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動物の目に見えている世界には「線」なんて引かれていない

最近、自宅近くで古い家屋の取り壊し工事が始まった。門扉には「害虫駆除作業中」と黄色と黒でものものしく書かれた注意を促す張り紙。

その家の前を通るたび、モヤっとした気持ちになる。害虫って言い方!誰にとっての「害」なの?って。虫たちからしてみれば、人間の方が「害人」だ。自分たちに害をなすものだから。

当たり前の話だが、この世界は人間だけのものではない。住宅地だってそうだ。人間の住む家が建っていてその土地建物の所有権なるものも存在しているけれど、それはすべて人間の都合であって、人間以外の生き物には関係のない話。

ときどき猫が庭に来ると「うちの庭に入って来て!」って怒る人がいるけれど、そもそも猫に塀や住宅地図の境界線なんて関係ないのだから、怒ったって仕方のない話だ。動物は自分の命を守れる場所と感じるところへ行く。ただそれだけだ。

熊が出たと言って「駆除する」のも人間の都合。生きるため、お互いの子供を守るために戦わなければならないとしたら、それは駆除ではなく、もっと他の言い方があるはず。

この世の中は如何せん人間の都合だけで回っている気がしてならない。

いつの日か、遠い宇宙から人間の能力をはるかにしのぐ生命体が地球にやって来て「人間はジャマだから駆除しちゃおう」と簡単に言われても、今のように生きている私たちには反論のしようがないだろう。

私は猫好きだから猫を引き合いに出して表現するけれど、猫から見た地図には境界線なんてないし、「ここはうちの庭」なんて理屈は通らない。人間の描く地図にある「境」は人間の都合だけで描かれた境界線なのだ。

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