マーベル映画初心者によるマーベル視聴済み作品感想備忘録

昨今マーベル・シネマティック・ユニバース、第一フェイズ~第三フェイズの締めとなる『アベンジャーズ/エンドゲーム』そして『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が公開され大好評であるのは記憶に新しいところです(2019年7月現在)。

元々マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ではないスパイダーマンシリーズなどは見ていたし、ヒーローものが大好きなのでずっと気になっていたマーベル作品。エンドゲーム直前にたまたま『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』を見てしまったこともありどうしても続きが気になる、でもシリーズを全履修してない状況でエンドゲームを見るのは悔しいからいやだ……という理由でマーベル作品視聴マラソンを開始した次第です。

マーベルユニバースのことをよく知らない時代に何となくいくつか見てしまった作品はあれど、ほとんどの有名作品はスルーな状態からマラソンしたので大変でした。ヒーロー好きなこともあり見る前から大体の基本設定とあらすじは知っていたので理解が早かったのは幸いでした。ただそれにしても見るのに時間のかかる大作ぞろいだったので、こんな機会でもなければ絶対視聴マラソンなんてすることはなかったと思います。エンドゲームには感謝です。

しかし、マラソンしたものの結局エンドゲームの公開中にマラソン終了が間に合わずエンドゲームが見られなかったというね……(全部は無理なので基本これだけは絶対抑えておきたいというのに絞ってマラソンしたのですがギリギリ間に合わなかった)。おかげで今やってるファー・フロム・ホームもエンドゲームのネタバレになるから見られない(悲しい)。

結局エンドゲームを見るには円盤化・レンタルを待たなきゃならない状況なので今まで見た作品の内容忘れないように備忘録としてミニ感想をしたためておくことにしました。いや実際今回のマラソン外で見た昔の作品とか既に記憶が曖昧になってたりするので。フレッシュな気持ちを忘れないように記録しときます。あくまで個人的感想なので一般的な評価とはずれてるところも多々ありますがご了承ください。

記憶してる限りの私が見た順番で記載しているため時系列はめちゃくちゃです。リアルタイムでの戸惑いをお届けしたいのであえて見た順で感想書いていきます。これからマラソンしようっていうよいこの皆さんはちゃんと公開順に見るのをお勧めします。あと決定的なオチとかは書かないようにしますが軽いネタバレは交えての感想なのでご注意ください。そこまで具体的には書かないつもりですけどね。いつものごとく長いよ!

【注】マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)やフェイズの概念、映画の公開順などについては以下の記事がとても参考になるので基礎知識として紹介しておきます。

①アントマン

視聴マラソン前に見ていた一番最初のマーベルがこれ。MCUでこれから入る人って少ないのではって思います。当時「アイアンマン」が見たくて家人に頼んだらこれを借りてこられたんです。「ア」で始まってるけどさ確かに(苦笑)。「アイアンマン」は当時から人気で地元の小さなレンタル店では貸し出し中になってることが多かったらしい。

アイアンマンを見たくてこれ借りてこられたので正直あまりストーリーは覚えてないですがいかにもヒーローアクションって感じのイメージとは全然違う作品。アントマンである主人公のスコットは本当に庶民派なヒーローで「ヒーロー?」って感じのさえない男なんです。アントマンになったのも巻き込まれというか行きがかり上の事情に過ぎず大上段の正義とかは一切持っていません。

でもだからこそ共感しやすい部分も多く素直に応援したくなるキャラクターでもあります。離婚して別れ別れになってしまった娘のために頑張る姿は普通のお父さん。とはいえ娘ちゃんの親権取れないのは仕方ないと思うよ。私が母親でも渡せないわ(苦笑)。それはそれとして憎めないイイ奴であることは確かなのです。どこか人好きがするというか、社交性があるんですよね(元泥棒だけど……)。

このごく普通の男であるスコットに相対するピム博士とホープ親子のクセ者っぷりの対比がこのストーリーの肝でもありますね。
しかしストーリーはよく覚えていないながら私の中に今でも強く残っている感情は「ピム博士がもっと素直であれば…」という強烈なもどかしさ。性格に癖が強い。悪人ではないですが善人でも絶対ない。一言でいえば不器用なマッドサイエンティスト。作り出すものがかなりやばめの発明品だけに性格の不器用さがシャレにならねえ。とりあえずホープともっと早く会話しとけやと思わずにはいられなかった。ピム博士はやばい。

アントマンスーツすごいけどこの博士の発明品私は絶対に身に着けたくありません!! こんなにうらやましくないヒーローもなかなかない。力を発動してるときにスーツが壊れた場合の悲惨さがほかのスーツ系ヒーローの比じゃないよ。しゃれにならん。

たまたま最初に見る羽目になったけど何もなければきっと自分からは見ることはなかったということを考えれば最初に見ておけたのは正解だったかもしれないと思う今日この頃。実はアベンジャーズの中でも地味に重要なところを担う作品であるというのは後で知った次第です。

②アベンジャーズ

視聴マラソン外作品その2。2番目がいきなりこれか~い⁉ っていうマーベルファンのお叱りの声が聞こえてきそうですが当時の私には何のこだわりもなかったため、なんかまとめ的な作品みたいだし手っ取り早いからいいやと借りてしまいました。当時の私を殴って止めろ。

フェイズ1中の『アイアンマン』『ハルク』『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』知識がないと正直分からない部分が多いと思う。一応ソーとアメリカについてはおぼろげなるキャラクター知識があったし、アイアンマンもTVでさらっと特集されてるくらいの予備知識は持ってたのでそれで何とか見ましたがそんな状況では楽しさの1/10も伝わるわけがない。国際平和維持組織S.H.I.E.L.D.ってなんやねん?状態ですよ。

ただ幸いなことに私の当時のツイッターのフォロワーさんにソーシリーズを見てる方がいて、その方がロキの役者さんの大変なファンであった為色々な基礎知識をつぶやいてくれていたんですよね。おかげで理解の一助となりました。なんか知らんけどこいつがいたずら好きの悪い奴なんだな! それでソーと仲が悪くて兄弟なんだなってことが理解できてれば何とかストーリーは理解できた。お兄ちゃんを見返すため地球征服するぞってことなんだ(平たく言えば)。

シリーズを大枠で制覇した今ならとても興味深くみられる伏線がたくさんあるはず。もう一度見直したい作品です。アベンジャーズのナンバリングは各フェイズの締めとして公開されるのでくれぐれもそのフェイズにある作品をできる限り見てから見ましょう。そうでないと訳が分かりません。皆私のようにはなるなよ!

③ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

視聴マラソン外その3。というかこれも「今度こそアイアンマン借りてきて」と家人に頼んだ際借りてきたものです。そんなにアイアンマン借りたくないのか(苦笑)。「なんかおもしろそうだったから」だそうです。

こんな状況で視聴したのと見ていた時たまたま忙しかったため実はほとんど内容を覚えてない。見たという記憶しかない。この後続編のリミックスを見る前にネットで簡単にあらすじ確認したんですがピンと来なかったので本当にまじめに見ていなかったと思われます。非常にもったいなかった。これも時間があるとき見直したい。主人公のピーターが庶民派な空気の漂う陽気な男なので絶対好きだと思う。マーベルシリーズの中でもかなり異端な雰囲気で単体で楽しめる快活なスペースオペラという感じ(地球が舞台としてほぼ登場しないため他マーベルの知識はゼロでも大丈夫)。

この映画自体は明るい冒険活劇といった雰囲気で気軽な話なのですが実は「インフィニティストーン」というマーベルユニバース第一フェイズ~第三フェイズまでの争いの主原因となる大変な宝が設定として登場する話でもあります。思いのほか重要度が高いストーリーだと後で知りました。本当に見る順番は考えた方がいいですよ(つくづくもったいなかった)。

④アベンジャーズ/エイジオブウルトロン

視聴マラソン外その4。だからなんで私はこれを先に見た! 本当に止めろ当時の私を!!!!(大後悔)

アベンジャーズシリーズのその2でフェイズ2のまとめです。無印アベンジャーズと比べて登場人物も格段に増え相関図は入り乱れて難しくなっております。これを見た当時の私が完全に理解できるわけもない。割とネタバレを恐れない民なので各ヒーローたちの大体の人物像を分かっていたのだけが救いです。とりあえずキャプテンアメリカとアイアンマンはよくケンカしてるなというイメージがこの映画から生まれました。

ただそういうよくわからん状態で見た割にはストーリーは印象的でよく覚えてるし面白かった記憶はあるんです。インフィニティストーンをめぐる争いが本格化してきてそれぞれのヒーローたちの思惑が複雑に絡み合うさまはヒーローたちの背景をよく知らない私でも魅力的に思えました。単に力で争うのではなく異なる価値観を敵味方問わずぶつけ合う激しさというのがマーベルユニバースの真の魅力。登場人物が増えるほど複雑になるけど価値観も増えて楽しくもなるのです。

やっぱりヒーローたちのキャラが際立っているのが素晴らしい。長い上映時間とはいえあれだけの数のヒーローをまんべんなく描くのはとても大変なはずですがそこのところ実によくできていると思う。それぞれ別作品のヒーローたちなので能力差がかなりあったりするのですが各々にしかない能力を適材適所で使っているため「こいつだけいればいいんじゃないかな」って展開にならないんですよね。皆に役割がある。

ホークアイなんかはトップ3のヒーローたちと比べると戦闘力では劣ってしまうのですがそういうタイプのヒーローにもきちんと見せ場があり魅力的に描かれてるのが良いと思います。戦闘では勝てなくても諜報能力や秀でた弓の腕、そしてアベンジャーズから一歩引いた立ち位置にいるからこそできることがあったりと要所要所でいい味出してますよねホークアイ。

逆に一発逆転の力を持つようなソーやハルクは部外者だったり行動に縛りがあったりして常に万全の状態で戦わない理由付けがされている。だからこそフルで戦った時のカタルシスがあるし、敵にやられた時の絶望感も際立ちます。数多くのキャラクターを立てながら話を組み立てるうえでのお手本のような作品ですよねアベンジャーズは。

初見ではビジョンの純粋さ強さが特に印象的でしたね。無垢なる人工知能ってなんかベタだけどやっぱり惹かれるモチーフ。
のちにキャプテンアメリカや、アイアンマンを見た後だとスティーブやトニーの言動の意味がより深く理解できて心が痛い。特にトニー。

アイアンマンでの彼の生い立ちや苦悩を知らないと単なるわがままな強権にも見えてしまう言動が多々ありますが、知った後だと愛しく思える。心の弱さや過去のしがらみに対して常に自分の知識と努力で解決しようとするトニーは不器用で人に頼るのがへたくそな男だなと思います。スティーブのキャップとしての人徳をまぶしく思いつつ尊敬と嫉妬の入り乱れる複雑な気持ちを持っていたのかもしれないと色々想像してしまいますね。スティーブにしても自身の正義に揺らぎはないものの決して真四角な人格者ではなく悩みと常に真正面から戦っている男なのです。どっちの気持ちもわかる~でもな~って見ているこっちも心ぐらぐらになるよ。やっぱりアベンジャーズにはこの二人のどちらも必要なんだなーって思う作品です。

⑤アントマン&ワスプ

④を見てからしばらくマーベルを離れていたんですが前述の①を借りてきた家人が借りてきました。よほど気になったらしい(笑)。

『アントマン』時は父親のピム博士と仲違いしていたホープが仲直りを機に正式にスーツを継承しワスプとなって活躍してます。前回で明かされたピム博士の妻であるジャネット救出に奔走します。

実は初見では冒頭のやり取りよくわからなかったですよね……。ここら辺は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で起こったことを前提としてると後で知りました。

アントマンスーツは確かにすごい発明だけど安全性に難がありすぎると思うんですよ。毎度その点にものすごくハラハラする。あれは危険すぎる。安全装置をしっかりしてほしい。でもピム博士に安全性とかいう概念なさそうだな……。

とはいえ「体の大きさを変えられる」という一見地味な能力は使いようによってはものすごく多様な可能性があるのでこの諸刃の剣のスーツもある意味能力が万全の状態で使われすぎないための縛りといえるかも。

あとスコットが基本的に戦闘の素人なのとあまり頭脳プレイができるタイプじゃないことでバランスが取れてる。このスーツは本当に悪用されたらかなり危険な道具です。基本善良で普通の人であるスコットがアントマンでよかったよ。

ジャネットやその他ピム博士被害者の会(私の勝手な命名)の皆さんもそれぞれに救いを得てよかったな……と思ったところに衝撃のラスト。見た当時はびっくりしました。何が起こったのかわからなかったです。まさかこれがエンドゲームに続く伏線とは当時は全然知らなかったし。とにかく驚いたことだけは覚えてます。

⑥ドクター・ストレンジ

ちょっとここら辺視聴順が曖昧なんですけど多分この辺。ちょうど金曜ロードショーでやっていたから見ました。

なんでヒーローなのに「ドクター」なんだろう?って純粋な疑問だったんですが、自分は命を奪うものではなく救う者なのだというストレンジ先生の矜持が現れた呼称なんですね。こういう他者には理解されにくいタイプの美学を大事にするキャラクター好きです。

ストレンジって直訳すると奇妙ってことですけど、その名の通りやっぱりMCUでは異端な世界観。奇跡の腕を事故で失ってしまった元天才外科医がカトマンズの秘境で魔術によって蘇るという……なかなか際物な設定ですが、ストレンジ先生のどこか憎めないキャラクターによって無理なく世界観になじめます。

序盤はかなりの高慢ちきでもあるんですが妙な愛嬌を感じてしまうストレンジ先生。ストレンジじゃなくてストレンジ先生と言ってしまう。ヒーローというより彼は本当に「先生」って感じ。

ストレンジ先生が学ぶ魔術はMCUを語る上で大切な概念である“多次元宇宙(マルチバース)”の力によるものであるため、ドクター・ストレンジの力はアベンジャーズにとっても重要なものです。ほかのヒーローにはない視点から今後アベンジャーズを導くことになります。

この後のシリーズではすっかり指導者然してる彼なのですがこの映画は彼のオリジン(ヒーローの成り立ち物語)なのでとても未熟な姿が見られる貴重なものですね。まだ世俗の垢が抜け切れてないストレンジ先生は良いものです。

ラストのオチは彼のモットーや魔術を使うヒーローという特質が存分に生かされたなかなか特異なもので「こういうのもあるのか⁉」と思いました。MCUの多様性を感じることのできる作品の一つ。

金ローは大幅カットがあったので、修行シーンがあっさり終わってしまいすぐにかっこよく魔術師になったみたいな感じでしたが、どうやら本編ではもっと大変だったらしく……。修行中締め出されてめそめそしてたストレンジ先生のシーンがあると聞きました。ぜひレンタルで見直したいです。ストレンジ先生かわいいよ、ストレンジ先生。

⑦アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー

ちょうどエンドゲームが話題になってマーベル作品が取り上げられる機会が増えたころ借りてきました。今回のマーベル作品視聴マラソンのきっかけとなった作品。

この作品の主役はヒーローの誰でもなくヴィラン(悪役)のサノスでしょう。このサノスは③で紹介した『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヴィランでもあります。ガーディアンズの時は今一つその全容がわからなかったサノスの目的や人となりが少しづつ明かされていくのです。

偶然ですがこの作品を見る前に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を一作でも見ていたのはラッキーでした。結構この作品のキャラクターたちが重要。映画のストーリーは六つのインフィニティストーンをめぐる最後の攻防戦です。

ヒーローものが魅力的な作品になるにはヒーロー以上に魅力的なヴィランの存在が不可欠ですがサノスはまさにそれにふさわしい厚みのある人物。一見ただの冷血漢にも思えますが、冷血というより冷静かつ客観的視点を持つ人物。目的のためにより最短で効率的な道を探ろうとする合理主義者であるといえます。

無差別に見える殺人もあえてそうしてるんだなと分かるし。とにかく機械的にでも全宇宙の存亡のために宇宙の人口を半分にするのが得策、そのためにインフィニティーストーンの力を使う、そう一度決めた目的のためにサノスは迷いなく突き進むのです(六つのインフィニティストーンをそろえることで指一つで世界の半分を滅ぼす力が得られるとされます)。

手段はともかく目的は単なる我欲ではなく確固たる信念があります。その信念の強さが最も示されるのがインフィニティストーンの一つであるソウルストーンを手に入れるシーン。ソウルストーンを所持するためには自身が最も愛する者をいけにえにせねばなりません。サノスは苦悩しつつも情愛を注ぐ義娘のガモーラを谷底へ落とすのです。理想のためには例外はない。そんな恐ろしい強さを見せるシーン。

この後サノスがきちんとソウルストーンを手に入れていることからサノスのガモーラへの愛が偽りではないことが分かりますし、それでもなお理想を貫こうするサノスの決意が本物であることも証明しています。
また、サノスの人間離れした苛烈な愛情を憎しみと憧憬のはざまで見つめていたガモーラにとってはサノスが自分を最も愛する者としてささげたことは二重のショック。いっそサノスが愛情のない単なる冷血漢でガモーラを利用していただけの男であった方がよほど救いだったことでしょう。とにかくすさまじい怨念にまみれたシーンです。

とにかく単なる物理的な強さだけでなく思いの強さがこれでもかと描かれ、サノスに勝てるやつとかいねーよ……っていう絶望的気分にさせてくれること請け合いです。ヒーローたちの果敢な抵抗がいかにむなしいか。

この時点でも十分絶望を感じましたが、今各ヒーローたちの背景や強さを実感として知った後で見たらさらに絶望すると思います。皆それぞれに強い信念を持つヒーローたちの価値観ごとサノスはすべてをぶち壊したのですから。改めて見直すのが怖い作品。

なんだか昨今の世界情勢とか考えると人類を半分減らせとかいうサノスの言を真っ向から否定しきれいない自分もいたりして。インフィニティストーンで苦しみなく消滅させてもらえるなら状況によってはやむを得ないのかななんて悪魔な思考も顔を出してしまう。サノスのあらがえない強さおそるべし。心を支配してくる……怖い。でも私はエンドゲーム見たいからまだ死ぬわけにはいかないんだ。

ラストがもう全力を尽くしたのにそれでも勝てねぇーって絶望に満ちててこれから一体どうなるの~!! って猛烈に気になるところで終わってます。このすぐ次の続編がエンドゲームなんですけど、多くのマーベル未履修の状態で見てしまうのはあまりにももったいない気がする、というか今までもかなりもったいなかったのではということにようやく気付かせてくれたインフィニティウォー。ありがとうインフィニティーウォー。

偶然だけど直前に『ドクター・ストレンジ』見ていたのは幸いだった。結構ストレンジ先生重要な役どころ出てくる。見てなかったら何このおっさん突然……ってなるところだった。金曜ロードショーにもありがとう。

ここから怒涛のマーベル視聴マラソンが始まります。

⑧ブラックパンサー

やっぱりなんか格好よさそうという理由で家人が借りてきました。まあ確かに格好いい。それは認める。

自然と機械文明の融合ってロマンだよね。近代的価値観を持つヒーローだなと思う。とにかく主人公のティ・チャラが凛々しくもかっこいい。スーツも美しいよなぁ。

ストーリーはアメリカの黒人白人間の対立や人種のるつぼの雰囲気を肌で感じている人間でないと真に理解できない部分はあるのかなって感じる。

あとキャップの盾の原材料であるヴィブラニウムがティ・チャラの祖国ワカンダの原産であると初めて知りました。世界観のつながりが一つ一つ明かされていくたびにワクワクする感動がありますね。

⑨ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

とりあえずインフィニティーウォーで超重要な役どころを担ったサノスが出てくるシリーズですので理解を深くするためにも各キャラクターをもっとよく知らねばということでこれを見ました。③の続編シリーズです。

③の時も書きましたがとにかくこのシリーズはMCUの中でもかなり異端。主人公をはじめ仲間たちもみな「ヒーロー」というくくりに入れるにはあまりにも破天荒な連中ばかりです。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは悪も正義も内包する行きずり者たちの寄せ合いチーム。でもそんなアウトローぶりがなんとも見ていて楽しいのです。個人的価値観で動く彼らには重苦しいヒーローの縛りなんてありません。

チーム内の軽妙な会話を聞くだけでも楽しい。色々聞いてるとほかのシリーズでパロられてるセリフとかも発見できたりして楽しいです。私は今回の映画ではドラッグスとヨンドゥが好きだったなぁ~。特にヨンドゥは後半あんな泣かせに来るとか反則だ。ドラッグスも普段はあほみたいな脳筋の癖にここぞというときには皆の心を一つにするようないいことを素で言ったりするからずるい。あと今回出てきたマンティスとのほほえましい触れ合いが美女と野獣といった趣でかわいいよ。ドラッグス何を言ってもおかしいし良いムードメーカー。

番宣なんかではやたら目立つアライグマ(ロケット)とか樹木型ヒューマノイドの彼(グルート)なんかが目に付くし、確かに彼らは最高にいかしてるけど、ほかにもいっぱいいいキャラいるんですよ。痛快なスペースオペラが好きなら本当におすすめ。

インフィニティーウォーからの流れでいえばガモーラと義妹のネビュラとのやりとりが「このころはこんなだったのか」と感慨深かった。ガモーラも相当悲惨な過去の持ち主ですがネビュラは輪をかけてひどい境遇なので本当に幸せになってほしい。インフィニティウォー以後どうなるんだろう……。とりあえずこの映画で胸襟を開いて本音をぶつけ合えたことはよかったなと思った。

ただなんかこう仲間たちがいろいろ濃かったりギャグや軽妙さを優先した結果主軸の主人公にとる尺はちょっと短かったかなって思った。なにより義父のヨンドゥがあまりに良すぎてなぁ。この映画のいいところ全部持って行っちゃったわ。ピーターもいい奴なんだけどどちらかというと狂言回し的な立ち位置と感じるので彼個人にすごく思い入れが出るかっていうとそんな出ないんだな。とりあえずガモーラを幸せにしてあげてくれ。

⑩アイアンマン

苦節数年。ようやくアイアンマンが我が家にやってきました!!(長かった……)

借りようと思った時には貸し出し中であることが多く、しかもエンドゲームによるマーベルフィーバーでさらに貸し出しが増えなかなか手にできなかったんです。1から借りられてよかった。

私はもともとスパイダーマンのように自分の手でスーツを手作りしたり地道な自助努力でヒーローになるタイプが大好きなので絶対アイアンマン好きだーって思ってたんですけどやっぱり好きでした。トニー社長は全く最高だぜ。

アイアンマンはMCUのスタートを飾る最初の作品ですがそれにふさわしい入門編としてのそつのなさがあります。

どうしても広大な世界に雄大な目的があると設定も複雑になり何が何やらわからなくなってしまうのですが、アイアンマンは基本アメリカが舞台ですしキャラも地に足のついた人物ばかりで突飛な設定のキャラクターはいません。この作品ではヴィランの目的も会社の利権とシンプル。トニーがヒーローになる動機も自身の命と会社を守るためという個人に直結したものなので分かりやすいです(もちろん大きなところで世界の平和を守るためというのもありますが)。ストーリーを追うのに迷うことなく爽快に楽しめます。

トニーは自身に降りかかる無理難題を着実に優れた頭脳を駆使して解決していく知略の人です。自分自身を鍛えるより先にまず強化スーツを作ってしまうというのが現代のヒーロー。作中でのトラブルを境に権勢にまみれた自身を恥じ、正義を成し遂げようとする意志の強さを見せます。

スターク・インダストリーズ社長であるトニーは金にも名誉にも恵まれ、はた目には絶対的成功者。ウィットにとんだ会話を飛ばし一見陽気に見えますが、その実どこか寂し気です。父親からの愛情が薄く、早くに両親と死に別れたトニーは奪うことと無秩序に与えることしか知らない愛に飢えた人物だったように思います。

なんか研究所とかスーツに仕込んでる人工知能たちがすごく優しくて理性的なパートナーなんですよね。こういう風な友人や師、そして両親が欲しかったのかなって。一応空軍に古くからの大親友ローディとかもいるので人間的な交友が全くなかったわけではなかったのでしょうが、今回の話では軍需産業から手を引くと言い出したことで一時的に仲違いしたりしてたし、そういう人間関係で辛いときとかは自身の発明品に癒されたりしているのかもしれない。不器用なロボットアームたちを叱責しながらも決して処分しないトニーに愛を感じる。

そういえばここに出てくる人工知能J.A.R.V.I.S.がのちにウルトロンでヴィジョンになるわけですよね。ヴィジョンはまさにスタークの息子的な存在なんだなぁ。インフィニティーウォーの時も大事に遠方地にかくまったり大切にしてたのはそういうこともあるんだな……。意味が分かると色々深まる。

満たされぬものを自身の才能で埋めようとしながらもやはり満たしきれない。危ういメンタルと成熟した大人としての姿のギャップがトニーの最大の魅力です。

他のヒーローシリーズでもヒーローにはヒロインに当たる相手役がよくいますが、アイアンマンでのヒロイン役であるペッパーはMCUの今までのシリーズの中で一番好きなヒロインです。特殊能力も何もない普通の女性でちょっと慌て者ところもあれど情愛深く賢い。素直にトニーとお似合いだなって思うんですよ。一番うまくいってほしいなと思った二人です(でもこの後色々……色々ね)。

最後にフューリーが「アベンジャーズの話をしに来た」とやってくるシーンはこれから始まる壮大な物語の序章って感じで本当にドキドキしますね。ここからずっと伏線を張ってたんだから本当にすごい。

⑪マイティ・ソー/ダーク・ワールド

とにかく借りられるものから借りていくという方針なのでこれを借りてきました。本当は1から見たかったけどそうもいっていられない。もう開き直って大体のあらすじをネットでネタバレしてから見ました。

というのもこのマイティー・ソーシリーズ、北欧神話を下敷きにしたファンタジー色強い作品で設定を理解するのが非常に大変。舞台設定が広大すぎて初見では戸惑いまくりです。幸いなことに今はまっているジャンル関連で北欧神話の神様についてさらっと履修する機会があったので基本的な関係性は理解できました(おそ松さんで北欧神話履修することになるとはな)。オーディンとヘイムダルとかこういう名前を覚えるだけでもファンタジー慣れしてないと苦労しますからね。オタクはこういう時助かる。

オーディンの息子がソーとロキでソーはオーディンの実の息子だけどロキは違うんですよね。その事と兄へのコンプレックスから謀反を起こして失敗しとらえられた状態で始まってることはまず理解しないとこの作品全然わからないので1のストーリーを先にカンニングしといたのは正解だった(できればちゃんと1から借りたかった)。

今回のストーリーではソーとロキの母親であるお妃さまのフリッガが印象的でした。この映画ではソーとロキ共闘するんですがその陰にはフリッガの存在がありますよね。父親のオーディンやソーには愛憎を抱くロキですがフリッガに対しては素直な愛情を感じている様子が見て取れます。

しかしとにかく設定が難しい。結局映画本篇だけですべての設定を理解しきれなかった。かなりネットでカンニングしてようやく。衰えた頭に壮大なファンタジーは辛い。

あと超個人的にヒロインのジェーンはいい子だけどソーとくっつくには役者不足じゃないかな……って思うところ多々あった。ただの人間が付き合うにはちょっと神様は荷が重いというか。素直にお似合いっていうには二人の感覚違いすぎるよなー!って。ソーは規格外のおぼっちゃまだしね。雷神だもの。

ラストはびっくりしたけどまあロキだしな!って。続きがあることは知っていたので次をお楽しみにねって感じなんだろうと。ロキが何をやっても驚かない。

⑫アイアンマン2

まず思ったのがヒューリーとブラックウィドウの声が違うって事! これまでアベンジャーズを先に見ていたため竹中直人と米倉涼子でしか知らなかったんですよね……。アイアンマンシリーズではプロの声優さんが演じています(アイアンマンの1でも声優さんの声でヒューリーちょっとしゃべるけどほんの少しだからあまり気にしてなかった)。なんか公開順に見なかったことには後悔しかないもののこの二人の声に関しては先にあっち聞いといてよかったと思わずにはいられません。悪いのから良いのになる方がマシ(ごめんやっぱり声優のプロにはかなわないと思うんだ)。

特に竹中氏の声には良い悪いとかじゃなくてとにかく「竹中直人~!!」って強烈に感じてしまうのがマイナスしかない。この声優さんのままでいてほしかったのが本音です。大人の事情は切ないな。

前回の1の時以上にトニーの精神面が不安定。さらに前作で自身の心臓を蘇生させるために取り付けたアーク・リアクターによるパラジウム中毒にも苦しみます。心身ともにボロボロです。死期を感じスターク社のCEOを秘書のペッパーに譲るも、徐々に感情的にすれ違ってしまい孤独を深めていきます。相変わらずトニーは人に頼るのが下手くそ!(素直にペッパーやローディに不安を打ち明ける強さがトニーにはないのですよね)

トニーも亡父のハワードも事業家としては有能なれど、そこにかかわる末端の人間に対しての配慮に欠けてるところがある。天才型の人間によくあることですけど成功の陰に泣く人間のことに心が回らないんですよね(というか知らないんでしょうね)。そのせいであちこちから恨みを買いすぎです。特にトニーは1の傲慢だったころに相当人間関係を雑にしていたためそのころの関係性借金で毎回苦労する羽目になるのです。今回の敵は父ハワードがらみの因縁。つくづくスターク家には敵が多い。

今回の肝はトニーが父ハワードの不器用な愛に気づくところかな。十分ではないもののハワードも彼なりにトニーのことを気にかけてはいたのです。何よりもその才能を誰よりも認めてくれていたのが父親だと知ったことで自信を取り戻すトニーの姿がいいですよね。本当に欲しかったものが手に入った瞬間に逆転の勝機が見えてくるっていうのベタだけど王道。

ペッパーともようやく仲直りし最後には晴れて恋人に。トニーはこれ以後正式にアベンジャーズの一員となります。

エンドロールにマイティ・ソーの影をチラ見せ。時系列としてはこの話の後にマイティ・ソーの1なんですね。

⑬アイアンマン3

アイアンマンシリーズの完結編。アイアンマンは時系列順に見られて本当に良かった。時系列は大切。

今回はトニーが傲慢だった時代に無碍にした人間にしっぺ返しを食らう展開です。ほらまた人間関係がらみだよ……。

フェイズ1のアベンジャーズが終わった直後で、宇宙人チタウリとの戦いの激しさから心にトラウマを負いスーツ依存症になっていたりますますメンタルが摩耗してる様子のトニー。自身の知能にすがるようにスーツを開発し続ける姿は狂気に満ちています。

今回のテーマはヒーローである資格は何なのかって事かな。基本身体能力は普通の人間であるトニーはとにかくスーツの力に頼ってしまうのですが今回はそのスーツの能力が使えない状況に追い込まれます。絶体絶命の危機でも決してあきらめることなく知力を生かして最大限の工夫をする姿はアイアンスーツがなくとも立派なヒーローです。

MCUの世界ではかつてキャプテンアメリカを作り出した超人兵士計画を再びという流れがしょっちゅうあって何かと強化人間を作ろうとしがち。今回はエクストリミスという再生医療目的で開発された薬を悪用して強化人間を作ろうとするし。強化人間計画は失敗リスクが高すぎて割に合わねーと思うんだけどなぁ……。

アクションもドラマもアイアンマン最終章にふさわしく豪華です。特にCGではなく実際にスカイダイビングで撮影したという飛行機から全乗客が吹っ飛ばされるアクションは大迫力。DVDの最後にメイキングが載ってたんですが圧巻ですよ。あれが実際のスタントとCGの組み合わせとは知らなかった。スタントの人命懸けだ。

些末に扱った人の縁に裏切られ、最後には大切な人の縁によって助けられるという大団円。すべてのスーツをクリスマスの花火にして処分してしまうラストは美しい。本当はここでアベンジャーズからも引退できていればトニーにとっては幸せだったかもしれないしペッパーもそれを望んでいたんでしょうけど、トニーが引退するにはまだまだ世界は平和とは言えないんですよね。残念ながら。

この流れがあるからこそ人民だけでなくヒーローたちの安寧も願ってウルトロンで究極の人工知能を作ろうとしたんだなって改めてわかって切ないです。

⑭キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー

ようやくキャプテンアメリカシリーズを見ることができました。ただし2ですが……。マーベルの中でも象徴的存在の一人であるキャプテンアメリカの話は本当はもっと早く見たかったんですよ。一応オリジンのあらすじは知っていますし、アベンジャーズでの知識からコールドスリープ的なもので何十年か眠っていたため若い姿のまま現代に復活したということは知っていました。

しかし、キャップの親友であったバッキーのことについてはこの時点では知らなくて……。これは1から見られなかった痛恨のミスですね。何とか脳内で補完しながら見ましたが。これを知ってると知ってないとではストーリーの衝撃度が違います。まあ普通ほっといても1から見ると思うので私のような目に合う人はいないだろうと思います(1がなかなか帰ってこなかったんだ!)

知らない時代にいきなり取りこのされたキャプテン・アメリカこと、スティーブが右往左往しながら適応しようとしている姿がけなげ。かつてのヒーロースーツをちょっと時代錯誤すぎない?って気にしてるのがおかしい。あれ気に入ってたわけではないんだな……(派手だよね)。四角四面ではなくそんな人間味も見せてくれるところが素敵です。

ストーリーはとにかく誰が敵でだれが味方が分からず状況が二転三転。そんな中でもかつての親友であるバッキーを何とか救おうとする姿には迷いがありません。どんな危機的状況においても正義の心は失わない。それがキャプテンたるスティーブの最も優れた資質なのです。

スティーブにはどんなに不利な状況でも力を貸そうとする人が必ず現れるんですよね。人望はMCUピカイチだと思う。まさにアベンジャーズのリーダーにふさわしい。そんな男だと再認識しました。強い力を持つヒーローは数多くいますけど、最も信頼できるヒーローはだれかって言われたらマーベルでならやっぱりキャップだよなって思いますもの。

その名前からアメリカへの愛国心あふれるヒーローなのかと誤解されがちですが彼が信じるのはあくまで古き良きアメリカの理想。国ではないのです。現代のアメリカの価値観には懐疑的。そして疑問に思ったことには決しておもねらず我を通す。そんなスティーブはむしろ超個人主義的な男だと感じましたね。忖度などという文字は彼の辞書にはありません。

ただのきれいごとにも思えますが彼の言動には本当に裏がなくてすべてを自分の責任で行う覚悟があるので信用できます。それでいて大切な部分を信頼する人間に任すことのできる度量もあるし、忠告に耳を傾け自分の中の正義を再考する柔軟性もあるんですよ。なんというか「人格者」と呼ぶにふさわしい人間だなと思いました。ヒーローの中のヒーローだ。

そんなスティーブの執念が奇跡を起こしバッキーの人格がよみがえる兆しを見せたところで物語は終わります。まだまだ未解決の懸案は多いもののわずかばかりの希望を見せるラストです。

同時にエンドロールでは新たな不安の種を垣間見せ不穏な雰囲気も醸し出しています。キャプテンアメリカやアイアンマンシリーズには現代アメリカの病理みたいな描写が数々登場するため生々しくもリアルな感じがしますね。こういう映画を作ってしまうところがなんというかアメリカらしい。現代日本じゃ政治や軍事がらみのヒーローなんてまず描けないですよね。

⑮インクレディブル・ハルク

なんというかとにかくバナー博士がかわいそう。それにつきる。博士は全然悪くないのに重い運命背負わされすぎ。事故の影響で制御できない怪物を身に宿す羽目になるという悲惨な状況。しかもその身体強化故自殺することすらできない。八方ふさがりすぎて本当に責任者出てこいや!

これもまたアメリカ軍による超人兵士計画の一つみたいなんですが案の定の失敗です。もうやめとけ本当に。

のっけから音楽も映像も暗くて重い。ストーリーに救いがない。少し前にアイアンマン3を見てたのでペッパーをエクストリミス超人化から解放した要領でブルースも救えないのかよ~ってちょっと思ってしまった。

役者さんがこれ以後のバナー役の人と違いちょっと渋めなのも手伝って悲劇的な雰囲気が否応にも増します。これ以後少しづつハルクやバナーはコメディーリリーフ的なキャラクターに変わっていくんですけど、どうせ超人化から逃れられないのなら明るく楽しく生きる方向の方がいいやと思う次第です。本当に何とかしてやってくれないですか?

⑯シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

キャプテンアメリカの1が手に入らなかったのでとりあえずこれを。インフィニティウォーとかにつながる重要な話と聞いたので取り急ぎ見ました。これ前述のハルクとほぼ同時に見たんですけどこんなつらい話を二連チャンしたのは失敗だったよ。

様々な思いが錯綜しヒーローたちのきずなが壊れていくのを見せつけられます。特にキャップとアイアンマンの二人が決定的争い合う姿がきつい。

大局を争う戦争により被害を被る一般市民たちの苦しみが一つのテーマとしてあります。特にトニーはもともと一般市民よりの人間ですし、人の縁を踏みにじって生きてきた過去を恥じていますからその事には最も心痛めているように見えました。

テロ計画討伐計画の失敗により一般市民に多大な被害を出してしまったことからヒーローたちに世論の非難が集中。政府は「ソコヴィア協定」という法律によりヒーローたちを登録・管理しようとします。なんかこんな展開かつて『ミスター・インクレディブル』でもみたけどアメリカ的なヒーロー観に基づいているのかもなって思う。

ヒーロー活動の自由を訴え協定に反対するスティーブと、国民感情を考え国に従おうとするトニーとが激しく争うこととなるのです。国の管理下に置かれることで自分の正義が行えなくなるという危機感は前作で政府や軍に振り回されたキャップなら持って当然だし、ウルトロンの戦いですでに大失態を犯しているトニーがこれ以上国民からヒーローたちが懐疑的にみられる状況を作りたくないと思うのも当然。一体何が正解なのか誰にも結論づけられない混とん状態です。

前作で洗脳が半分解けたバッキーがここに絡まることで事態はますますややこしくなり、ついにはキャプテンアメリカ組とアイアンマン組での冷戦に突入してしまうのです。

とにかく全編辛い。辛すぎる。このシビアすぎる展開のお楽しみ要素が最強ヒーロー決定戦ともいうべき空港でのバトルロイヤルシーン。やっぱりヒーローたちが集えば誰がNO1なのか競い合え~って展開どうしたって一回は期待しちゃう。仮面ライダーとかのヒーロー大戦もなんだかかんだ大好きな女だからさ。血が騒ぐわけよ(それどころじゃない状況なのは分かってるけどそれはそれなんだ)。各ヒーローの個性生かしたバトルシーンは必見。

単に力比べっていうんじゃなくて価値観同士のぶつかり合いなんです、シビルウォーは。それぞれに味方する部外者ヒーローたちの立ち位置も様々。おっさんヒーローであるアントマンが古き良きヒーローであるキャプテンアメリカに特別な尊敬を持ってるのはらしいなって思うし、その一方でトニーに連れてこられた新世代のヒーローであるスパイダーマンはキャプテンアメリカ?なにそれおいしいの??って感じで無邪気にスタークさんのスーツすごい!ってキラキラしてるし時代の違い感じちゃう。若い子たちのあこがれのヒーローはアイアンマンなんだよなぁ多分。そういう反応のリアルさが楽しい。

ちなみにスパイダーマンはこのシビルウォーがMCU初出。彼だけはオリジンが省略されていきなりの登場なんですよね。あまりにも有名なオリジンだから皆知ってるだろうし、飛ばすよ! ってことなのかな。スパイダーマンは諸事情でMCU参加が遅れちゃったので時間がないせいもあるかもしれませんね。

辛い展開ながらも最後には信じあうヒーローのきずなを見せてくれます。たとえどんなに策を弄されてもお互いを思う気持ちは決して壊れることはない。それがヒーローたるものの真の強さなのだと、そう訴えるようなラストです。

⑰キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー

ようやく見ることのできたキャプテン・アメリカのオリジンたる最初の作品です。一応あらすじとしては知っていましたが実際に見ると感慨深い。今までの作品でさんざん強くたくましい肉体のスティーブを見てきただけに肉体強化前のスティーブの姿にはインパクトがありました。

アメリカ軍が研究していた「スーパーソルジャー計画」(肉体を強化した超人兵士の軍隊を作る計画)の最初で最後の成功者がスティーブです。この後何度もこの計画に近いことを実行しようとする輩が現れますけど、この映画の中で大本となる超人血清の発明者であるアースキン博士が殺されてしまっているんですよね(アンプルも全滅で研究成果が消滅している)。それゆえに研究を完全再現する事ができずこの後悲劇が次々と生まれしまうのか……。

生まれつき体が弱く徴兵検査さえ満足に通らないほど貧弱なスティーブですがそのメンタルはこのころからキャップと呼ぶにふさわしい強靭さ。自分の理想を貫くためなら命すら問わない鋼メンタルの持ち主。その圧倒的善性を見込まれアースキン博士に超人血清の被験者として抜擢されるのです。フェイクの手りゅう弾で勇気を試された際屈強な兵士たちが逃げ惑う中ためらうことなく体で爆弾を抱えるスティーブ。本当にワンテンポもためらわない姿に凄みを感じてしまいます。

ヒーローには周囲の影響を受け真のヒーローとして成長していくタイプと、最初からヒーローとして完成していてヒーロー自身が周囲に影響を与えていくタイプと二種類いると思ってるんですがスティーブは肉体こそ弱いけど間違いなく後者のタイプのヒーローですよ。日本の特撮で言ったら仮面ライダー電王の良太郎みたいな……そんなタイプの主人公かもしれない(作品の印象は全く違いますが)。

キャプテン・アメリカは決して強いからヒーローになったのではない、ということがよくわかるオリジンです。超人血清の強化能力は肉体にとどまらず精神にも影響します。そのため心中に抱えているものもすべて肥大化してしまうのです。だからこそ超人兵士に求められるのは絶対的な正義。それを持っていたのは(MCUストーリー全体を通しても)スティーブだけだったんじゃないかな。おそらくこの後「スーパーソルジャー計画」が破綻せずつつがなく続いたとしてもキャプテン・アメリカのような兵士が生まれたかは疑問。きっとなにがしかの問題が起こって頓挫してしまうんだろうなぁと容易に想像できます。

アースキン博士は実に人を見る目があり正しいことを実行することのできる理性がありました。頭脳と善良さを合わせ持つ科学者ですごくいい人だったのでお亡くなりになってしまったのは本当に残念です。彼が生きていればなぁと思うようなことこの後次々と起こりますもの。とはいえ物分かりのいい人物ばかりだとお話は面白くならないんだよなーということも分かるので彼が舞台から消えた理由も何となく察してしまう。私はアースキン博士が大好きだよ……。

超人化した後もアメリカ軍のお飾りにされたり、不本意な仕事をさせられたりとスティーブは本当に苦労人です。キャプテン・アメリカはその見た目からステレオタイプのキャラクターに誤解されがちじゃないかなって思うんですが、ちゃんと現代的な要素もあるし、一歩進んで二歩下がるような地道な努力もする人間味あるヒーローです。実際に話を見るとスティーブのことますます好きになっちゃうよな。好きというのもおこがましいというかなんというか尊敬する。

あと私、今までスティーブの人間関係に関してかなりストイックな印象を持っていたんですよ。でも、超人化前の彼を見るとあのストイックさの裏には女性経験のないモテない君だった時代の童貞メンタルが隠れてるのかなってちょっとほほえましくなりました。要するに女の子に慣れてないんだ、実は。だからこそ、女性をただ女性としてエスコートするのではなく実に人間的に接するともいえるんですけどね。とにかく誠実。ヒロインのペギーもスティーブのそんなところにひかれたのでしょう。結局生き別れになってしまったのは本当に悲しいですね。

でも洋画とかだとすぐ主人公とヒロインがエロ目にイチャイチャするの若干いたたまれなくて苦手な私としてはスティーブの控え目さ大いに助かります。キャプテン・アメリカに限らずMCUのシリーズはそういうイチャイチャが一般的アメリカ映画に比べて割とあっさり目なのも私がいい感じで見られる理由の一つかもしれないと思いました。ヒーローものに恋愛は刺身のつまで良いです……。性交渉とかも朝チュンで十分。

あとはバッキーな! 在りし日の凛々しいバッキーが見られます。この後のことを知ってると本当にまぶしい。スティーブが親友として彼を大切に思っていたバックボーンが分かるとのちの話がなおさらつらい。なぜあんなことに。ヒドラ許すまじ。

その他ではマイティ・ソーに出てくるアスガルドの宝である四次元キューブの存在が出てきたりとか「スーパーソルジャー計画」にトニーの父であるハワードが参加してたりとか色々伏線がちりばめられてますね(キャップの盾も元はハワードが作ったもの)。人類を超人化する計画をしていたハワードの息子であるトニーが後にヒーローたちをも救うため人ではない究極の人工知能を作ろうとするというのもなんというか業を感じてしまいます(コミック原作ではウルトロン作ったのはトニーじゃないらしいけど)。

⑱マイティ・ソー

北欧神話の雷神トールを下敷きにしたヒーローであるソー。そのオリジンがこの作品。序盤から理解しなきゃいけない設定がてんこ盛りなのでこの作品はくれぐれも順番に見ることを強くお勧めします。私は2から見たのでチンプンカンプンだったよ。とりあえずソーたちの住んでるところが宇宙のどこかにある「アスガルド」という場所で、彼らは地球のことを「ミッドガルド」と呼んでるという基本知識はまず覚えておかねばなりません(ぼんやり見てるとどんどん設定に置いて行かれる)。

豪放磊落な強戦士であるソーですがオーディンの後を継いで王になるには精神が未熟。膠着状態にある巨人族の長に喧嘩を吹っ掛けたことで父オーディンの怒りを買い地球(ミッドガルド)へ追放されてしまいます。今回のストーリーの目的はともに落とされた最強武器であるムジョルニアを取り戻しアスガルドへ戻ることです。

ムジョルニアは北欧神話にも出てくるソーの武器ですがとにかく何でもありっていうか、パワーは半端じゃないし、空も飛ぶし時空も超えるし、どこにあっても持ち主と認めた人のところには勝手に戻ってくるし、超頑丈だし欠点という欠点が見当たらない究極武器。その代わり高潔な魂を持つ人間にしか持ち上げられないんですけどね。オーディンから神様の力をはく奪されてるソーは心を入れ替えない限りムジョルニアを持ち上げることができないわけでムジョルニアを奪還できるか否かっていうのがイコールソーの成長と直結してるわけです。

今回の話で白眉なのはやっぱりロキの描かれ方かなと思う。正直今までのシリーズのロキは要所要所に出てきていらないこととする悪役って印象しかなく、後半になるしたがってコメディリリーフのような言動が多々になってくるので、世間でかなり人気キャラなのが分かるようでわからなかったのですよ。

でもこの無印のロキはそういう笑いの要素はほぼなく報われぬ感情を持て余す悲劇のキャラとして描かれています。父や兄に対して強烈なコンプレックスを持つ理由がとてもよく分かるし納得できる。誰が悪いせいでもないのですがこればっかりはどうしようもねぇ~という出来事の積み重ねが丁寧に描かれています。

悪堕ちしてしまったロキの心情に共感してしまう人は多いんじゃないかな(悪いことであるという前提は持ちつつも、ね)。兄弟とか親子の関係においてよくあるタイプのコンプレックスが描かれているし。特にこの話の前半ではソーがとても傲慢なので「恵まれた境遇を理解せぬ愚か者」と映るためそれに対してロキがどう思うかということが手に取るようにわかってしまうんです。そりゃ兄貴死すべしってなるわ。俺が王様になるわってなるわ。

しかしこの作品でロキが一躍人気になったため作中死ぬに死ねず、なんだかどんどんコメディチックなキャラになってしまったのはいいのか悪いのかどうなんだろうなぁ~。私は無印のロキ好きですけどね。ただこのキャラのままだと早死にしてしまいそうなので仕方ないんだろうな。

⑲マイティ・ソー/バトル・ロイヤル

マイティ・ソーシリーズ最終作。オーディンの死により封印されし邪悪な女神ヘラが復活。アスガルドの滅亡をかけて戦います。

……なんですけど、なんかこの映画いままでのマイティ・ソーと雰囲気が違いません? どうにも軽い。CGとかは今まで通り豪華だし画面は華やかなんだけど演出とかエピソードとかBGMがなんか軽い(EDの音楽にもちょっと違和感があった)。これは単なる個人的印象なので好みの問題でしかないですけどね。ファンタジーっぽい重厚さがあまり感じられなくてちょっと入り込めなかったなぁ。

冒頭のロキとかも完全にコメディじゃないですか。前作であんなもったいぶって王に成り代わったのになんか笑いみたいなシーンにされたのちょっと解釈違いという今作の演出は苦手かもしれない。

敵のヘラも究極武器のムジョルニアをあっさりと壊したり間違いなく最強最悪の敵なんですけど凄みが感じられない。ヒステリックなおばさんという印象が強くて最後の敵としては物足りないです。あくまで私は、ですが。

描きたかったテーマは分かるしラストは一応納得できるけどなんだか消化不良だなと感じてしまいます。これは本当に好みの問題ではありますが。ファンタジー系の話と私の相性が良くないだけかもしれない。

この映画で一番ジンと来たのは命惜しさにヘラにへりくだっていたスカージが最後に勇気を振り絞りアスガルドの民を守って命を落とすシーン。あそこは良かった。あとハルクが自我を獲得したのは素直に嬉しい。ハルクがみんなに素直に協力しないのは当然ですよね。都合のいいときだけ便利の良い道具みたいに使われるの面白くないに決まってます。だから、インフィニティー・ウォーの時もあんなに反抗的だったんだなって改めて納得。バナーもかわいそうだけど勝手に生み出されて忌み嫌われるハルクもかわいそうだもんな。ハルクのメンタルコントロールがもっと上手にできるようになることを願います。

どうでもいいけど2で恋人になったジェーンとあっさり破局になってたの笑ってしまったんですけど。でもあの二人やっぱり人間としてのステージ違いすぎるしそれぞれもっと価値観の近い人間との方がうまくいきそうな気がする。

⑳スパイダーマン:ホームカミング

キャプテン・マーベルとかまだ見ていないものはあるんですがとりあえずこの作品でマラソンはラスト。ちょうど少し前金曜ロードショーでやっていたので視聴。エンドゲームのおかげで金ローでマーベル作品色々放送してくれてありがたいです。カットが多いのが玉に瑕ですが。

私は映画のスパイダーマンシリーズはもともと大好きで特に一番最初のサム・ライミ版のやつが好きなんですよね。だからこそ思い入れがあります。感想もちょっと長くなりますよ。

なおこの感想で元作品としている映画のはサム・ライミ版の無印シリーズだと思ってください。原作コミックにも一番忠実っぽいので便宜上そう書きます(原作はさすがに読んでないのですみません)。

この作品、元作品と比べると結構改変部分が大きいので元シリーズのファンの中には少しばかり思うところがある人もいるでしょう。それはそれで分かりますがこれはあくまで「アベンジャーズ」の中のスパイダーマンなので完全に別物として見るしかないです。正直元の作品の雰囲気そのままだと後期参入のスパイダーマンをうまくMCUになじませるの難しいのではないかと感じるので私はこれでよかったと思います。

元のスパイダーマンって実は結構悲劇のヒーローでもあるんですよね。行きがかり上の事故で偶然力を手にしたのが当時学生だったピーター(ちょっとハルクっぽい)。そのせいで運命がくるってしまう苦悩がこれでもかと描かれます。あとほかのヒーローたちと違い正体を隠しているので実生活とヒーロー活動との間で齟齬に苦しんだり、街の人たちから理解されず誤解されたり結構気苦労が多いです。未成熟な青年にもかかわらず、協力者もほぼおらず、地位も金もなく一人でなんでもやらなくてはならない境遇。その成長と頑張りが魅力だったんです。

ところがこのMCU版のストーリーでは悲劇の始まりとなるオリジンをダイナミックにカット。もちろん基本的な境遇(両親がおらず現状叔母と二人暮らし)から今までのシリーズと似たようなオリジンはあったのだろうなと推察されますけど実際に描かれるのと描かれないとでは印象が違います(叔父の死にかかわるエピソードは今作のピーターのキャラの明るさを考えるとなさげ)。

そして最大の違いはスパイダーマンであるピーターに教え諭す存在としてのアイアンマン(トニー)がいることです。頼るべき存在があるため、逆説的にピーターの未熟さが際立つことになりました。悲劇性はほぼなくなりピーターのキャラクターも大分明るい現代風の少年になっています。

時系列的にはシビルウォーの後ですね。あのシリアスなシビルウォーの裏でのんきにはしゃぐピーターの姿も描かれその未熟さをよく表してます。スマホで写真撮ったり本当に現代的な若者ですね。

MCU内でスパイダーマンがどのような位置づけで描かれているのか? 私は旧世代から新世代への継承の象徴だと感じます。これはインフィニティーストーンをめぐる戦いにも佳境が見え、次のステージへ進むうえでヒーローの世代交代が必要だと思うからです。

師匠としてアイアンマンを持ってきたのは私は割と好きです。両親の不在や科学者としての知能など結構キャラが被るところがあるので。それでいて決定的に違うところもあり対比にもってこいな二人なんですよね。不幸な境遇ながらも親類縁者の愛を一身に受けて育ってきたピーターと、両親からの愛を今一つ信じきれないまま育ち親類からも裏切られた経験を持つトニー。この二人がお互いに影響を与えつつ成長していく。そういう話だと思いました。

トニーはその人生経験からくる教訓をピーターに与え、過保護なほどにピーターを見守ります。本来ならオリジンで語られるはずのピーターのヒーローとしての成長譚をトニーとの関係の中で語ることにしたため今回は叔父さんのエピソードがカットされてしまったんだなと理解。

ピーターの叔父さんのエピソードはとても思い入れ深いのでこれをなくされてしまったことへの不満が出てしまうのはやっぱり多少ある。いわば叔父さんの立ち位置をトニーに取られてしまったとも言えますし。スパイダーマンをMCUの物語に組み込むうえで叔父さんのキャラクターが犠牲になってしまったということです。

ただ、逆に言えば叔父さんは旧作においてアイアンマンに立ち位置を譲ることができるほど重要な人物だったということでもあります。そうマーベル側が判断したということは大事。叔父さんのエピソードがなくなったのは残念だけど私は納得してます。あくまでこの話はパラレルですしね。

子ども扱いされることを嫌がりアベンジャーズに入れてもらえないことを不満に思うピーターですけど、めちゃくちゃ大事にされてるんですよ。スーツに備えられた人工知能にも無茶をしないようしっかり安全装置がかけてあるし、人工知能のUIも初心者にわかりやすい親切設計。常にスーツを介した言動を監視できるようになってるし、いざとなったら忙しい合間を縫ってトニー駆け付けまくるし。弟子というより本当にわが子にするよう。きっとトニーが若かりし頃父親にしてもらいたかったことをそのまましてるんじゃないかなって思うと切ない。それがピーターには時にうっとおしく感じちゃうのもなんだか本当の親子のようですね。

こうやって書くと一方的にトニーが教え諭す側のように思えますがそうではなくトニーもピーターからいろいろな救いを得ているのです。
今回のヴィランはトニーがかかわるアベンジャーズ関連の事業のせいで仕事を奪われ悪落ちした商人。遠因がトニーにあります。

そしてそのトニーが作ってしまったヴィランをトニーの弟子であるピーターがトニーの教えにより成長することで救うのです。これは美しい構図だなと思いました。今までトニーは自身の犯した様々な因縁に苦しめられてきました。ピーターを教え諭すことで図らずもその贖罪をする形になっているのです。

ヒーローとして活動することで誤解や恨みを買うことが多かったトニー。その教えを受けたピーターが人に救いを与えヴィランの心を開かせるヒーローに育っているのはなんだかとても嬉しいことじゃないですか(今回金ローではカットされてしまったんですがどうやらエンドロールで今回のヴィランが最後に他のヴィランにスパイダーマンの正体を隠してやるシーンがあるらしいんですよね。トニーによって傷つけられた心がピーターによって救われ善性を取り戻した。そうともとれるのではないでしょうか)。

最後にはトニーのアベンジャーズ勧誘を断り、自分自身の考えでヒーローを続けていくことを選ぶピーター。古いヒーローと新しいヒーローの価値観が混ざり合いさらに強いヒーローが生まれていく予感を感じさせるラスト。

スパイダーマンの物語としてみるとアイアンマンであるトニーが少し目立ってしまうためスパイダーマン単体のファンとして物足りないところはあります。しかしかなり後期参入でもうすぐフェイズ3のまとめという時期の映画ですからあえて「これから」の物語にしたんじゃないかと感じます。

今後スパイダーマンがMCUの世界で本格的に活動するのはおそらくフェイズ4以降じゃないかと思うんですよね。いまからインフィニティストーンをめぐる争いにメインでかかわるにはあまりにも彼は部外者すぎるし(もう少し早く参入できてればまた別の描き方もあったかもしれない)。私はフェイズ3のスパイダーマンは飛翔の前のステップをしている状態だと思っているのでこの少し薄い描き方であえてよかったと思っています。ここは考え方割れそうなところですけどね。

あとまじめな話はいったん置いておくとピーター役のトム・ホランドの演技がとにかくかわいい。無邪気。言動がとにかく空回りしがちで普通なら腹が立つような展開なんですけど、なんかしょうがないかって許せちゃう緩さがある。憎めない可愛さ。これは天性の魅力ですね。今までのスパイダーマンにはない部分です。

ピーターのお友達のネッド序盤で無責任な感じでしたけど超有能なお助けブレインで特にピーターの正体を隠すため自らエロサイトを見てましたと厳格な女教師に嘘をつくシーンの勇気は素晴らしいな(えらい)。今回のスパイダーマンは協力者がそこそこいるのでピーターが孤独になりすぎないのが救い。お友達に理解者がいるの本当にありがたいよ。

アメリカの学園ホームドラマの雰囲気大好きなのでこれはこれでアリだなって思いました。さえないギーグなのは初代のスパイダーマンと一緒ですけどなんか湿った雰囲気がないんですよね。それはそれとして楽しいしいいか~みたいな軽妙さがある。ネッドときゃっきゃとレゴ作ったりしてるの楽しそう。本当に現代風にチューニングされたスパイダーマンって感じする。

彼の本格的活躍はフェイズ4以降なんだろうなって気がしますけど新世代のヒーローとして新たな活躍をすることを期待したいです。

あとヒロインのMJ今回はいないのかなって思ったらちゃんといたのでうれしかった。こういうMJもいいですね。私は変人キャラが好きなんだ。

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以上マーベル視聴マラソン感想メモでした。
この公開順時系列でたらめ感想群を見てもらえばいかに公開順で見ることが大事かよく分かると思います。生粋のマーベルファンの方々にはごめんなさいしなきゃいけないね。素人が何世迷言言ってやがる……って感じの感想で本当に申し訳ない。あくまで個人の備忘録です。

これからマラソンするみんなは焦る必要はないのでどうか公開順で見てくださいね。楽しいマーベルマラソンを!

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