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凪良ゆう「春に翔ぶ」感想~直木賞候補作を記念し、スピンオフを読む~

第168回直木賞候補が発表されましたね。

候補作は、
一穂ミチさん 「光のとこにいてね」
小川哲さん  「地図と拳」
雫井脩介さん 「クロコダイル・ティアーズ」
千早茜さん     「しろがねの葉」
凪良ゆうさん   「汝、星のごとく」

既読は二冊。

「しろがねの葉」と、「汝、星のごとく」

「しろがねの葉」は著者の千早さん初の時代小説。

千早さんは、「業」というものを描くのが以前からお上手だと思っていましたが、本書は凄みがある上手さで、もしかしたら...密かに期待していたので候補になり嬉しかった(⋈◍>◡<◍)。✧♡

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そして、「汝、星のごとく」

直木賞候補作を記念し、スピンオフである「春に翔ぶ」を読みました。

見返りをも求めずに大切な人々を(主人公たち)見守りつづける、エンジェル枠の北原先生の過去が描かれた作品。

なぜに北原先生がいい人すぎるエンジェル枠になったのかが、本書でわかります。

本編でも親に振り回され、搾取される主人公二人が描かれるのですが、北原先生も親に振り回されるのです。

家庭内暴力でネグレクトや虐待するだけが毒親ではない。
神様みたいにやさしい人と呼ばれていた北原先生の親。
誠実に尽くした父。
でも、子供の北原先生には我慢を強いていたことに気づかない。

父を否定しているのに父のような誠実に人に尽くそうとする北原先生。
それは、自分がどんな人間かわからないから...。
何を欲して、どう生きたいのか。
わからないからこそ北原先生は誠実でいようとするのです。

静かに凪いている文体なのに苦しい。
読み手を物語の世界へ誘いどっぷりと沈ませ、物語エキスを存分に吸わせ余韻を残すのが上手いのよね~♡凪良さんは。
だからハマるのです。

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来月1月19日の発表までに、未読の候補作も読めたらいいなぁ~
さて、あと何作読めるかしらん。

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