千早茜「魚神」感想~恐ろしいもの美しいものは同じ~
日本で最も栄誉ある文学賞といえば、直木賞と芥川賞。
先日、発表された直木賞に千早茜さん作品「しろがねの葉」が選ばれました。
受賞を記念し、積んでいた千早作品の中から今回は、デビュー作で、泉鏡花文学賞受賞作でもある本書を読むことに。
で、『泉鏡花文学賞』って有名だけど詳しくは知らない。
この機会に調べることに。
・泉鏡花生誕100年を記念して1973年に制定された金沢市によって主催される文学賞。対象は小説や戯曲などの単行本で泉鏡花に通じる「ロマンの薫り高い作品」を対象とする。
なるほどー。
金沢市が主催とは知らなかったわ。
泉鏡花といえば幻想的(ロマンの薫り)。
まさに本書は、幻想的で妖美で儚い世界観に誘ってくれる一冊。
装丁のイラストが宇野亜喜良さん。
作品のイメージにピッタリだわ♡
日本のような日本ではないような...。
物語の舞台となる遊郭といえば着物だが、本書の遊女はイラストのように重ね襟がレースのようになってる着物を纏っているイメージで異国の匂いもする。
時代も明治から昭和初期のような、パラレルワールド世界のような不思議さ。
千早作品といえば、私のなかでは匂い。
読んでいると匂いが漂ってくる。
本書も「におい」が色濃く表現された作品で芳醇な香りに、血の匂い、すえた臭い...。
においにも酔わされ不思議な世界へと引きずり込まれる。
そして、主人公の美しき白亜に絡む男たちがいい。
下衆野郎もいるが、見守る男(蓼原)、若旦那(佐井)、もう一人の主人公で美しき弟のスケキヨ。
推しメンを見つける楽しさよ~♡
で、私の推しメンは、俺さま気質な蓮沼が人間らしくて好きだった♡
美しいから恐ろしくて手が出せない。
まぶしい光でなく一筋の淡い光に照らされた姉弟?(血のつながりは不明)の愛の物語に酔いしれる。
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