おニューのランドセルを背負って楽しみに学校に向かった。友達100人できるかな、と思っていた。

でも、初日はるんるんではなくガーンとした記憶で終わった。誰かに言われた言葉を今でも覚えている。

「なんか、言葉が変」

変は私にとって当たり前に話していたイントネーションを指していた。私は外国で道迷いにあったくらいの衝撃だったし、傷ついた。当時は傷ついたけど、同級生から見たら、方言を巧みに操る異世界の摩訶不思議な人が迷い込んだように見えたのだろう。そりゃ怖いだろうし、変だよね、と今は思える。

ちょうど知り合いのお子さんが入学式だったと聞いて、この話を思い出した。長い年月を経っても覚えているのだから、よっぽど私にとっては衝撃的だったのだと思う。

子どもって無邪気だよなあ、と思う。でも大人になるにつれて世界が広がり、優しい言葉が使えるようになる。

「知ることは愛すること」

未知のことも一度知ると、怖くない世界に変わる。

世の中の体温を温かくするために言葉を使えるように。視野を広げて、たくさんのことを知っていきたい。ライティングの勉強をして、私は最近新しい世界を感じている。この「知る」は私の足元を揺らがす日々だけれども、同時に優しい世界を少しだけ増やせるのではないかとも思う。

100日チャレンジ 015/100
ひとこと:入学式があった、と聞いて、自分の思い出話を書いてみました。

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