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小俣 荘子
2018年3月24日 10:41
19歳、黒い猫の運送屋さんでアルバイトを始めた。深夜3時から朝の6時まで。大きな扉が開け放たれた冬の寒い倉庫から見上げる空は、吸い込まれるような深い濃紺なのにどこまでも透き通っていた。太陽が昇る前のほんの少しの時間。その空を見上げながら息を吸い込むと肺の中まで真っ青になる気がして、自分が少しだけ綺麗になれた気がした。
2018年3月24日 10:58
はじめて朝帰りをした高校3年生の春休み。ぼんやりと痺れた頭であるく帰り道。なんだかまだ帰りたくなくって。誰もいない朝の動物園の門をくぐった。おばあちゃん象のはま子はりんごを美味しそうに食べていた。柵の前のベンチに座って、くしゃくしゃの袋に入ったチョコレートを取り出す。はま子と一緒に私も朝ごはんを食べた。「昨日ね、」そっとはま子に語りかける。キラキラした朝だった。