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「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(1)
脳科学の本だけはまめに読むようにしている。
いわずもがなワイの知的好奇心を裏切らないからだが、それ以上におののライフスタイル(研究)と抜群に相性がよく、有益なヒントを与えてくれるからだ。わたしには「夢を持って生きる」「目標を達成する」「勝負に勝つ」といった純粋に自己啓発的なmasculine志向はあまりない。
たぶん多くの人には共感を得られないのだけど、どこかしら、自分のことを”被験体”だと考えてるふしがある。あえて対比させる形で述べると、夢を持って生きるのではなく、仮説をもって生きていきたい、のである。以前、脳科学については、
脳科学とは何だろうか?最新鋭の機材を使い、ヒトの脳の働きのデータを集め、あらゆる角度から検証を行い、一定の法則性を導き出す。”科学”と銘打たれている以上、そこに道徳やモラルが入り込む余地はない。科学の前ではヒトも一匹の猿同然だ。事実、fMRI登場以前は猿を使った動物実験がさかんだった。「fMRIにより脳を物理的に傷つけることなく、その状態をありのままに調査することが可能になった」というのは、建前に過ぎない。とどのつまり、最先端の技術が生み出した現代の「人体実験」なのである。そしてはたせるかな、諸々の実験により、ヒトの隠された欲望や本性は暴かれることとなった...そのスリルと興奮は読むものに生きる活力をもたらすだろう。
と書いたこともあった。この言いきり方にはそれなりの覚悟が必要だったけれど、後悔はしていない。ただ、ここ10年スパンでみてもずいぶんいろんな発展があったが、相変わらずな側面もある。
以前、脳科学って前頭葉産業じゃんかよーとTwitter上で茂木健一郎が毒づいてたことがあったが、たしかに前頭葉、マインドフルネスといったわかりやすい話ばかり説かれ、宣伝されていて、「心はどこにあるか?」といった、むずかしい話を、洗練されたスタイルで啓蒙、啓発できる人はすくなかったように思う。
近年は「スマホ脳」や「脳内物質(麻薬)」といった話題が人々の関心の中心となり、トレンドが進歩(2010年代)から、警鐘(2020年代)へと移り変わってきているが、イヒモジャ氏が提示しているような問題点は、いっこうにあらたまる様子がない。意識や、精神をめぐる問題については、常に今一歩、踏み込めない弱さがあり、そのまま強みにもなってしまっている。そういった脳科学の弱さの戦略が、啓蒙の領域=自己啓発でも過剰に影響力を持ってしまっている。
例外的に、内容と人気を両立させている存在が池谷裕二先生だが、そろそろポスト池谷が出てきてもよいのでは?と思っていた今日この頃。その最右翼ともいうべき御方が毛内拡先生である。
今月、毛内先生の新刊が出たので、さっそく読んでいる。これから何回かに分けて、読み込んでいきたい。
<続>
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