#創作大賞2024 #漫画原作部門 仏さま、マジ卍! 第1話「仏さま、降臨!?」



薄暗い部屋の中、空になったビール缶が山積みになっていた。


「あーあ、やってらんねぇ…」


ボサボサ頭に無精ヒゲ、よれよれのジャージ姿の田中太郎(22歳)は、ため息混じりにそう呟いた。


3ヶ月前、大学を卒業した太郎は、希望していた出版社の就職試験に見事に玉砕。それ以来、バイトもせずに、自堕落な日々を送っていた。


追い打ちをかけるように、付き合っていた彼女にもフラれた。


「私、夢を追いかてる人が好きなの。今の太郎には、何も感じない…」


彼女の言葉が、胸に突き刺さる。


「夢… 俺だって、漫画編集者になりたかったんだよ…」


出版社に落ちたショックを引きずり、夢を諦めかけている自分が情けない。


「くそっ… なんで俺だけ、こんな目に遭わなきゃなんねぇんだよ!」


太郎は、部屋の片隅に飾られた仏像に向かって、やけ酒をあおりながら愚痴をこぼし始めた。


それは、仏像マニアの祖母の形見だという、金色に輝く小ぶりの仏像だった。


「おい、仏さんよ… あんたが仏なら、この俺を助けてくれよ! どうすれば、幸せになれるか教えてくれよ!」


酔った勢いで叫んだ瞬間、部屋中にまばゆい光が満ち溢れた。


「な、なんだ!?」


目を開けることすらできないほどの光に包まれ、太郎は気を失いそうになる。


そして、光が収まると同時に、太郎の目の前に信じられない光景が広がっていた。


「よっ、待たせたな!?」


眩しい笑顔を浮かべて立っていたのは… 人間離れした美しさを持つ、イケメンだった。


「え…? あれ…? もしかして、天国…?」


混乱する太郎をよそに、イケメンはニヤリと笑ってこう言った。


「天国は、まだまだ先だぜ! オレはアイム、お前の願いを叶えるためにやってきた菩薩見習いだ!」


(つづく)

#創作大賞2024 #漫画原作部門

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