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あのクックパッドが言語学の論文に!?
「論文」。
その2文字は、学者特有の堅苦しい雰囲気を醸す。
論文を読むのが大好き、という人はまずいない。
振り返ると、私も学生時代を除くとほとんど論文を読むことはなかった。
仕事の関係で「仕方なく」検索したり参照することはあったが。
だが、論文のなかには「ナニソレ!?」と興味をそそられるものもある。
最近たまたまネットで見つけたのがこの論文。
そのテーマ名は・・・
「料理レシピサイトCookpadを用いた言語研究:英語のPを使った名付けを中心に」(島田雅晴ほか3名、筑波大学 )
えっ!
あの、超人気レシピ共有サイト「クックパッド」が、言語学の研究テーマになっている・・・!?
![](https://assets.st-note.com/img/1654159169164-4PXMkE5aJV.png?width=800)
しかもこれ、研究期間が2016年4月~2020年3月までと地味に長い。
それに、3名の研究者が共同で行う研究だという。
まさかの大掛かりな一大プロジェクトである。
面白い。早速どんな論文なのか見てみた。
※研究内容全体はこちらから見ることができます。
このパワーポイントがシュールなのでぜひご覧ください▼
https://www.nii.ac.jp/dsc/idr/userforum/slide/IDR-UF2018_shimada.pdf
クックパッド言語学研究の概要
このプロジェクトの目的は、研究報告によるとこのように書かれている。
研究成果の概要
日本語には前置詞と呼ばれる文法範疇はないが、インターネットからの用例を見ると、英語のin、on、withなどの前置詞が借用されて日本語の料理名に使われていることがわかる。本研究の目的は、この時の仕組みを検討し、理論言語学の進展に貢献することである。クックパッド社のサイトからデータを収集し、英語の前置詞の使用について検討した。
・・・何やら難しく感じるが、ざっくりまとめると「クックパッドのレシピをデータ化し、英語の前置詞を調べてみた」ということだろう。
確かに言われてみれば、レシピに英語の前置詞が使われていることがある。
例えば、こんなレシピは見たことがないだろうか。
「煮込みハンバーグインチーズ」
「ポークソテーonトマトソース♪」
「椎茸カップ on Theチーズ」
研究ではこういったin、onなどの前置詞を調べあげて、法則を探し出すわけだ。
1人の話者の脳内で外国語の文法が接触する際にどのようなことが起きるのか、一般的な日本人(=日本語)の文法と、英語の文法が「言語接触」する際の仕組みを考察している。
![](https://assets.st-note.com/img/1654161077443-cUAtaZ8mCO.png)
研究結果抜粋
研究結果は生成文法から言語接触に至るまでかなり濃厚である。
ここでは分かりやすいクックパッド研究の結果を一部抜粋してみた。
クックパッドで使われる前置詞
1位 in
2位 on
3位 with
語順で一番多いのは、「イングリッシュマフィン on バナナ」のように「X-前置詞-Y」のパターン
「カスタード on 珈琲パン」のように前位修飾のものもあれば、「イングリッシュマフィン on バナナ」のように後位修飾のものもある
後位修飾では「スープパスタ on 焼きチーズのせ」のように、英語の前置詞onと日本語の動名詞「のせ」が一緒に出てくることがある(共起)
「絶品 THE・スープカレー」のように、英語の定冠詞theが取り込まれることがある
「Let's 冷凍」「Let's ブラウニー」のように、Let'sという表現が名詞や動詞をとることがある
何気なく使っているクックパッド。
そこに、私たちの脳内で起きているか解明するヒントが隠されていたとは。
言語は生きている。
だから、SNSやブログなどの何気なく使っている日本語も十分に研究対象となる。
これからも、興味深い(変な?)論文を探して行きたいと思う。
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