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鉄道写真とOM SYSTEM

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OM SYSTEMを知り尽くしているプロカメラマンが、性能や独自機能、その使いどころを分かりやすく解説します。機材の使いこなしや、追加機材の選択の大きなヒントになるでしょう。
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#OM1

山下 大祐・OM-1 MarkⅡを生かす!シンガポールの鉄道シーン

 先代OM-1から早2年、OM SYSTEMの新フラッグシップ機が発売となった。ペンタ部に「OM SYSTEM」のロゴを誇らしげに掲げ、見た目にも期待が高まるモデルチェンジである。いつも国内の鉄道ばかり撮っている私も、このカメラの記事執筆のために気分一新。南国シンガポールでの撮影を試みた。  シンガポールはマレー半島の先端にある貿易・金融大国。鉄道は6路線の地下鉄(Mass Rapid Transit=MRT)が張り巡らされている。そのほか、いわゆる新交通システムが地域の足

<連載>OMと旅する鉄道情景(第6回/神谷 武志)GROUP K.T.R

輝く夜の電車区を撮る(その1) 地元で楽しむ「変化球の撮影」 東京の西部、多摩から埼玉にかけてネットワークを広げる西武鉄道。 神谷の地元は京王線・JR中央線のあたりなのですが、西武も準地元。高校も大学も、西武バスと西武電車に揺られて過ごした身近な交通機関です。 当然ながら神谷が学生だった遠い昔から、車両の顔ぶれは相当代わってしまいましたが、依然としてバリエーション豊かな形式の電車が次々やってくる楽しさは今も健在。そんな西武線を変化球で撮ってみようと、最近広角主体で出番が少

<連載>OM と旅する鉄道情景(第5回/高屋 力) GROUP K.T.R

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO で夕刻を狙う ●M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROとは? M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO は、35mm換算300-800mmの超望遠ズームです。内蔵テレコンバータを使用すれば、1000mm相当。さらに外付けのx2テレコンを装着すれば、35mm換算20

<連載> 小竹直人・OM-1の魅力 Vol.5/ 深度合成

マイクロフォーサーズ(M4/3)の利点は被写界深度が深いことです。比較するとM4/3でF8はフルサイズのF16に相当しますので、広角側で適度に絞り込むと簡単にパンフォーカスになります。画面全体にピントが合っている写真は見ていて気持ちがいいものです。とはいえ、望遠レンズやマクロ撮影でパンフォーカスにするには限界があります。それを解消してくれるのが深度合成機能です。 パンフォーカスと深度合成 8年ほど前にニコンプラザ新宿(現ニコンプラザ東京)のギャラリーで開催されていた徳川弘

<連載> 小竹直人・OM-1の魅力 Vol.4/ プロキャプチャーモードとライブND

プロキャプチャーモード OM-1の連写機能はE-M1MarkⅢの60コマ/秒から120コマ/秒!(AF/AE固定)に倍増しました。それに伴ってプロキャプチャーモードも120コマ/秒に設定すると最大で70コマ、すなわちシャッターを押した瞬間から0.35秒さかのぼって記録可能になりました。 これまでプロキャプチャーの作例では、野鳥の飛び立つ瞬間やカメレオンが餌を捕獲する瞬間などを目にしてきました。とても画期的な機能で、偶然でも撮れない瞬間を撮影可能にしました。 プロキャプチャ

<連載> 小竹直人・OM-1の魅力 Vol.3/ デジタルシフト撮影

デジタルシフト撮影の魅力 私が最初に手にしたOM SYSTEMのカメラは、OM-D E-M5MarkⅡで、M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROとの組み合わせでした。フルサイズの同一画角相当のレンズも所有していましたが、あまりのヘビーさにストレスを感じていたことからE-M5MarkⅡを広角専用機とし、このフルサイズの広角ズームは手放しました。 それをさらに後押ししたのはOM SYSTEM独自のデジタルシフト機能でした。当時シフトレンズを私のレン

<連載> 小竹直人・OM-1の魅力 Vol.2/ ライブコンポジットを使った新たな表現

ライブコンポジットとは 言わずもがなですがライブコンポジットとは比較明合成のことで、いまや星景写真においてはマストアイテム。OM SYSTEMカメラの代名詞的な機能です。鉄道のシーンでも星景を取り入れた列車の光跡狙いにも使えますが、ちょっとベタな感じがしていたのでOM SYSTEMのカメラを使い出してからも、しばらく使わなかった機能でした。 ところが、ある雨の日のことでした。雨がいつ止むかと猫の額のような拙宅のベランダに出ていると、シトシトと雨に打たれた葉々に滴る雨粒が輝

<連載> 小竹直人・OM-1の魅力 Vol.1/ 私のカメラ選び

文、写真:小竹直人 OM-1の魅力とはなにか。本題にはいる前に、ちょっとだけ私自身の鉄ちゃん経歴を書きます。 私がカメラに求めているもの1990年より中国の鉄道取材を始めSLから満鉄遺構など撮影に取り組んできました。コロナ禍によって失われた3年間を引いたなら丸30年間、絶え間なく日本と中国を往来し、渡航回数は90回以上になりました。 中国での撮影は過酷なものでした。特に内陸北部では、冬になると氷点下40度にも達し、砂塵や粉塵が絶え間なく吹き付けてつけてくるのです。バッテリ