「質問」には大いなる責任が伴う
めちゃくちゃコーチングをやっている者です。
毎日のようにコーチングをやっていると、それはもうたくさんの学びがあります。特に「質問はとても力がある」。質問によって相手の思考を深め、行動を促すことができます。そして力があるからこそ、質問は人を深く傷つける可能性があります。
日常的に「質問」はするものですから、私たちは毎日誰かを傷つけてしまう可能性がある。「大いなる力には大いなる責任が伴う」よろしく「質問には大いなる責任が伴う」のです。
そこで今回は「どうすれば人を傷つけずに、効果的な質問ができるのか」を書きなぐっていきたいと思います。
良い質問は行動を促す
まずは質問の良い面から。前述の通り質問は人の思考を深め、行動を促します。
例えば、転職に迷っているAさんと友人Bさんの会話。
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Aさん:はあ〜。会社やめてえな〜
Bさん:おお。急にどうした
Aさん:いやさ。やっぱもっと自分のやりたいことをやりたいっていうか。上司もそりが合わないし。あと給料ももっと欲しいな〜と思うわけよ。この年になると。
Bさん:じゃあ転職すれば?
Aさん:まあそうなんだけどさ。やっぱりなんか面倒じゃん。それに今の職場が「本当に無理!」っていうわけでもないしさ。なんだかんだで居心地もいいし。
Bさん:え? なら転職しなくてよくない?
Aさん:まあ〜そうなんだけどさ〜
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よくある会話ですよね。今この瞬間もたくさんこの手の会話がされていることだと思います。
なんとなくより良い環境や自分になりたいと思っているAさん。ですがどうにも本気になれていない様子。そしてBさんもそのことに気づいているようです。
ではここで転職に迷っているAさんとコーチングの素質のある友人Cさんの会話を見ていきましょう。
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Aさん:はあ〜。会社やめてえな〜
Cさん:おお。急だな。笑
Aさん:いやさ。やっぱもっと自分のやりたいことをやりたいっていうか。上司もそりが合わないし。あと給料ももっと欲しいな〜と思うわけよ。この年になると。
Cさん:この年になると考えるよな。
Aさん:だよな〜。俺にはもっと適した仕事あるんじゃないかと考えてしまうんだよな。
Cさん:なるほどな〜。Aはどんな職場で働きたいの?
Aさん:俺に適した職場か〜。……そうだなあ。営業としてはやっぱり自分の心から良いと思える商品を売りたいよ。ウチの商品、やっぱり好きになろうとしたんだけど、好きになれなくて。
Cさん:心から好きと思えるものか。いいね。
Aさん:好きな商品だと自然と商品について勉強すると思う。…ああそうか。そうだよなあ。ありがとなB! ちょっと自分が好きなものを売っている会社調べてみるわ!
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Cさんの質問によって、好きなものを販売している会社を調べることを宣言したAさん。前向きになって素晴らしいですよね。
Cさんのどの発言がAさんの思考を深め行動を引き出すことにつながったと思いますか? もう一度戻って会話を見直してもらえると嬉しいです。見直して考えると、
これなんでぜひ。
ありがとうございます。答えは、
Aはどんな職場で働きたいの?
です。正解!!!
この質問によって、Aさんの「なんとなく今より良い環境に行きたい」とグルグル考えていた脳が「自分にとって良い職場ってどんな職場だろうか?」と前を向き始めます。
▲Bさんと会話中のAさん
▲Cさんと会話中のAさん
このように、良い質問には他者の思考を進め、行動のきっかけとなる可能性を秘めています。
悪い質問は行動を制限する
次に質問の怖い面について。
ぼんやりtwitterを眺めていたら、メモちゃんの下記ツイートを目にしました。
わかる!!!!
例えば、両親から高い目標を押し付けられ、ずっと「どうしてこんなこともできないの?」と質問を投げられ続けた人は、大人になっても「どしうして私はこんなこともできないんだろ」と自分に質問を投げかけ続けます。つまり、質問は内在化するのです。
実際コーチングを行っていても、このように過去にされた質問がトラウマとなり、そのトゲが刺さったまま行動を起こせない人がいらっしゃいます。なので、相手を傷つける可能性のある質問はしないほうが良いなと。もちろん、強固な信頼関係があり、相手も強い質問を求めている場合は話は別ですが。
そして、このメモちゃんの「強めに言うより、本質をつくっぽい質問で似たようなことができるかも」に強く同意しました。
本質的な質問とは?
まずは、下記の図をみてください。
質問は様々なグルーピングができますが、人の行動を促す「良い質問」や人の行動を制限する「悪い質問」を考える際は「時間」と「答えたいか否か」の二軸で考えるのが今の所しっくりきてます。
縦軸の上は「未来」について、下は過去についての質問。横軸の右は「答えたい(たくなる)質問」で、左は「答えたくない」質問です。
良い質問
良い質問は「未来」の話で、かつ、質問をされた相手が「答えたい」質問です。
AさんとCさんの会話を思い出して欲しいのですが、Aさんが行動するきっかけとなったCさんの質問、
「Aはどんな職場で働きたいの?」
は、実は
「Aは(将来)どんな職場で働きたいの?」
という「未来」×「答えたい」質問でした。コーチングではこの「良い質問」をたくさん投げかけます。
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・○年後どうなっていたいですか?
・問題が解決されたらどういう気持ちになりますか?
・何があったら目標を達成できそうですか?
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など。この「良い質問」によって、コーチは相手に思考を深めてもらい、行動を促すきっかけを作っていきます。
情報収集
「過去」×「答えたい」質問は情報収集のための質問です。わかりやすいのは成功体験。自分の成功体験を人に聞いてもらうのって嬉しいですよね。
信頼関係をまだ築けていない時に有効的な質問です。
悪い質問
「過去」×「答えたくない」質問は悪い質問です。すでにみてきた悪い質問の例としては
「なんでこんなこともできないの?」
が挙げられます。仕事だと、
「なぜ売り上げを達成できなかったの?」
など。
「いや、部下の成長を促すために必要な問いだよ」と思われるかもしれません。その愛情は素晴らしいのですが、先ほどもお伝えしたように「悪い質問」は相手の行動を促すどころか行動を制限してしまいます。さらに、相手のトラウマになる可能性もあります。
「じゃあほっとけおけばいいのか!?」と言われるとそれも違います。答えは、「過去」×「答えたくない」を「未来」×「答えたい」に変える、です。
▲これです!
具体的には、
「なぜ売り上げを達成できなかったの?」
を
「どうやったら売り上げを達成できると思う?」
に変える。それだけで伝える印象が劇的に変わることがわかると思います。部下に怒りを感じた時は、「これから自分がかけようとする言葉は四象限のどこに位置しているのか?」を事前に確認するのがオススメです。
重い質問
最後の「未来」×「答えたくない」質問が重い質問です。「未来の話で答えたくない質問??」と思われるかと思います。
例えば、転職するか迷っているAさんにかける「重い質問」としては、下記のような質問が挙げられます。
いつまでそのままでいるの?
結構ヘビーですよね…。これが「未来」×「答えたくない」質問です。Aさんもこの質問を投げかけられたら、すぐには答えられないと思います。
そしてこの「重い質問」こそが「本質的な質問」になり得るのではないかと考えています。
企業をしようか迷っている人に「企業しないまま5年たった人生はどうなってますか?」なども「本質的な質問」に該当します。
「答えにくい」点では「悪い質問」と同様なのですが、視点が未来に向いているのでトラウマに触れることはありません。だから答えにくい内容でも相手を傷つけず、思考を深めてもらうことが可能になります。今のところ「行動しなかった自分の未来を想像してもらう」がもっとも効果的かなと。
もちろん、こういった質問もしっかりとした信頼関係があってはじめて成立する質問なので、むやみに人に投げかけるのはNGです。
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以上です!
これからも相手のトラウマになるような強い質問ではなく、相手が前向きに気づきを得られるような本質的な質問を日々探していきたいと思います。
今年もお疲れ様でした。来年もよろしくお願いします!
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