話がある。

話があるんだと言って、呼ばれた。
高校時代の同級生。

「……」
「……」

まったく話し出す様子はない。

ファミレス。
ガスト。
ドリンクバー。
とりあえず、唐揚げ。

「……」
「……」

話って何？と、聞くぐらいは出来るのだろうが、あえて黙っていた。
そもそも、よく知らないのだ。
同じクラスだったのだけれど、仲が良いわけではなかった。
沢山話したってわけでもないし、よく知らない。

同窓会に参加してLineグルーブが出来て、そこで、個人的にメッセージが来た。

唐揚げがくる。

「唐揚げ好き？」
と、彼が訊いた。
「唐揚げ好き」
と、僕は答えた。

「ちょっと、トイレ」
と、彼が席を立ち、
僕一人が残された。

それから、一時間経ったが、彼は戻ってこなかった。

「……」

ふと、高校時代の記憶が蘇る。
そういや、みんなで誰かを呼び出して、バックレたってのあったなぁ。
誰だっけ？

「……」

彼だっけ？
彼かもな。

そうか。

僕は、ミニビーフシチューと、ほうれん草ベーコンを頼んで、もう一時間ほど、彼を待ってみようと思った。

そうだな、悪かったよな。
と、その時間、反省することにした。