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DXでケミカル物流は変わるか

DX(デジタルトランスフォーメーション)により大きな変化が期待される分野は物流です。すでに宅急便などの小口配送やアマゾンなどのネット販売で、私たちは以前には無かった大きな利便性を体験しています。海外からの輸入であっても、購入と同時に予定配送日が表示され、配送が近づくと確定配送日となり、当日にはまるで実況中継のように荷物の移動状況がわかります。これぞまさにデジタル技術による変化、DXでしょう。

これに比べて遅れているのがBtoBの国際物流、特に海上輸送です。もともと海外から輸入する商品の輸送はいろいろな影響を受けやすく、納期の確定には時間がかかるものでした。ここ数年のコンテナ不足やトラック不足にコロナ禍が追い打ちをかけ、大きな混乱が2年ほど続いています。在庫を国内に多く持てないような商品は特に影響が大きく、化学品の安定生産が困難な状況になっています。

前職で販売していた商品の多くは海外からコンテナ船で輸入される化学品でした。商品が船に乗ると船荷証券(B/L : Bill of Lading)という書類が発行されます。船荷証券は運送業者と荷主との間で運送条件を示した輸送契約書で、船会社が荷物を受領したことを示す受取証として、また荷揚げ地において貨物の引取に必要な引換証として機能します。これが出てくれば一安心なのですが、実はB/Lや様々な貿易書類がまだ「紙」で発行されています。B/Lを電子化する動きは始まったばかりです。大手中小含め様々な企業によるリレーで成り立っている物流の世界では、統一のプラットフォームに各社のシステムをつなぐことが困難で、デジタル化は非常に遅れていました。

何とか日本の港に商品が到着しても、次は「トラックの手配」という関門が立ちはだかります。慢性的なドライバー不足や、港での長い待ち時間(平均で2時間以上で、8時間を要したケースも)といった非効率性から、トラックの手配が遅れ、輸入されても確定納期が出るまでに時間がかかるケースが増えています。タクシーの世界がデジタル化で大きく変化していることに比べると、トラック輸送の世界は旧態依然のままという状態です。

しかし、DXとはトランスフォーメーションすなわち「生まれ変わること」。いまだアナログが支配する物流業界の停滞を打破すべく、欧米や日本で「デジタルフォワーダー」として名乗りを上げる企業が出てきました。日本ではまだ1社ですが、現在の物流の混乱を契機に、彼らの挑戦が抜本的な改善につながるよう期待しております。

今回の投稿からニックネームから本名に変更しました。理由は気に入ったニックネームが無いことと、本名で書いているLinkedInとの関係の考慮です。よろしくお願いします。

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