『羊と鋼の森』宮下奈都
ゆっくりと調律師の道を歩む主人公・外村。
彼の一歩一歩、
確かめるように進む歩き方が好きです。
心がしんとして、
いつのまにか私もピアノの森の中にいました。
木がさわさわと揺れ、緑の中に光が差していく。
爽やかで、穏やかで、美しいひと時。
ピアニストも調律師も一流になるには、
いくつもの葛藤や苦しみを
乗り越えなければならないことが、
外村の目を通して伝わってきます。
鋭すぎる感受性に苦しんだ柳も、
自分の限界が見えてしまった秋野も、
そこを超えて今に辿り着きました。
美