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変化【短編小説】

デパートの休憩コーナーにある、マッサージチェア。
15分300円。

結構隅々までマッサージしてくれる。
身体を委ねる。

世界はいつの間にか変化しているらしい。
今も、この瞬間も。
僕はどうせ変化するのなら、この現状を打破して楽しい世界になればいいのに、なんて思っていると、

「ん?」
気がつけば頭になにかをキャップを被され、身体を固定されていた。

すると、パンタロンをはき、胸元を開いた、クルクルな長髪の痩せた兄ちゃんがクネクネしながら歩み寄ってきた。
「パーマだよ」
「パーマ?」
「あんたはパーマぐらいしないと現状なんか変えられないんだ」
と、ケラケラ笑った。
「や、やめろ! パーマなんかしたくない」
「もう遅いジワジワジワジワ、パーマが整っていくのさ」
「やめろ!やめてくれ!」
僕は映画「愛のむきだし」の渡部篤郎のように怯え、叫んだ。

ピーピーピーっ

「ん?」
マッサージチェアが停止の音を鳴らす。
夢か……。

ホッとして、デパートを歩くと、千円カットの美容室から、あの痩せた兄ちゃんがこちらを見て、ニヤリと笑っていた。


パーマか……。





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