『銀色ラッコのなみだ』読了
岡野薫子著、1964年2月初版の、古いラッコの名作童話です。
長編少年少女小説と銘打っているだけあり、結構ボリュームのある小説です。
舞台は1800年代のアラスカ。
先住民族、エスキモーの8歳の少年ピラーラと、赤ちゃんラッコなのに銀色の毛をしている特別なラッコ「銀色」の出会いと別れ、再会、そして……。
少年ピラーラと銀色ラッコが流したなみだとは……。
厳しいアラスカの環境やエスキモーの生活がリアルに描かれていました。アザラシやクジラ、サカマタ(シャチ)も出てきます。
作中の伝承としてステラーカイギュウも出てきます。
以下、読了後に手帳に書き殴った感想をそのまま記します。
ネタバレを含みます。乱文なのでたぶん全容は分からないと思いますが。
いやー、泣けるね。少年とラッコの出会い、そして別れ。
少年が、自分のせいでラッコたちが再び狩られることになると自分を責める。
まだ8歳だ。好奇心もあるだろうに。
銀色が少年に2度目に会ったときは、初めてのときと違うにおいがして危なかった。
それから、いろいろあって、まあ、噂の広まることよねえ。ラッコがいるとなるとみんな男たちは盛り上がる。
とはいえ父は三年待てと言いたかった…。が、あの猟銃が手に入ってしまったために男たちもひと狩り行こうとなってしまった。
そうよな。分からんでもないよ。
そしてラッコが狩られてしまう。いきいきと?というか、はらはらとした描写でドキドキする。
銀色ラッコも……。
その後、足りない二頭を追う男の後をつけ、ラッコを逃がした。
銀色も少年もなみだを浮かべた。
私もなみだを浮かべた。
ステラー海牛のはなしも載ってたな。あのこはもう絶滅しちゃったけど。ラッコは明治に法規制されてから少しマシになったけど。〈注釈:ホンマか?〉
つらいわな。こうしてラッコたちはたくさん乱獲されて。
エスキモーたちは決して乱獲はしないんだけど、外国の人間よ……。
すごくリアリティのあるストーリーで読み入ってしまった。
60年前だから、かゆいからラッコが体をかいていると本当に信じられていたかもしれない…。そこは先入観持たずに読みたかった。ストーリーは素晴らしい。
本当に名著だと思う。ラッコ好きには読んでほしい。本当に。
胸が締めつけられるような気持ち。
『銀色ラッコのなみだ』は、実は鳥羽水族館の飼育係も読んでいた本なのです。
この『ラッコの道標』というエッセイ、著者は水族館プロデューサーの中村元さん。
第一次ラッコブームを引き起こした張本人です。このエッセイも面白いのですが、その話はまたの機会に。
ラッコ好き御用達、munyさんのHPにも、おすすめの本が集められてます。
次は『いたずらラッコのロッコ』を読んでみたいと思います。
あのラッコおじさんが「小学校の図書室で見たことがある(読んでいない…)」という本です。
お読みいただきありがとうございました。