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「まろにゑ」2024年10月号を読む。

短歌同人誌「まろにゑ」を頂きました。

勉強のために「まろにゑ集」のコーナーから、各人の短歌を紹介します。


「木のオルゴール」福田淑子 より

作り手の息づかいまで伝はりて音あたたかき木のオルゴール

連作の表題でもある一首。

オルゴールの材質が木である点もあたたかみを感じさせる。

萎れても色鮮やかに一日をきりりと絞る藍の朝顔


朝顔だが、藍の絞り染めを連想した。

「魔法の箱」池田祥子 より

床屋にて「短くカット」と頼んだら「伸ばした時間が惜しくはないか」と

下の句で「髪が長い状態から短く切ろうとしている」ことが伝わる上手さがある。

枝豆をいつも両手で食べる人僧門の出にて僧にはならず

人生の妙を感じた一首。

AIを使へば作曲自由とぞ バッハとわたし同じ日生まれ


AIと人が協力し合えば、
作品の可能性が広がると気付かせてくれた一首。

「ギャロップギャロップ」座馬寛彦 より

満ち満ちて花振り乱す桜木が憂き一瞥をプラットホームへ


感想を長めに書きたかったので、
一首だけ引用する。

この短歌には二点の見どころを感じた。

一つ目は、
動かない木と動く人(プラットホームにいる作者)という、
静と動の対比である。

二つ目は、
桜の持つ不穏さを擬人法で表現した点。
具体的な箇所で言うと
「振り乱す」という、髪を振り乱すような表現。
「憂き一瞥」という目があるような表現。

上記の二種類の工夫が、
相乗効果を生んでいるように思った。

「月曜の朝」南雲和代 より

空と海あわいに浮かぶ水平線砂地に咲くや向日葵の花

向日葵が作中にあると、
ウクライナを連想する。
もしそうなら社会詠の側面もある。

「あわい」の一語のせいか、現実と幻想のあわいのようにも感じる。

以上。

最後までお読みいただきありがとうございました。 もっと面白い記事を書けるように日々頑張ります。 次回もお楽しみに!