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題名のない日常

どんな家でも、どんな場でも、そこにはつくる人たちの想いや記憶があり、暮らす人たちが育む歴史があります。

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このnoteでは、東京・世田谷の大蔵というまちに新しく生まれる暮らしの場にまつわる出来事、関わる人たちの想い・考えなどを思い出のアルバムのようにまとめていきます。

私たちが大切にするのは、“私”や“あなた”の存在を認め合うこと。
大蔵の暮らしの場は、様々な人が集まって暮らすこと以外、まだほとんどのことが決まっていません。これから少しずつかたちづくっていきます。

どんな場がこれからできていくのか、読んでくださる皆さんと一緒に過程を楽しみながら、この記事を通して自分たちの暮らしに思いを馳せる時間を共有していきたいと思います。


暮らしの輪郭を見つけていく

大蔵に新しく暮らしの場をつくるプロジェクトは「三年鳴かず飛ばず」という、様々な立場や分野の人たちがゆるやかにチームとなって進めています。この記事を書いている、私はチームの一員の宮田サラといいます。

ここから、少し私の自己紹介を。

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私は、高円寺と阿佐ヶ谷の間にある「高円寺アパートメント」という賃貸住宅に住みながら、“女将”として住人さん同士や地域の人たちとの関係性を育んでいます。
住人さんも私も、自分たちで暮らしを楽しくしながら、高円寺アパートメントでの日常を送っています。

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住宅の運営をしている人であり、暮らしを楽しんでいる人として、私はこのプロジェクトに関わることになりました。

このプロジェクトでは、どんな人がどんな暮らしをするのか、どんな場が生まれて欲しいのかを、大家さん、建築士、大工さん、大蔵や世田谷のまちに暮らしている人、これから生まれる場に興味がある人など、様々な人が関わって対話を重ねながら、思い浮かんだ物事を一つひとつ紡いで、日常のあり方を考えています。

私はこれまで、住宅ができてからの運営に携わってきましたが、つくる過程に直接関わったことはほとんどなかったので、誰かの暮らしがはじまる前の段階に関われてとてもわくわくしています。

様々な価値観の人たちが、みんなフラットに個人の考えを共有しながら、つくっているプロジェクトの過程も面白くて、目的地を決めずに地図を白紙からつくりながら冒険しているような気分です。

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かたちや名前、誰が住むかも、まだ決まっていない暮らしの場。
どんな日常が生まれていくのか、いまはまだ分からない未来の一日一日に思いを馳せることで、暮らしの輪郭を見つけていきたいと思います。


これまでとこれからをつなぐ暮らしの場を

新しく暮らしの場が生まれる予定の場所には、もともと大家さんの実家と畑、木造賃貸アパートがありました。

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そばには川が流れ、空が広くて、山が見え、ゆったりとした時間の流れを感じる場所です。

大家さんの実家の横では、畑で取れた野菜を販売したり、お正月にはお餅つきをしたりと、まちの人たちが集う場としてこれまで育まれてきたそうです。

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そんな中、畑や実家の前の土地を横断する都市計画道路の工事がスタートすることに。ショベルカーがやってきて建物と畑の一部が掘り起こされ、土地は分断され、まるで最初から何もなかったような、まっさらな道路になりました。

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何年も前から大蔵のまちの人たちと共に記憶を刻んできた建物や畑がなくなってしまうのは、ここで暮らしていない私でさえ寂しいと思ってしまいます。

かたちは変わっても、これまでの記憶と想いを引き継いで、この先の未来につなげていく暮らしの場ができたら。そう思いながら、プロジェクトに関わっています。

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存在を承認し合う「三年鳴かず飛ばず」

プロジェクトを進めていく上で、私たちが大切にしているのは、存在を承認し合うこと。

バックグラウンドが違う人たちだから、考え方や価値観が違うのは当たり前。自分の考えを大切にしながら、相手の考えも大切に。実行するのはなかなか難しいなと思いながら、心に留めて、少しずつ想いを行動にしていけたらと思っています。

新しく生まれる暮らしの場で大切にしたいことも同じで、「いまのあなた、そのままで良いんだよ」と認め合える環境が、居心地の良さにつながると思います。
つい自分の意見を押し付けたくなったり、貢献しないといけないと思ったりすることもありますし、それが必要な時もありますが、その考えを手放すと、ふっと肩が軽くなる気がします。

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プロジェクトを表す「三年鳴かず飛ばず」は、メンバーによって少しずつ捉え方が違うかもしれませんし、このnoteを読んでいる方によっても受け取り方が違うかもしれません。
私は「ずっと鳴かなくても飛ばなくても良い、いつか鳴いても飛んでも良い」という承認のメッセージと捉えています。

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ただ、飛んでいるのか、歩いているのか、止まっているのか、自分はいまどんな状態なのかは、感じておきたいなと思います。
「自分はいまどんな状態で、暮らしやすい状況ってどんなものだろう?」
と考える時間も大切にプロジェクトを進めていきます。


いまの私の暮らしは、一人暮らしですが、誰かと一緒に暮らしているような安心感や楽しさがあります。

高円寺アパートメントで、朝、住人さんと顔を合わせて挨拶をしたり、お昼にご飯を食べたに行ったらばったり住人さんと会って一緒に食べたり、夕方帰ってくる住人家族の子どもたちと目の前の芝生で遊んだり。

記念日やイベントも楽しいけれど、何気なくて、ありふれた、題名のない日常がとても愛おしいと感じます。

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自分たちの暮らしへの問いを常に持ちながら、新しく生まれる暮らしの場にまつわる出来事や関わる人たちの想いと考えを、これからご紹介していきます。
家ができるまでの過程を楽しみながら、自分たちの暮らしや何気ない日常にも思いを馳せてみてください。

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いつか、ここに暮らす人たちやいまもこれからもこの家に関わる人たちが、思い出のアルバムのようにこのnoteを振り返って、こんなふうにつくられたんだと、思ってくれたら嬉しいです。

暮らしの場を一緒に考えていく仲間を募集しています
このプロジェクトでは、「こんな暮らしがしたい」という暮らしのあり方を住まい手と一緒に考えていけたらと思っています。
まだ建物もできていないこの場所で、住まい手として一緒に暮らしを考えてみたいという方、このプロジェクトに興味があるという方は、お気軽にご連絡ください。

お問合せ:k-ando@andito.net(三年鳴かず飛ばず宛)

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