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『蝶は地下鉄をぬけて』を読む。ー魅力的な日常ー

『蝶は地下鉄をぬけて』は、
小野田光さんの第一歌集。

好きな五首を紹介したいと思う。


たてがみをそよがせている馬がいていつまでも歓びは選べる
15ページ


下句の「いつまでも歓びは選べる」が良い。
その理由として「たてがみをそよがせている馬」が例なのも良い。

「隣り合い出土された」のキャプションで恋仲と思われがちな化石
35ページ


博物館で化石を見る時に、新しい視点が得られる一首。
確かに、同時にその場で化石になっただけで、本当はすれ違いとかかもしれない。

コンタクトはずして赤い君の目が黒縁眼鏡に額装される
59ページ



赤と黒のコントラストが気になった一首。

コンタクトで目が疲れて赤くなったので、眼鏡に変えたのだろうか。

「額装」という言い回しから、作者が君を大事に思っていることが伝わってくる。

星々を結べば何にでも見える焼魚座の焦げ目をはがす
95ページ



自作の星座を作って遊んだことがある。

焼魚という料理を星座にした上に、
「^_^焦げ目をはがす」という
二重の空想が楽しい。

泣きながら力うどんをすすってる人に遭遇したことがある
101ページ



泣くことと力うどんのギャップが楽しい。
泣きながらも食べ続けていて、人の持つ底力を感じる。


【まとめ】

生活や仕事など身近なテーマの短歌と、少し不思議な短歌がバランス良く混ざっている。
読んでいて飽きなかった
面白かった



蝶は地下鉄をぬけて (新鋭短歌シリーズ45) https://amzn.asia/d/03FLLXt

最後までお読みいただきありがとうございました。 もっと面白い記事を書けるように日々頑張ります。 次回もお楽しみに!