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最後に来た化け物。怪談・逢魔が時物語「出演者たち」

いつも寝ているベッドは、ロフトベッドというもの。
1メートルほどの高さがある。

いつも深夜の一時か二時ぐらいに寝るのだが、
時折り金縛りに遭ってしまう。

その夜、眠りに落ちて三十分後ぐらいに『夢』の
ようなものを見た。
あやふやなのは、夢か現実かはっきりしないからだ。

たぶん、その時点で金縛りに遭っていたようだ。

夢のような中で、友人と『鬼ごっこ』をしていた。
後ろの友人に追いつかれ、背中に張り付かれてしまう。

ところが、友人はなぜかグイグイと押してくる。

様子が変だったので、本当に友人か? と疑った。
すると、私の右側を友人が追い抜いて駆けていく。
それは必死で何かから逃げるような慌て方だった。

(何だ? 何で逃げてる?)
そう思ったところで目が覚めた。

本当の異変はここからだった。

私の背中に、その『何か』はまだ張り付いていた!
背中にビタッと張り付いている確かな感覚があった。

うつ伏せに寝ていたが、そいつの重さは感じない。
そして、息遣いもない。

その異変が起きている時は、金縛りが続いていた。
思い切り、ウオッ! と叫んで金縛りを解いた。

そのまままた眠って三十分もしないうちに、
そいつはまた背中に現れた。

布団を被っているのに、背中に直接張り付いている。
もう一度、渾身の気合と共に跳ねのけて助かった。

次はその二、三日後。

また金縛りに遭った。
今度はイタチぐらいの小動物が、背中でガンガンと
跳ねている。

小動物の動きは異常に速かった。
この異変も、いつもの気合で撃退した。

前回より、グレード)が下がっているという余裕すら
感じていた。

その翌日は、奇妙な夢を見た。

家の階段の下で、私は何かを待っていた。
すると、階段の上から誰かがフェレットのような
動物を放つ。

胸に抱いていると、胸の奥に顔を埋めてくる。
可愛いなぁと思って抱いていると、どうも動きがヘン。

有り得ない方向に、動物の体が曲がっていく。
気持ち悪くなって、堪らずそいつを放り出すと同時に
目が覚めた。

ところが、居るのだ。
私の胸の上に、そいつが……。

夢の中とまったく同じ、ヘンな動きをしている。
体は金縛りに遭っており、まったく動けない。

また気合いで金縛りを解いたが、これもやはり
寝ついて三十分経った時刻。

それ以降も、同じようなことが続発した。
もう慣れてしまったある日、また『何か』が現れた。

出てくるモノのグレードが次第に下がっていたので、
どこか安心していたのだろう。

今回もやはり寝ついて三十分後だった。

それはいきなりだった。
両肩をがしっと力強く掴まれて、一気に目が覚めた。

母が起こしたのかな? と思っていると金縛りに……。
えっと思っていると……居た。すぐ目の前に。

今度は動物ではなく、女が居た。

白い着物を着ている。
私と向かい合って、ぐいと両肩を掴まれている状態。

髪はおかっぱ。
顔は少しぼやけがちだが、色は異様に白かった。


顔に目と鼻が無く、異様に大きな口だけがあった。


こんなモノは初めてだった。
呆然としてると、女はベッド上の何かを取ろうとする。

ベッドの上には何もないはずだが、何か本能的に
ヤバイと思った。

今度こそ全力で叫び、金縛りを解いた。
幸運なことに、女も一緒に消えていた。

いろんなモノが現れて、最後には口だけの女……。
さて、次の金縛りでは何が出てくるのだろう。


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