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Spotifyの「ボイス&トーン」を考えてみる 〜①ブランドを知る〜

「UXライティングの教科書 ユーザーの心をひきつけるマイクロコピーの書き方」 (キネレット・イフラ著)の第一章で説明されている「ボイス&トーン」を理解するために、音楽配信サービス「Spotify」を題材にして考えてみました。
まずは「ブランドを知る」ことから始めます。

※ボイス&トーンとは

ユーザーへのメッセージの伝え方。「ボイス&トーン」のデザインとはブランドがユーザーとコミュニケーションを取るための言葉の使い方を決定する作業のこと。この作業によりブランドが使用する言葉を、主要なブランド価値と一致させてサポートし、違和感をなくすことができる。
例えば、安全性・誠実さが求められる銀行のATMが暗証番号のエラーメッセージを表示させる時「違います!うっかり凍結されちゃうところでしたよ」といった軽いジョークのような文章を表示させてきたらブランドイメージの失墜につながりかねない。

ブランドを知るために下記項目を調べ、考えます。

・ビジョン
・ミッション
・ブランド価値
・ブランドの個性
※本来主要関係者にインタビューするものですが今回はネットの情報を調べます。

・ビジョン:ブランドが世の中に起こそうとしている変化は何か?

①音楽における海賊版の撲滅
→Spotifyは、スウェーデンで海賊版や違法音楽データが横行している問題を解決すべく展開された。
②クリエイターとファンに機会を与え、人間の創造性の可能性を解き放つ事
→企業のリクルートサイトには「Our mission」として「100万人のクリエイターにアートを生かす機会を与え、何十億人ものファンにアートを楽しんで刺激を受ける機会を与えることで、人間の創造性の可能性を解き放ちます。(和訳)」とある。

Our mission                                                                                                           To unlock the potential of human creativity by giving a million creators the opportunity to live off their art and billions of fans the opportunity to enjoy and be inspired by it.

※サイトでは「mission」とあるが参考書籍でいう「ビジョン」にも該当するかと考えた。

・ミッション:ビジョンの実現のために何をするべきか?

※今回は既に展開されているサービスなので「何をしているか」を考えた。
①ユーザーを誘引できるプラン                     フリーミアムモデル(フリー+プレミアム)の採用
制限はあるものの、無料で一曲フルで聴くことができる。
無料+課金でユーザーを誘引。

②機会を創出する仕組み                                  レコメンド機能の搭載。「音楽発見サービス」として、AIと専門キュレーターを通してユーザーに合った音楽を提案をしている。
※参考:最近追加された機能
①only you→ ユーザーの聴き方を教えてくれる機能。ユーザーに合った曲の前後に選ぶ曲の提案など
②Blend→プレイリストが招待したもう1人のユーザーとミックスしたプレイリストを提案
③Greenroom→音声チャット

・ブランド価値:ビジョンとミッションに沿ったブランド活動を続けていくために必要な価値は?/このブランドはどのような価値を重視し、広く人々に伝えていこうとしているか?

※該当される関係者インタビューを見つけられなかったので推測

「発見」「個別的」「サポート」「多様性、多彩性」「公平性」
→前述リクルートサイト「Our mission」より想起されるキーワード。
また「Social Impact(社会的影響)」の項目における「過小評価されているアーティストやクリエイターにスポットライトを当て、リスナーがコンテンツを簡単に見つけられるようにすることで、プラットフォームの公平性を高めています(和訳)」との記載より。

We’re driving equity on our platform by spotlighting underrepresented artists and creators and ensuring their content is easy for our listeners to discover. We’re also investing in uplift programs like Sound Up! – our global initiative providing education, workshops and support for aspiring podcasters.

・ブランドの個性

※該当する関係者インタビューを見つけられなかったので推測と一個人の感想

Q.人だとしたら、ひと目見て思い浮かべることは何か?
A.親切・自分を「個」として見てくれる・物知り

Q.話している内に気づくことは何か?
A.音楽以外のことを教えてくれる(ポッドキャスト/自分の聴き方)/自分用のプレイリストを作ってくれる
→インストールする際にユーザーが見るサイトにはレコメンド機能について記載されていない。サイトトップ画面はキャンペーンと、数千万の楽曲とポッドキャストがクレジットカードなしで登録可能な旨の記載のみ。そのため使ってから機能に気づくことが多いのではないかと考えた。(実際自分も使ってから気づいた)

Q.人物詳細は?(年齢・服装・配偶者有無…)
A.30歳超えた辺り/シックでお洒落なブラックコーデ/配偶者はいなさそう/新聞は毎朝開いてそう/最初に目を通す記事は芸術欄/iphoneユーザー/趣味は音楽鑑賞
→個人の感想。アプリの配色や表記からのイメージ。

Q.ユーモアのセンスの有無
A.少しありそう。出会った時から気さくに話しかけてくれそう。
→個人の感想。配色や表記から過度な剽軽さは感じないが音楽サービスなので固い印象は受けない。

Q. どうしてもダメと考えること
A.アーティストの不利益を生じさせること
→設立背景から推測。

Q.有名人に例えるなら誰か
A.人ではないが蔦屋書店
カフェにいる落ち着いたDJ/キャリアアドバイザー/リーズナブルなワインコンシェルジュ/バーテンダー
→個人の感想。デザイン・機能・アプリ内の表記から。


                     ②「ユーザーを知る」へ続く…

◆参考文献・サイト

「UXライティングの教科書 ユーザーの心をひきつけるマイクロコピーの書き方」キネレット・イフラ(著), 郷司陽子(著), 仲野佑希(著),翔泳社,2021/2/15

Spotify公式サイト

Spotifyリクルートサイト

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