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足元に誰か居る。怪談・逢魔が時物語「爺さんの顔」

大学に入って間がない頃、なぜか頻繁に金縛りに
遭っていた。

一人暮らしで借りた安アパートに何かあるのか、
自分に『霊的なモノ』を受信する能力が具わった
のかはわからない。

その夜も怖いので、部屋の灯りを点けたまま寝よう
とした。

ウトウトとした頃、また突然金縛りに遭う。
金縛りは何度か遭っていたので、少し余裕もあった
のだろう。

金縛りのときには、奇妙な人影のようなものが見える。
ただ、ぼやっとしていて、すぐに消えるので、
具体的にそれが何かはわからない。

今回も、もしかして何か見えるかも知れないと、
ギリギリと無理やり頭を上げてみた。

足元に何かの気配を感じた。

暗い部屋の中だから、何かはわからない。
よく見ようと目を凝らしていると、だんだん像を
結んでいく。

白装束の見知らぬ爺さんである。
うつむき加減で、何も言わず正座していた。


しかも、こっちに向けた顔は・・・のっぺらぼう。


爺さんの体は半透明で、透けて部屋の奥が見えている。
その時の気持ちは、怖いのだか怖くないのだか正直
わからなかった。

ええっ? という驚愕の方が大きい。
これから先どうなるのかと、じっと見詰めていた。

すると、爺さんはますます透明になっていき、
すっと溶けるように消えてしまった。

ああいう時って、いったいどうすればいいのだろう。
そんな素朴な疑問しか残らない。



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          投稿 policygontaさん(男性)

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