見出し画像

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について

厚生労働省 社会保障審議会障害者部会(第136回)において、「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」のスケジュールや議論事項が掲載されました。

今回は、就労系障害福祉サービスの利用について議論されることについて、まとめます。

※現時点で障害者総合支援法の改正に向けて見直しは始まっていますが、施行はされていないため、今後議論を行なっていく中で方向転換(具体的に決まっていく)と思われます。

1.就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等

まず初めに、障害者の雇用促進に向けて、障害者総合支援法でも「就労支援の強化」に向けた動きが始まりそうです。
その大きな方針として「就労選択支援」があげられます。

厚生労働省 社会保障審議会障害者部会(第136回) 資料

本人の就労に向けたアセスメント(就労アセスメント)を実施し、本人主体のサービスの選択になっているのかを把握し、プランニングしていくサービスだと想定しています。

具体的な内容としては
期間:サービスの利用期間は概ね2週間(最大でも2ヶ月程度)とする。
対象:就労移行支援・就労継続A・B型を利用する意向を有するもの。これらのサービスを利用しているもの。
支援内容:サービス利用を行う方のアセスメントからプランニング、適切なサービスへのコネクターなどなど
実施者:障害福祉サービス事業所・ハローワーク・障害者職業センター・障害者就業・生活支援センター・教育機関・医療機関・その他。
施行日:令和7年(2025年)10月1日

厚生労働省 社会保障審議会障害者部会(第136回) 資料

まだまだ詳細は明らかにされていませんが、就労支援を実施していく上でのサポータを増やす役割と、本人の希望のもと適切な選択ができるようコーディネートする役割だと想定しています。
懸念事項として、
①就労アセスメントの評価方法が制度化になることで、「就労アセスメントはこういうもの」と限定的な解釈になり、画一的にな支援方法になってしまわないか。
②支援員の就労支援の知識・スキルはどうか。人によって支援のばらつきがあるのでは。
③「就労することが良いことなのだ」という言説が無造作に流布され、支援者のマインドを構成し、パターナリスティックな支援にならないか

と考えている。とにかく、今後議論されていく内容だと思うので追っかけていきたい。

詳しくはこちらのnoteでも記載していますので、ご覧ください。

2.一般就労中の就労系障害福祉サービスの利用についての省令事項

一般就労をしながら就労系障害福祉サービスを一時的に利用できるようになります。
サービス利用期間は
福祉サービスから就労の場合:3~6ヶ月(延長が必要な場合は合計1年まで)。
休職から復職の場合は:企業の定める休職期間の終了まで(上限2年)


厚生労働省 社会保障審議会障害者部会(第136回) 資料

この制度いろいろなパターンが考えられると思うので、ちょっと具体的な事例(松門の想像)を元に考えてみたい。

これは、なんとなく想像できる。精神障害者の短時間雇用が障害者雇用率として算定されることになるため、短時間勤務から雇用され、徐々に時間を延長していくような支援を行うことは考えられる。
ただ、A型事業所やB型事業所との併用の場合、賃金や福利厚生の内容はどうなっていくのか気になる。


休職中の就労系福祉サービスの利用が認められる。いわゆるリワーク支援を福祉サービスで行うことができるようになる。ただ、就労支援と復職支援は支援内容が全く異なるため、「事業所に通って元気が出たら復職」とならないような、事業所の支援のスタンスが問われる。

「就労系福祉サービスでリワーク」という事業形態が今後増えていきそうな予感はする。そうなると、医療系リワークなどとの差別化が必要になり、競争が始まりそう。

ひとつ、「休職期間の終了までの期間」という文言が気になる。なぜなら、リハビリ出勤後に勤務軽減措置として勤務時間を短縮した復職が認められる場合がある。これもケースバイケースなのだろう。


これはどのように解釈されるか正直わからない。実際に就労中の方が、「今後週5日勤務を想定して、就労系サービスを使いたい」と希望があった場合、今回の法改正の内容だと、利用できそうな気がする。ただ、実際に働けているわけだから、ジョブコーチ支援でも良さそうな気がするが、通所をしながら気力・体力を整える意味では良いのかもしれない。

3.今後のスケジュールは以下の通り


厚生労働省 社会保障審議会障害者部会(第136回) 資料

来年の1月〜2月あたりに報酬改定に関する詳細は出てくるかなー。どうなるかな、就労支援を充足かさせるということは、就労支援にコミットしていない事業所は淘汰されていく内容になりそうな。そんな気もする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?