日経Think! 出生率とジェンダー平等

「子どもを持つか、持てるか、は私的な問題だ。歴史が示唆するように、出生率を政策課題として議論するとき、私たちは政治の力をひとの身体に及ばせる。このデリケートな点は、気にとめておきたい。」

という大前提が、私個人にはあるのですが、その上で、いくつか出生率関連の記事に #Think ! しました。

このテーマでぜひ読んでおきたい経済学展望論文は

Doepke, M, A Hannusch, F Kindermann and M Tertilt (2022), “The Economics of Fertility: A New Era”, CEPR Discussion Paper 17212.

こちら、VoXEUでコンパクトにまとめられています。
https://voxeu.org/article/new-era-economics-fertility#:~:text=As%20fertility%20rates%20have%20declined,working%2C%20more%20babies%20are%20born.

Think! はしませんでしたが、ストックホルム大学のリビア・オラー(Livia Olah)准教授のインタビューも大変示唆深かったです。

オラー准教授はこのテーマで有名な方ですが、2018年にスウェーデンの大手新聞ダーゲンス・ニーヘーテル(Dagens Nyheter)にて、日本の低出生率とジェンダー平等についても議論していました(以下、無料公開部分だけ引用。[]内はDeepLによる翻訳。)。

Japan är en ”demografisk tidsinställd bomb”2018-06-18
[日本は "人口時限爆弾 "である]

Japanerna blir färre och färre. Forskarna beskriver befolkningskrisen som en "demografisk tidsinställd bomb". Myndigheter anordnar speeddating-event för att skapa fler par och fängelser beskrivs som "äldreboenden" när äldre begår brott för att få mat och husrum.

Men vad ligger bakom krisen?

Det som brister i Japan är att de hittills inte riktigt förstått hur viktigt jämställdhetsarbetet är, säger Livia Oláh, docent i demografi vid Stockholms universitet. ...

[日本人は少なくなってきている。研究者たちは、人口危機を「人口時限爆弾」と表現している。当局はカップルを増やすためにスピードデートを企画し、高齢者が衣食住を得るために犯罪を犯すと刑務所が「老人ホーム」と表現される。

しかし、この危機の背景には何があるのだろうか。

ストックホルム大学人口統計学准教授のリビア・オラー氏は、「日本に欠けているのは、男女平等の重要性をあまり理解していないことだ」と言う。...]

全文はこちらから(有料記事、スウェーデン語)https://www.dn.se/insidan/japan-ar-en-demografisk-tidsinstalld-bomb/

Dagens Nyheter 2018-06-18

もちろん他の東アジア諸国も、日本と同じような(そして今では日本より低い)出生率に直面しています(日本は今でも「出生率が低い国」の代名詞になっているようで、海外に住む一日本人としては「と、統計を見よ…」と思うこともあります)。

私の周りでは、韓国メディアから「なぜスウェーデンは出生率が(比較的)高いのか」というテーマで取材を受けている同僚もおりまして(※ジェンダー平等だけでなくて、移民政策も重要な視点)、なにかと出生率が話題に出る今日この頃です。