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『同じ境遇の仲間との仕事で自信が持てた』ジモットワーカーを通して思い出した仕事の意義

Kさん(40代、女性)
震災後、大熊町を離れ、現在は茨城県在住。
大熊町の景色がどんどん変わる様子、大熊町以外に住める場所があることに気付いたことで、登録時には町に対して言葉にできないネガティブな想いがあったそうです。
生活をするためにも、前向きに生活するためにも、仕事がとても大きな役割を果たしているとジモットワーカーの活動を通して感じたことが、活動での大きな収穫と話してくださりました。


・登録の経緯


広報おおくまを見てジモットワーカーに登録をしました。
子どもが幼稚園に入り時間に余裕ができたものの、外での仕事は難しく、在宅で働くことができたらという気持ちがありました。

ただ、未経験で情報がない中で、オンラインのお仕事には不安がありました。そこで、研修を受け、お仕事の相談もできるジモットワーカーにとても惹かれて登録をしました。実際、お仕事開始前までに丁寧なステップがあったことで、安心してお仕事を始めることができました。

・現在のお仕事


今までの事務経理のスキルと、システム関係の業務に携わった経験から、Kintoneでの業務設計アプリの制作や、社内業務の標準化のお手伝いの仕事に就きました。その後、今はオンラインで大熊町の移住相談窓口の受付をしており、このお仕事も2年目になりました。
内容が複雑であり、来庁時には緊張感した面持ちでいらっ者る方が多いです。画面越しでも町民が説明をしていると、笑顔を見せてくださることもあり、やりがいを感じます。

・ジモットワーカーに登録してよかったこと


事前研修や面談があったことはもちろんですが、お茶会などのイベントがあり、離れていても町民同士の交流ができたことも良かったです。なかなか自分の同世代の町民とかかわる機会がなかったので、町民の方々との交流機会はとてもありがたかったです。また、それぞれが仕事を頑張っていることを聞けて、モチベーションアップにもなりました。

また、個別に相談に乗ってもらうことができ、自分のキャリアや生活環境にあった仕事の提案をしてもらうことができた点も良かったです。どうしてもプライバシー性の高い話なので、町の人への相談には抵抗がありました。敢えて、町外の人に話を聞いてもらうことができたことも、具体的な相談がしやすかったです。

大熊町民ではない人たちが、町を盛り上げようとしてくださっていることも嬉しかったですし、町への想いを変えるきっかけにもなりました。
個人的には、震災後、大熊町がもっとも町民に寄り添った事業がジモットワーカーだと思っています。原発や東電以外の仕事を町に創り出したこと、町外から大熊町にかかわり続ける仕組みを作れたこと、は町民としてとても感謝していますし、この仕組みがずっと続いてほしいと思っています。

・今後のキャリアの目標

子どもが大きくなってきたし、就労時間を伸ばして決められた業務を進めるだけでなく、業務改善にもかかわっていきたいです。また、テレワークでも社会参加ができることがわかったので、今後も町外から大熊町にかかわりつづけたいと思っています。

・ジモットワーカー事務局より

活動の最初にお話しした際に、町に対してネガティブな想いを持っているというお話をしていたKさん。一緒に活動をしていく中で、様々なお話を伺いましたが、いまだに震災後の大変だった日々のすべてを知ることはできていませんし、同じ体験をしていない私たちが完全に理解することは難しいでしょう。だからこそ、私たちにできる対話を続けてきました。その中で、お仕事を通して、確実に自信を取り戻し、アクティブに活動しているKさんの姿勢に、私たちはとても心を動かされました。

『働く』というのは、ただお金をもらうため、生活を維持するためのものではない、ということを、Kさんの変わっていく姿に、改めて学びました。『ジモットワーカーがなくなったとしても、自分の中に残るものを得られた』とKさんがお話されていたことは、震災を経験したからこその言葉であり、この3年間で学びや気付きがあったと感じさせられた瞬間でした。

私たちもKさんからたくさんのことを学ばせていただきました。今後のキャリアもよりKさんらしいものになるよう、祈っております。


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