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子どもと並んで座ってみたーゆるきち1年生ー

ゆるきちで過ごした1年

中高生のためのオープンスペース「ゆるきち」に通うようになって1年が経ちました。(正確には1年と3ヶ月。)仕事でも子どもと関わるようになり、この1年で様々な年代の子どもと出会いました。ゆるきちに通い始めて4回目くらいまでは何をしたらいいのか分からず、1日中、すみっこで体育座りしながら、子どもたちのスマブラを見て過ごしていました。回数を重ねるうちに部屋の隅っこから、子どもたちの隣に座るようになり、少しずつ会話も増え、「おくちゃん次回も来る?」と聞かれるのがとても嬉しい今日この頃です。

最初に子どもと打ち解けたイベントは節分

こんな世の中でなかなか思いっきり過ごせない日々ですが、みんなで一緒にご飯を食べたり、ゲームで盛り上がったり、公園で遊んだり、家中に笑い声がこだましたりする場面に出会うと、とてもほっこりします。

リビングに集まる姿、ほっこり

あなたのことはわからない

ゆるきちで活動するようになって私が心に留めていることは「あなたのことはわからない」という前提で接すること。ゆるきちに来る子だけでなく、どこの子どもでも、そして子どもだけでなく大人だって、それぞれの事情を抱えて生きている。それは見た目では判断できないことが多く、『事情』の大小もさまざま。

最初のうちは探り探りで、相手のことを知ろうとしていたのに、仲良くなるとその気持ちが薄れて、いつのまにか「この子はこういう子」というレッテルを貼ったり、そのレッテルのもとに接してしまう。

子どもたちと接する中で、何度もこの「自分が勝手に決めた子どものレッテル」が覆る瞬間がありました。「この子はこういう子だから、こういう声がけにしよう」とか「こういうことが好きだから、こんなふうに遊ぼう」みたいに思っていても、今日の今この瞬間のその子にとってそれが最善じゃなかったり、気が乗らないことも。「そりゃそうだ!」ってことなんですけど、仲良くなる程に先入観で判断しがちになってしまうんですよね。

なので意識を少し変えるようになりました。私から見えているのはたくさんある面のうちの1つかもしれない。私の見えていない面に本心が隠れていたり、何か輝くものがあるかもしれない。今見えている「あなた」だけで判断してはいけない。たくさんの子どもと出会って、そう思うようになりました。

子どもと一緒にお勉強もしました

思いはかる=おもんぱかる

「あなたのことはわからない」という前提で接すると「普通はこうだよね」とか「こういう子はこうしてあげたらいいよね」みたいな「決めつけ」が少なくなります。(「決めつけ」はゼロにしたいと思いながらも、自分の価値観が抜けきらないので、なかなか難しいですが。)

そのかわり、「今ここにいるあなた」に目を向けて、「今私はどう接したらいいか」「私はどう行動したらいいか」を考えることができます。例えば「今、Aくんはあのメンバーとの時間を過ごしているから、私は別の部屋にいよう」「Bくんはひとりで楽しんでいるから、そのとなりで私もひとりで作業しよう」「Cさんがふらっと寄ってきたから、作業の手を止めてCさんの話に集中しよう」みたいな。

その場の状況を見ながら、時に子どもたちに「どうしたいの?」「どうしたの?」と気持ちを聞きながら、「今ここにいるあなた」一人ひとりに目を向ける。いろんな想いを持つメンバーと一緒に活動し、いろんな子どもと出会う中で、この「思いをはかる=おもんぱかる」行動が大切なんだと思うようになりました。

と言いつつ、まだまだ足りていないことばかりです。「もっと違う返答の仕方があったんじゃないか」「こんな声かけの方が良かったのでは」「あの言葉は余計だったな」帰りのバスに揺られながら、自己反省会をしています。

公園で元気に遊ぶ子どもたち

先生じゃない、メンバーでいること

最初のうちは、そんな自己反省も、どこか自己嫌悪に近いものがありました。「なんでこうできなかったんだろう、自分はダメだ!」みたいな。特に打ち解けるまでは「今日もだめだったな」ってしょげてトボトボ帰っていました。

でも、ゆるきちでは(カコタム全体でも)子どもも他のメンバーも、そんな「ダメダメな一面」を怒ったりしないんです。「まったくおくちゃんはも〜〜」とか言いながら、笑ってくれる。「あ〜、ゆるきちの良さってこれだな」って思いました。

メンバーは学生から社会人まで、いろんな人がいます。でも、メンバーになるために特別な訓練や試験があるわけでも、教育免許や学習指導の経験が必要なわけでもありません。「正しいことをする(教える)先生」ではなく、「社会にいる大人(ちょっと年上の先輩)のひとり」なんです。メンバーからも子どもからも「正しいことを言う大人」であることを求められていない。何者でもない、「ひとりの人間」をなんだかマルッと受け入れてもらえているような、そんな安心感。

ダメダメなとこだってあるじゃない、人間だもの!!チャーハンがしょっぱくなっちゃうことだってあるじゃない!スマブラで横ビーの技しか使えないってこともあるじゃない!!マイクラの話が全部暗号に聞こえることだってあるじゃない!!!ストーブの前で眠くなることもあるじゃない、だって人間だもの!!!こんな調子で「おくちゃん」でいることに自信が持てました。笑

5周年式典、一緒に頑張った子どもたちとタコパ

そこにいつもあること

ゆるきちは単なる「場所」を提供しているわけではないなと、思います。「ゆるきち」と聞いて利用する子が思い描くのは、そこにいる「メンバー(=大人)」です。ゆるきちを通して「社会にはこんな生き方をしている大人もいる」「世界にはこんなコミュニティもある」と思ってもらえたらいいな。

生きていると職場や学校、家庭などなかなか抜け出すことの難しい環境の中で、人間関係に悩んだり、自分に自信が無くなったり、自分の周りの世界が嫌に感じたり...。そんなこともあると思います。でも、「そう言えばこんな大人もいたよな」とか「こんなコミュニティもあったよな」とか、「あの空間に帰りたいな」みたいな、そんな場所があると、なんか心強かったりすると思うんです。(たぶん)

ゆるきちは2021年11月で5周年を迎えました。そこにいつもあること、これまでもこれからもあり続けるだろうと思える場所を作ることは「安心できる居場所」であるためにとても大切なことです。

ゆるきちが「いつもそこにある場所」であり続けられるように、ゆるきち2年生、精進していきます。

美味しいたこ焼きを届けるのに必死なメンバー

P.S. 出会いと別れの春

雪解けも進み、春になりました。「ゆるきち」を卒業して行く子どももいます。夏休みには遊びにくるねと言ってくれる子や、ゆるきちメンバーとして戻ってくるよ、なんて子もいたり。

また大学を卒業し、社会人になるメンバーもたくさん。新年度も変わらず利用してくれる子もいれば、これからの季節、新規で利用し始めてくれる子とも出会えるでしょう。

出会いと別れの季節を、(ちょっとセンチメンタルに、スマブラで遊ぶ声を聞きながら、)ゆるきちで感じています。

素敵な季節になりますように


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