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落書きショートショート|白子

クラスメイトに、「白子」っていうあだ名の子がいたんです。

そのやや下品なあだ名が示す通りの、とても色の白い、中性的な美少年でした。

彼は、いつも孤独でした。何故か誰とも口を利かないのです。そんな彼の態度にみんなも愛想を尽かせ、完全にクラスから「省かれて」いました。


でも、僕は彼の心がわかっていたのです。


ある日、「白子」は相も変わらず誰とも話そうともせず、一人でニヤニヤしながらノートに何かを書いておりました。そんな態度に僕は虫唾が走り、堪らず彼の座っている席に駆け寄りました。

そして、僕は彼の机をガンガン揺らしながら、こう叫んだのです。


「と☆も☆だ☆ち☆が☆ほ☆し☆い☆ん☆だ☆ろ」


クラス中が、爆笑しました。その時の僕の晴れやかな気持ち、誰か解ってくれないでしょうか。

ところが、白子は思いのほか受け身になってしまったようなんです。その日以来、彼は二度と学校に来ることはありませんでした。

それから数日が経ったある日、先生が血相をかえて僕の所へやってきました。理由はわかっていたので、僕はこの時の為に考えていた言い訳をまるで立て板に水が流れるように語り、自分の正当性を主張しました。

しかし、この先生は頭が悪すぎて、まるで意思の疎通ができません。結果として、それまで生きてきてかつてないほどの回数のビンタを食らいました。

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