仏さま、マジ卍! 第3話「恋愛成就? それは執着では?」(2/2)#創作大賞2024 #漫画原作部門
「え…? あ、はい… そうですけど…」
突然のことに、太郎は驚きを隠せない。
「あの… 私、田中さんのこと、ずっと見てました…」
美少女は、頬を染めながら、さらに言葉を続けた。
「田中さんが、一生懸命仕事をする姿… 上司に怒られても、決して諦めない姿… 本当に、素敵だなって…」
(え…? 俺のこと…? なんで…?)
太郎は、頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになる。
ブラック企業でボロボロになりながら働いている自分を、こんな可愛い子が見ていたなんて…。
「あの… よかったら、連絡先を…」
美少女は、スマホを差し出しながら、恥ずかしそうに言った。
「え…? あ、はい… もちろん…!」
太郎は、震える手で自分のスマホを取り出した。
(よ、よっしゃー!! ついに、俺にも春が来たか!?)
太郎は、心の中でガッツポーズを決めた。
その夜、太郎は、アイムに報告するため、いつもの公園へと向かった。
「アイム様ー! 聞いてくださいよ! 俺、なんと、彼女ができるかもしんないんす!」
興奮気味に話す太郎に、アイムは興味なさそうに生返事をした。
「へー、そうなんだ。で、その彼女はどんな子なの?」
「それがですね… めちゃくちゃ可愛くて、優しくて…」
太郎は、目を輝かせながら、美少女との出会いを語った。
しかし、話を聞いていたアイムは、なぜか渋い顔をしている。
「…で、その子、何て名前なんだ?」
「え…? あ、名前… 聞くの忘れてました…」
「名前も聞かずに、彼女とか言ってるのかよ…」
アイムは、あきれたようにため息をついた。
「だ、だって… だって…!」
「太郎、お前は勘違いしている」
アイムは、真剣な表情で太郎を見つめた。
「恋愛とは、相手を自分のものにしようとする、執着の心から生まれる苦しみなのだ…」
(つづく)
この度のご縁に感謝いたします。貴方様の創作活動が、衆生の心に安らぎと悟りをもたらすことを願い、微力ながら応援させていただきます。