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叱る依存、夢のタッグマッチ(1)


「『叱れば人は育つ』は幻想」という本が発売されました。これは村中直人さんの最新作で「『叱る依存』が止まらない」と密接に関係のある本です。

『叱る依存』が止まらないってどんな本?

この本で「叱る依存」という概念が提唱されました。
叱る行為について、叱る側、叱られる側の心理的な状況や、叱るそのものの効果について論じています。

「『叱る依存』が止まらない」(以降、叱る依存本)の内容、レビューについてはすでに多くの方が語られているためそちらを探して読んでみて下さい。

特に
「まあ、時には叱る事も必要でしょ」
「怒るじゃなくて叱るならその人の成長につながる」
「叱るべき時に叱らないとその人のためにならない」
という考えに共感を覚える方は、この叱る依存本を読む事で価値観を揺さぶられる体験ができると思います。一見の価値ありです。

さて、ここでは「『叱れば人は育つ』は幻想」(以降、叱れば本)についてのレビューを行います。

対談本形式の実践本

この叱れば本ですが、形式としては対談本で、叱る依存本で語られた考え方から変更された点はなく、追加された考え方もあまり無かったように思います。

では、叱る依存本を読んでいれば読む価値はないかというと全くそんな事はなく、これは叱る依存で語られた内容の実践本と言ってよいと思います。

対談相手は、様々な分野で「叱る」に関わって来た人達です。私は教育関連の本をよく読むので工藤先生はよく知っており、本も沢山読んでいます。工藤先生と対談して話が深まらないわけがなく、私にとっては夢のタッグマッチのようなのもでした。

叱れば本は全部で4人の著名人と対談しており、それぞれの叱るへの関わり方や、叱るによって人はどう変わるかなど、幅広く知る事が出来ます。

また各対談の後に村中さんが補足、まとめをしているページがあり、これも頭を整理するのにとてもよい工夫だと思いました。

4者4様の「叱る」

4名が「叱る」に対してどのように関わってきたか。4名の対談を勝手に分類してみました。
・工藤先生…叱るがはびこる学校現場で、どのように叱るを変えていったか。
・中原先生…叱らずにどのような指導ができるか
・大山さん…叱るによって人はどのように変わるか
・佐渡島…叱るをなぜ止めたか。やめた後にどうなったか

叱る依存本を読んだ人のレビューの中には「叱るの効果が無いことは分かったが、じゃあどうすればいいのか」という意見もあったと聞きます。

叱れば本では、叱るに変わる(もしくは叱るを変える)いくつかの方向性が示されています。

個人的には、子どもとどう接するかという視点でみると工藤先生、中原先生の話の中に得るものがたくさんありました。

叱るを変えた人、叱るをやめた人、叱られ続けた人など、叱るにまつわる体験が詰まった、叱る依存脱却のための実践本として価値の高い本だと思います。

次回、工藤先生との対談から詳しく読み解いて行きたいと思います。

<叱る依存、夢のタッグマッチ(2)>

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