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【エッセイ】大人にやさしい世界

なんてこったい。体調不良が1週間以上続いている状態である。

時は戻り、1週間前。
出先でなんとなく発熱を感じ、悪寒をおぼえながら、これはあかんかもしれないぞと、持ち合わせの解熱剤でごまかしながら、帰り道に薬局に駆け込み、薬やポカリスエットなどこの後の不調と戦う用意をして家に帰ってきた。

コロナもインフルエンザも陰性ということなので、しばらくは薬が効いているうちにやることをやるという、ウルトラマン生活で戦っていた。動けるうちにまた薬局やスーパーへ調達に走る。

さて、基本的に健康体の私は、薬局のお薬コーナーの棚とはかけ離れた生活を送っていたのだが、実にさまざまな薬が置いてあるのだなと改めて棚を見上げる。(眠くならない!など。横になれるならば横になったほうがいいんじゃないか…)大人になって、休むことが困難な人間が出くわす場面ということは、こういうことなのかと思う。

正直、薬の種類がありすぎて、正常でない頭でどの薬が最適か選ぶことは結構難しいなと思いながら飲み薬と、のどの痛みにのどスプレーとトローチを買う。

レジのお兄さんに「風邪に効く栄養ドリンクの販売もありますがいかがですか?」と聞かれて、優しさにぐっとなりながら、接客魂が炸裂して、ああこれは接客として難しいところだなとつい考える。(客は一刻も早く家に帰りたい場合が多いと思うからだ。あと「販売」という言葉はキケンだ。「用意がある」や一言添えて機械的にならないのがいいのだろうか…)「大丈夫です!」と声が出ないので満面の笑みで首を横に振り、ペコリとしてきた。

不調から4~5日経つと、咳で眠れないこともあり、ウルトラマンへこたれる。さすがに猫と布団の中でまるまっていた。

そうだ、のどスプレーとトローチと思い、よぼよぼと立ち上がり薬局で買ったものを広げ、箱を開けた時に思わず嬉しかったことがある。

カバくんとクマくんのお出迎え。休むことが困難な人間にも小さな優しさがあったのである。

私が動物好きなのもあるが、パッケージを作ってくれている方々の心配りに感動すると同時にこういう人でありたいなと思う。チャーミングで気楽な優しさ。手持ちのもので、はい!どうぞ!って笑顔で渡して走り去って行くような。

大人だって、いつまでも優しくされたいし、お互いさまだよねと思える社会を私ももっと自覚的になって助け合って行動したい。

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