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太郎巫女・岡本敏子さん|岡本太郎のいのちとたましいにありったけに感熱感電し続けたそのひとにお逢いして

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『奇跡』岡本敏子/集英社(同・文庫版もあり)
『岡本太郎に乾杯』岡本敏子/新潮文庫
『岡本太郎 神秘』岡本敏子・内藤正敏共著/二玄社




サインの0度はもっともそのサインの性質をビビッドにあらわすというけど、やっぱ私の体質もそれなのかな。
アセンは魚だけど体質はむしろ月山羊が強く出てる。いまの疾患も山羊由来。しかも山羊0度で10室カルミネイト。土星オポ冥王星スクエア。太陽木星合土星天王星のグラトラをつらぬく傷の月のカイト。

‪昨年の山羊座大集合の破壊と再生そのまま身体に来てるよね金星も山羊だし食べ物も受け付けなくなるの増えたし…他の配置含め。もろもろ再構築なんだなあ…と!(笑)‬
‪すでに2020年12月22日(火)の水瓶座のグレートコンジャンクションを越えふあっふあに風の身体と化したいまも。あらためて新鮮にそう思う。‬


‪◎
ちなみにその傷の月は私の人生に多大に影を落とし続けたとはいえ、射手座のドラゴンヘッドとゆるく合するためか、滝本晃司さんを筆頭に幾重にも稀有なる縁と経験に恵まれてきた。ほんと私めちゃめちゃ運がいいなって、人生で何度思ったことだろう。‬
(月ヘッド合はもっとも縁の引き寄せ力が強いという)

公私にわたり岡本太郎さんのかけがえのないパートナーだった岡本敏子さんにはかつての仕事を通して2度もお逢いできて、しかも2度目は南青山の岡本太郎記念館のバックヤードの書斎でお話を伺う幸運まであずかった。

‪太郎と敏子が濃密に戦闘の日々を過ごしたあの場所。‬
互いが互いのいのちを惜しみなく差し出し、手を携え戦火の中を走り、ともに傷を負い、血を流し、互いの実存のすべてを賭けそのいのちとたましいを果てなくありったけに極限まで融け合わせてふくらませ続けた場所。しかもきわめてプライベートに近い場所。

‪書斎のテーブルからは奥の小部屋も見えて、明かりは消えてたけど遅い午後のひかりの中にほの見える書棚や無数のメモ類や細々ものが置かれた空間のそれに、ああ、太郎と敏子は本当にこの場所に生き猛烈に融け合い実存を賭け続けていたのだと、目の前でにこにこ話される敏子さんのお顔に重ねつつ疼いた。‬

‪もっとも色濃くふたりの気配を感じるのは1階のアトリエだけど。‬
私は太郎巫女、いつも太郎さんと一緒なの。いまも一緒よ、一緒に生きてるのよ。いまもこうして身体をビリビリッて、何度も太郎さんがふれてくるのよ。
にこにこ笑みをたたえつつ、ふいに太郎と同じ射抜くような目でまっすぐ私を見てそう語った敏子さん。

‪あのとき敏子さんにお逢いできたこと。‬
そして敏子さんを通して濃密に太郎さんにお逢いできたこと。
本当に本当にうれしかったし、歳月の経過とともにますますおふたりのノーブルで力強い肯定の言葉に励みを受け続ける者として、いっそう深く繁くそのことの奇跡さを思わずにはいられない。


芸術は呪術である。
人間生命の根源的混沌を、もっとも明快な形でつき出す。
人の姿を映すのに鏡があるように、精神を逆手にとって呪縛するのが芸術なのだ。

*岡本太郎の本I 『呪術誕生』


戦慄的な二重性にこそ神秘が現出するのだ。
面をかぶって別のものになる。神、死霊、祖霊……
いずれにしても人間を超えた、超自然的な存在に変身する。
それは自分でありながら、同時に別個の存在であるということだ。

*岡本太郎『美の呪力』


火と水。二つの根源、その神秘な力にすべてが呪縛される。
このうつろいやすい、二つの神聖。

*同『神秘日本』


その日その日、その時その時を、平気で、そのまま生きている。
風にたえ、飢にたえ、滅びるときは滅びるままに。
生きつぎ生きながらえる、その生命の流れのようなものが永劫なのだ。

*同『沖縄文化論ー忘れられた日本人』


いま残ったわずかな証拠。
片鱗、だがそれらを見ただけでも、無限の過去に次々と没し去り、消されてしまった夢の壮大なイメージが浮かびあがってくる。
ものとしてある絶対感は、その生命が人間精神とともにひらく瞬間にこそ生きる。
それだけでよい。「遺物」自体がそう語っている。
惜しみなく消えて行った文化が、どのくらい巨大で高貴であったか。

*同『美の呪力』


神秘を感得する能力は現代人からはほとんど失われてしまった。だが稀に、そういう原始の資質を鋭く、なまなましく持っている異常な人がいる。岡本太郎はそういう人だった。フランスで育ち、教育を受けているし、本来極めて論理的な頭脳を持っている。合理的な人なのだが、感応すべき場や、ものに出会うと、びりびりと共振してしまうらしい。
人に言っても解らないから、ふだんは黙って、そこに秘めている。だが、あるとき、突如彼はシャーマンになる。直接、彼方の世界、神秘と交流する。身動きできなくなる。時にうなる。
対象によって違うが、透明な混沌の神秘と一体になり、ふるえあがって、岡本太郎という一個人の枠を超える。そのとき彼は宇宙と通じているのだ。

*『神秘』岡本敏子による序文



以上、岡本太郎(撮影・文)×内藤正敏(プリント)コラボレーション写真集『神秘』(岡本敏子・内藤正敏共編/二玄社)に付された言葉より。

太郎さんの言葉は敏子さんと出逢い、敏子さんが取り纏めるようになって以降、格段に凄みを増した。‬
ご自身が直筆したころの文体は内容の鮮烈さに反し、言葉の流れがまどろっこしくて正直読みにくい。太郎さん自身の語りたいこととそれを書き綴りまとめ上げるスピードが文体に追いついてない感じなのだ。

‪けれどもその言葉は上記の通り、敏子さんが関わるようになって以降、より簡潔に、よりストレートに切り裂くように、太郎さんの思想が鋭く投射される凄烈なものへと変貌した。間違いなく太郎さんは敏子さんにより岡本太郎の文体を獲得した。それは身も心も太郎さんと溶け合った敏子さんにしかなしえなかった功績だ。‬

‪ちなみに2度目に敏子さんにお逢いした時はちょうど『明日の神話』再生プロジェクトが本格的に動き出したころで、なんと私たちが書斎でお話を伺ってるさなかに「敏子さん!!壁画、メキシコから運ぶ目処が立ちましたよ!!!」と、一目見て超絶仕事ができるとわかるカッコイイおねいさんが笑顔で飛び込んでいらして。‬

‪「わあああほんとに???やったわね!!!」と。その場で敏子さんもめちゃめちゃ大喜び。‬
お邪魔になるので私たちはおいとましようとしたら、「いいのよ。このままここで話を聞いててちょうだい」と強く引きとめられて。ほんとに偶然居合わせただけなのに(笑)一緒にわくわく熱気の中でお話をお聞かせいただいた。

そうしてさまざまな方たちが奔走して尽力して気の遠くなるような曲折を経て、全長30m高さ5.5mの巨大壁画『明日の神話』は現地でパーツごとに丁寧に解体され梱包され、ついにメキシコからそれを乗せた船が出航した。その連絡を受けた夜。敏子さんは急逝された。2005年4月18日(月)。享年79。

この壁画を日本に連れて帰ることが私の最後の仕事と仰ってた敏子さんの、あまりにもドラマチックすぎる幕引きに、悲しみよりもむしろすがすがしさと。やっぱ太郎さん待ちきれなかったのね。ほんと敏子さんのことが大好きすぎるのね(笑)と。訃報なのにみんなを泣き笑いさせちゃうところが何ともおふたりらしい。

そうして現在、渋谷駅構内に恒久設置されている巨大壁画『明日の神話』。
「人は残酷な惨劇さえも誇らかに乗り越えることができる、そしてその先にこそ『明日の神話』が生まれるのだ」という太郎さんのまっすぐなメッセージが、ありったけに美しく炸裂して込められた壁画。
敏子さんもタローオカモトの最大最高の傑作と仰ってたし、私も元々大好きな作品だったけど。

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滝本さんが碑文谷アピア40でライブされる際は必ずあの前で立ち止まり、太郎さん敏子さんこんにちは!!また来ましたよ!!!って。
うれしく挨拶してあの壁画とおふたりの実存から思いきりパワーをもらってから東急東横線に乗り換え、学芸大学駅へ向かうのがつねだった。‬

ので。当日もツイートした通り、昨年2020年12月24日(木)。
久々のライブ参戦となった滝本さんアピアクリスマスイヴライブの日もめちゃめちゃおふたりに再会して対峙してパワー頂戴しまくりで馳せ参じましたゆえ、わたくし到着するなり、いきなりアピアの階段のたもとで阿佐ヶ谷ハーネス以来9カ月ぶりの邂逅となる滝本さんにお逢いする奇跡にあずかりましたの〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!ϵ( ≧Θ≦ )϶ϵ( ≧Θ≦ )϶ϵ( ≧Θ≦ )϶ϵ( ≧Θ≦ )϶ϵ( ≧Θ≦ )϶💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕
(上記写真はその日の渋谷駅にて撮影)



というか無性におふたりの話を書きたくなった大いなるきっかけこそ、他ならぬ滝本さんのみずいろなのだ。

2020年10月3日(土)、吉祥寺マンダラ2配信ライブのあの夜。滝本さんのみずいろに烈しく身を灼かれ噴き出してきた言葉。太郎さん敏子さんおふたりの常世(とこよ)から、突如死角を衝きみずいろにもたらされた点火。あのうるおう切迫の熱情の奔流のただなかへじゅあああああ…っと火の御柱(みはしら)が挿しこまれるがごとく。火と水の感応を衝き烈しく水蒸気をたちのぼらせじゅあああああ…っとみずいろなるこの身に炸裂して散華して美しくあびせかけられるおふたりのプリミティブな熱情。

あらためて、これほどまで熱く繁く高速のリズムに綺羅の響音をまばゆかせただひとりのそのひとへとおのれの全存在を賭けて希求し続ける曲は、滝本さんの楽曲にして初ではないか。

だからこそこの曲を作られた滝本さんの中に、ご自身の本来好まれるゆるやかな音楽リズムでは昇華しきれない何か、やるせないほど速度を渇望する何か、そうすることでしかおのが身の想いや情動を慰撫しきれない何かが抑えきれぬほど熱く猛く昂ぶって…それこそ太郎の言葉そのままに「精神を逆手にとり呪縛」するがごとく。美しき音楽芸術の極致まで高められ結晶された曲こそがこの、最新曲みずいろではないか。

そして同時にみずいろなるこの曲それ自体もひとつの有機的音楽生命体として、烈しくこの速度と熱を必要としていたのだと。私にはそう思えてならないのだ。そうして生まれた異色のリズムとサウンドとメロディに滾る熱情が、太郎さん敏子さんおふたりの生きざまにも重なり合い響き合い、いまここに希望の歌として燦然とこの身に降りそそぐいとしさ。
きりきりと狂おしく羽交い締めにされるほど痛みとエレジーにみちていながら、おふたりの実存領域にも壮絶に凄絶に共振共鳴していく愛の歌。

いとしさはこんなにもいとしさを招び、歌と音なる霊性をひきつれこの地上に生まれくるいのちをことほぐ。
互いが互いの全存在を賭け感熱し感電し最後の最後までいのちとたましいをかなしいほど歓喜と哄笑の彼方までふくらませ続けた、太郎さん敏子さんのそれのように。




愛(かな)しゃると滾(たぎ)つ雨なるみづいろの非在のなかへいのちは炎ゆる/奥野



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滝本晃司さん公式HP
地球レコード:みずいろ所収の滝本さん新アルバム『星がいっぱい』ほか、バンドたまのCD、DVDなども取り扱う自主レーベル。通販可(なんと滝本さんの直筆サインが付いてきます!!!)


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