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※ネタバレあり 君たちはどう生きるか、レビュー
君たちはどう生きるか
これはエンタメではなく、宮崎駿の遺言である。
以下、ネタバレありで解説します。
※まとめながら書きますので随時更新
多分、アニメやジブリの歴史や文脈がわからない人はさっぱりのアニメであり、以下はネタバレだが映画を見るうえでの補助線になるかと思う。
岡田斗司夫チャンネルとかを見ているコアファンの7割くらいしかわからないのではないか。
自分も理解度としては50%くらいだが、輪郭や骨子は見えたと思う。
岡田斗司夫は「宮崎駿の異世界転生もの」と予想していたが、バッチリあたった。
予想していたナウシカ要素はなかったが、キムタク↔ジブリの匂わせもしっかり回収しているのがすごい。
様々なメタファー(暗喩)を含むが、キャラがわかってくるとなるほどどと思う。
真人→宮崎吾朗であり宮崎駿
アオサギ→鈴木敏夫、嘘つきで嫌な奴だが役に立つ仲間
大叔父→宮崎駿、宮崎駿の先輩
母→駿の作品
継母→吾朗の作品、産みの苦しみを経験している。
インコ大王→パワーと求心力があるが、どこか浅い→庵野秀明
インコの群れ→現在のアニヲタ、インコ大王である庵野に群れる、食欲旺盛で糞を撒き散らす
ペリカン→昔のヲタク、老害、死んだもの、新たな生命を喰らい、真人を死地へ連れ込もうとする
懐古主義で創作はしない
キリコさん→たぶんスタジオジブリの古いスタッフさん(作画の人?)、幾度となく救われている、命(作品)を生み出す助けをしている
離れの塔→アニメ世界、スタジオジブリ、宮崎駿の世界
大叔父(宮崎駿)は余命を悟り、塔の世界(スタジオジブリ)を真人(吾朗)に任せたかったが、息子は受け取らなかった(しかしジブリを捨てたわけではない→石の積み木欠片としてポケットへ残る)
インコ大王には任せる気はない、やらせてみせたがやはり(駿の)世界を壊してしまった。
→やっぱりお前は俺のイズムがわかってないよ、という庵野へのメッセージ。協力スタジオにカラーなし
駿さんは昔のアニメ(宇宙から来た石→衝撃的なゲームチェンジ)を受けて自分の世界観やジブリを作り上げた。→大叔父の塔の建設、過程で仲間も沢山死んだ、世界を作るために引きこもり。
塔の周りを飛び、覗きこんだり、甘言を囁くアオサギはやはり鈴木敏夫以外にいない。
宇宙から来た石や大叔父は手塚治虫かもしれないし、ディズニーなのかもしれない。
それを嘘つきアオサギ(鈴木敏夫)と現実と虚構もわからぬまま、喧嘩しながらも共にサヴァイブしてきた。キリコさん(ベテランスタッフ)にも助けられたのだろう。
そして気づけば自分も大叔父のように、世界を作り調整するものになっていた。
気づけば「売れるもの(悪意のある石の積み木)」を積んでは世界(ジブリ)を安定させて、保たせていた。
いつしか純粋な作品は作れなくなり、ジブリを生かすために作品を作る
大変そうな積み木を積んで「これで一日は保つ」「たった一日?」
駿は純粋でない作品つくりを繰り返しながらも年老いてきたのだ。
そこに継ぐもの
過去の駿、今の吾朗が訪れ、世界を受け継ぐことを拒否する。
これは駿が過去に戻れたとしたら「売れるものではなく、純粋なものをつくりたい」とか「アニメなんか作らず、自然社会で暮らしたい」という暗喩ではないか
そして、現在の吾朗へのメッセージでもある
「キリコさんのお守り(ジブリスタッフ=人材)」、「石の積み木の欠片(ほんの少しのアニメ界に蔓延る悪意)」を使って作りたいものを作っていけよ!!ということだ。
故に遺言
駿の作ったジブリは近々無くなるだろうし、もう崩壊して違うものになっているのかもしれない。
もし過去に戻れたらどんな選択をするか?
しかし過去に戻れることはないの。
君たちはどう生きるか。
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レビュー後記
これジブリ作品だからといって、ジブリファンが見るもんじゃないと思う
遺言なので
だから宣伝しない
お客のためじゃないので、エンタメじゃないと評した。
宮崎駿はホンモノのクリエイターなので、手記や実写映像でななく、作品で遺すのだと
今までも散々作品の中で訴えて来たのかも知れないが、分からなかった。
これが最期で最高の自己表現なのかもしれない。
エンタメではなくアートなのかも知れない。
しかしこうなってくると、散る花火を放った後のクリエイターが何を語るのか知りたくなるのが消費者の性である。
それが嫌でこれで終いとしたいんだろうな。
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