地元と言える場所
「出身どこなの?」と聞かれるといつも返答につまる。
世間話の延長でたいして興味もない事だろうからヘラっと答えられたらいいのだが、わたしには地元と言える場所がわからない。
生まれは外国だけど幼稚園の頃には日本に越してきていたし、両親の出身はそれぞれ違う。
どちらの生まれた地にも住んだことがあるけれど、わりと転々としていたから幼なじみと言えるような人もいないし、20歳を過ぎて一人暮らしを始めるまで地元と言えるほど繋がりの深い土地はなかったように思う。
夜行バスで新宿に降り立った後、中央線で西へと向かった場所。
そこがいまのわたしにとっては唯一地元と言える場所。
住んでいた期間は約7年くらいになるだろうか。
長いのか短いのか、まだ判別はつかないけれどすごくすごく好きな場所であることは間違いない。
たぶん居たら嫌なこととか「んー?」って思うことはたくさんあるだろうし、久々に行ってみて全部が全部最高!と行かない時だってあった。
でも今日はすごくよかった。幸せだった。
住んでいた頃には行けなかったネイルサロン。
Instagramでデザインを見て感動して、ずっと行ってみたかったのだけどどうにもタイミングがあわず、通い始めたのは別のサロンだった。
朝起きてボロボロの爪をみて悲しくなってしまい、ネイルサロン行こうと検索をすると通っていたところは予約が取れず、ダメもとでその行ってみたかったサロンをみるとなんと午後から空きが。
すぐに予約して支度をして出掛けたら見事にマスクを忘れた。
乗換駅でお店に駆け込みマスクを購入してから気を取り直してお店へと向かう。
今の家から電車で行くのは初めてかもしれない。
久々に降りた駅はまた景色が変わっていて、駅前の大通りの店舗も1年半ほどの間にかなり様替わりしていた。
ひとり驚き変わらぬ場所を見つけては懐かしみつつ向かったサロンでは、とても丁寧な仕事と安心感のある雰囲気に触れられ来れてよかったなと思った。
淡々とした仕事ぶりもさることながら、そこに向かう時間やその場で過ごす時間も含めてやはり手先のことはプロに任せるのが1番だと思う。
友人のネイリストも今日のスタッフさんもおっしゃっていたが、自分でやるとどこかいい加減になってしまうのだ。
いつも目に触れる指先は整えておきたい。
プロに頼めばそれなりにかかるけれど、それだけの価値があるとおもう。
そしてその後は好きだった雑貨屋さんやドラッグストアをまわってビストロへ。
いつもミスチルが流れる店内では大柄の店主がにこやかに接客をしておりすごく落ち着く空間だ。
わたしはここのサラダが1番好きで、時期によって桃だったりいちじくだったり色んなフルーツや野菜をつかったメニューはシンプルだけど最高に美味しい。
普段からよくミスチルを聴くことはなくなったけど、好きな曲も多く改めてすごく普遍的なバンドだなと思ったし語弊を恐れずにいえばこんなにBGMとして当たり前に受け入れられるところが良さでありすごさだと思う。
そしてもう1軒。
jazzBARなるお店なのだけど、通い始めて8年くらい経つんだね〜なんて常連さんやマスターと話してたらびっくりしてしまった。
この土地に来てすぐ通い始め、ギターをもらったり色んなお店に連れて行っていただいたり、初スナックもここの方々と。
休日にマスターとサティ展に行ったのもいい思い出です。
顔ぶれは多少移り変われど、変わらずいてくれる人やお店の存在のありがたさもすごく感じて、幸せな時間でした。
いい一日。
また、おめにかかれますように。
2020.09.05 Kao Tan
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