【恋愛ホラー話】偏差値と引き換えに〇〇を捧げよ

これは、私が体験した怖い話である…


わたくし、アラサーなのに大昔の話をして申し訳ないのだが、これは私が高校生の時に体験した怖い話である。


高校生の頃、私には彼氏がいた。文武両道で、運動部で活躍しながらも、勉強では学年で上位10人に入る優秀な彼だった。一方私は、勉強は学年で中の下といったところだった。


彼とは、毎日電話で30分ほど会話していた。お互い運動部で忙しく、なかなか一緒に帰ったり、休みに出かける事もままならなかったが、高校生らしいかわいらしい恋愛をしていた。


高校3年生となり、大学受験が近づいてくる。私も彼も最後の大会にむけて部活動に励みながら、受験勉強をしていた。

両立しながらの受験勉強は大変だったが、彼はそれでも上位をキープしていた。

私も相変わらず、中の下だったので、その辺りで狙えそうな大学のオープンキャンパスに行ったりして、志望校を絞り込んでいた。

お互いに忙しい中でも、電話は毎日欠かさなかった。


私は彼よりも先に部活動の引退を迎えた。もちろん、お互いに受験で忙しいものの、受験一本だったら、勉強しながらでも同じ時間を過ごせるかな、なんて思っていた。

彼は、部活動で忙しいときでも、毎日電話をくれた。私と話す時間が癒しだ、と言ってくれた。


彼の大会は全て応援に行った。そして、彼も引退を迎えた。


彼の大会が終わってから、毎日鳴っていた彼からの電話がぴたっとこなくなった。メールをしても返ってこない。電話をかけてもでない。

とはいえ、同じ学校だ。しかし、彼のクラスに行っても、避けられ、話しかけることができない。

あまりに急すぎて、とまどった。私、何か気にさわることをしたかな?嫌いになっちゃった?

せめて、理由を教えて…。


メールをしても、返事はない。学校でも避けられる。私は、毎日泣いた。受験直前、メンタルはボロボロになった。

そして、ひとしきり泣いて思った。

あいつのせいで、受験失敗するなんて、絶対に嫌だ!と。

それから、私は毎日泣きながら勉強した。

本当に泣きながら、英単語を覚え、年号を覚え、数式を解いた。文字通り泣きながら勉強した。途中から何に泣いているのかもわからなかったが、異常なパワーがみなぎっている感覚があった。


それにより、偏差値が急上昇した。科目によっては、なんと20も上がった。担任に、受けるだけ受験料が無駄になると言われていたた大学もA判定。怒涛の巻き返しで、当初の志望校の2ランク程上の大学に合格、併願校も含め、全ての大学に合格した。


一方彼は、志望校を逃し、地方の大学に進学することになった。私は鬼に取り憑かれていたので、それを聞いて、ざまあみろ、と思った。

私は、偏差値と引き換えに、優しい心を鬼に捧げた。


結局、なぜ音信不通になったのかはわからなかったが、彼のおかげで大学に合格できた。今となっては、彼に感謝しかない。


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