句集『無音の火』を読む。
句集『無音の火』大河原真青氏著を読んだ。
怜悧な句が多い句集で、気軽に紹介して良いのか迷ったが、勉強になったので紹介したい。
好きな句に付箋を付けて読んだのだが、好きだが紹介と説明が難しい句も多く、どの句を紹介しようかも迷った。
ともあれ、五句選で紹介。
月から見ると日の出ならぬ地球の出になるという想像の面白さ。
将来人が月に住むようになったら日常になる光景かもしれない。
この句では月の兎が地球の出を見ている。
「胡瓜揉」は夏の季語で、塩でさっと揉んだ胡瓜のこと。(手元の俳句歳時記より)
調理法で、胡瓜の塩もみがあるが、そうした胡瓜だろう。
この句だと、塩もみされた胡瓜のことではなく、調理の動作としての「胡瓜揉」かと読んだ。
太陽系の隅で料理をしたり生活したりという切実さがある。
「胡瓜揉」の季語の選択が良いと思う。
この文章を書いていたら冷やし胡瓜を食べたくなったのはナイショ。
「空地」という地面から、「虹」という空への視点の移動がある。
冬の虹だと空地のさみしさが強調されるが、春の虹なので、楽しかったサーカスの余韻を感じる。
ひらがな表記が怖い。
漢字の方が角ばっていて、読んだ印象として「するする感」が減る気がする。
「花の谷」がいわくつきな場所といった、ホラーな想像をしてしまう。
人が谷に行くのではなく、谷が花を使って人を呼んで飲み込んでいるような印象。
蒲団でぬくぬくというような、蒲団と安心を結び付ける句はよく見かけるが、この場合の蒲団は怖い。
怖い夢を吸ってくれているはずだが、悪夢を食べる獏のような不思議さがある。
【まとめ】
沖縄の俳句や写実の句なども掲載されているが、個人の趣味で、宇宙とホラー寄りの句ばかり選んでしまった。
特に季語の使い方や選択が勉強になった。
【本の基本情報】
・販売系統のURLなし。
・現代俳句協会より出版。
・ISBN:978-4-909520-31-9
・書影↓
最後までお読みいただきありがとうございました。 もっと面白い記事を書けるように日々頑張ります。 次回もお楽しみに!