7-12.ヒロムの叫び声が俺たちを取り巻いていた重い空気を吹き払った。

 ヒロムの叫び声が俺たちを取り巻いていた重い空気を吹き払った。

「まずは幸先の良いスタートが切れたのだ。このまま一気にゴールに向かうのだよ」とトシは言い、ジュンペーは「慎重かつ大胆に踏み出す作戦、成功なのです」と浮かれてみせる。

 もちろん、どちらの言葉も大ウソだ。俺たちがスタート地点から移動したことをユウイチに意識させようと、トシがジュンペーを巻き込んで言わせているんだろう。

『どうやら人を見誤ったようだ。まあ、この方がゲームとしては盛り上がるか』

 ぞくっとした。くやしさを滲ませてはいたものの、あくまでもユウイチの声は冷徹だった。

 スマホを見ると、手に持った小型のノートになにかを書き続けるユウイチがいた。顔に凄絶な笑みを浮かべ、ときどきなにかを小声でつぶやいている。

『チーム〈キセキの世代〉のみなさん。さあ、ゲームを続けよう』

 ユウイチはノートに目を落としたまま、そう言った。まるで実験の続きでもするかのように。

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