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カフェインが効きすぎるときは

コーヒーが好きである。
家にいるときは仕事の一区切りに、出先のときは移動中やカフェで、その時々のスケジュールや時間によって内容やタイミングはまちまちだが、毎日の楽しみとして摂りたい。

香ばしい香りや味に、ひととき心がほぐれる……はずが、おや。
何だか胸がはかはかする。体調が悪いわけでもないのに、カフェインが思いのほか効きすぎてしまう時がある。

思えば、コーヒーを飲むようになったのは社会人になってからだ。
苦く渋いだけ、と思っていた大人の飲み物。そこには甘酸っぱい風味のものがあったり、豆の焙煎方法や産地の話を知り、食べ物やお菓子との組み合わせを味わうことで、どんどん新しい扉が開いていった。

話は変わるが、私がソーシャルメディアを利用しはじめたのも、社会人になってからである。
現在は、このnoteやInstagramをはじめ、個人アカウントや仕事の案件などで様々な種類を使用しているが、学生時代、周りが一喜一憂していたmixi、ameblo、twitterなどには一切手をつけてこなかった。理由は「はかはか、ざわざわしてしまうから」である。

SNSは、人の雑踏だ。トイレや布団の中といったプライベートな場所にいても、噂や悩み、雑念が目に耳に飛び込んでくる。街の雑踏では、人目という分別が働いて現れにくいものも、オンラインの雑踏は容赦がない場合も多い。10代で多感な当時の自分には強すぎた。

新卒で入社した会社で、ウェブ系制作会社の方々との仕事が、SNSしない派だった私の新しい扉を開いてくれた。
ホームページの更新や投稿記事の作成、ウェブでのコンテンツ企画などを仕事として経験するうちに、ウェブやSNSには、それらを構成している仕組みや仕掛けがあること、受け手を楽しませるための発信や、使い道の面白さを知った。

オンラインの雑踏に守るべきルールはあれど、悩みを吐露し、コメントを書いたり書かれたりしながら前向きになりたい人もいれば、24時間実況中継のように呟きたい人もいて、その使い道は人の数だけある。だから、「そういう使い道をする人がいる」くらいにフラットに受け止めたい。

今も〈ざわざわ〉 や 〈はかはか〉はあるけれど、流行や今の温度が感じられ、素晴らしい活動や出来事に携わる人を知れるきっかけにもなるし、どうしたらこんなことが思いつくのだろう!?と感心してしまう伝え方や見せ方もある。そういう旨味を楽しく取り入れていきたいし、発信するからには、自分が見聞きし、体感してよかったものやことを伝えたい。

そんなこんなで、SNSが好きである。
家にいるときは仕事の一区切りに、出先のときは移動中やカフェで、その時々のスケジュールや時間によって内容やタイミングはまちまちだが、毎日の楽しみとして摂りたい。

さて。カフェインレスを控えて数日。
久しぶりのコーヒーは、香りも旨味も強かった。強い旨味は強い刺激にもなる。はかはかしてしまう時はそっと、おさえたり、離れたりし、調整して適量を楽しみたい。

コーヒーを飲みがてらInstagramを開くと、友人の夏の思い出、著名人の功績、可愛いものがひしめいていた。
〈ハートのマークをタップし、良いね!を表す〉仕掛けを利用してもしなくとも、今はちょうど良い刺激が胸に届いている。


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