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とうとう高ピッチ龍笛を買った

龍笛(りゅうてき)のピッチの話をします。音の高さです。

昭和40年代、「黄鐘」(おうしき。雅楽で用いる音名の1つ)を430Hzとする考えが広まりました。

それまでも事実上は、ほぼそうだったようですが、数字で把握することがなかったようです。(参考 【なぜ雅楽は430ヘルツ?】日本雅楽会

以来今日まで、「雅楽の基音は430」「黄鐘=430」と数字で表現されています。

龍笛も「黄鐘=430」で調律されています。

ただしかし、龍笛は、「『黄鐘』の指押さえをしたら430Hzが鳴る」楽器ではありません。(注)

同じ指押さえでも、構える角度などにより音高が変わってしまうのです。

「吹いたらそれが鳴るよ」なんて工夫は、さらさらしてくれていない楽器なのです。


さて、わたくしこの度、黄鐘=442Hzの龍笛を買いました。

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奥が442、手前が430調律です。箱に「高ピッチ」とシールがあります。
442が樹脂製なので、430も樹脂製を取り出して比べました。
写真だと442が短く見えますが、実際は同じです。ただ、ちょっと細いかな。
内部の径の判断はつきません。

わたしが入門した15年前はなかった(と思う)。

「430だと洋楽器と合わない!」というわけで、ニーズがあるわけです。
そんなに龍笛を吹きたい人がいるなんて嬉しい!

これまで古典一辺倒だったわたくしも洋楽曲の演奏が必要になってきまして、高ピッチ龍笛のニーザーとなり、とうとう楽器店へ走りました。

しかし待て!
と思いませんか?

構えた角度で音高が上下するくらいなら、430笛で、ちょっと高めに出せばいいんじゃ?

そう、挑戦したんです。でもだめなので、「とうとう」楽器店へ走ったのです。

というのは、龍笛には、「当たり」と呼ぶ、最も龍笛らしく鳴るポイントがあるんです。

ポイントと言っても、場所ではなくて。

言葉で表現しにくいのですが、
「息の太い細い、勢い、入れる角度なんかが、バッチリ合うこと」
かな。

しかも!

龍笛は7つの穴を使い音の高さを変えますが、とんでもないことに、全部「当たり」が違うのです。

わたくしの15年は、「当たり」を見つける15年と言って過言ではありません。

当たりを得た時、龍笛は自分で鳴ってくれます。わたしはその時、多幸感にあふれます。
両手を組んで天を見上げ「神様ありがとう!」と涙を流します。心の中で。

しかも、もっとよく鳴るんじゃないかと考える。「音色の追求」という、終わらない旅です。

旅の途中ですが、今の時点で思うのは、「当たりはかなり精密なピンポイント」ということです。

つまり、430の笛で440の当たりを鳴らすことはできない、わけです。

ちょっと高めに出せばヘルツ的には合いますが、龍笛らしい音色は出せなくて、やっぱり無理があります。

ということで、高ピッチ龍笛を買ってみました。

まだちゃんと演奏していないので、思ったことがあったらまた書きます。

(注) 喩えです。龍笛で黄鐘は高・低2音あり、低音で860Hzですので、そもそも430Hzは鳴りません。(2020年2月20日追記)


社会人初心者が、実技も座学も基礎から系統的に学べる、雅楽伝習所を宇治に創りたいです。